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茜色の空、天馬で駆ける1
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んー……僕は結構困っていた。
宴が終わってから、ほわーんとした幸せな気持ちをどう表現したらいいのか……などと考えていたら、この後国民へのお披露目があるというのだ。
お披露目って?
バルコニーに出て手を振るの?
などと思っていたら……
祭りの間長い行列を作って民が捧げものをしていた祭壇でお祈りをし、その後に……なんと飛翔して城下町を回るとか……
「え?本気なの?僕そんな長時間飛べるかな?」
「ん……、それはまあ、我も心配なのは確かだが……あれだ、我と手を繋いでいるし防護壁の中だしな」
「でも、一度も練習も無しにいきなりだなんて!」
最初と比べたら多少は安定してきたかもしれないけど、まだヨチヨチ歩きの幼児のようなものなので、僕は不安に押しつぶされそうになってしまった。
「しかし、なんでもこれは伝統らしいのだ。……といっても誰も覚えていないが……まあ、絶対に落ちないという保障は確約するので、やってみないか?」
「んぐ……」
僕は思案顔という変顔を展開するしか無くなった。
「陛下、天馬に乗られてはいかがでしょう?」
「ん?」
「天馬!」
助け舟を出してくれたのは、侍従長だった。
僕が阿羅国から帰国した際には、長時間難なく飛んでくれたあの可愛い天馬たち!
ねえ、信じられる?ペガサスだよ!
「ら、蘭紗様! 僕、それがいいです!」
「天馬は3頭いますからね、ご夫婦で2騎で飛び立てばそれは美しい光景となりましょう」
侍従長は夢見るような表情で勧めてくる。
僕も一生懸命「うんうん」と頷いたよ!
「そ、そうだな……して、薫、そなたは馬は好きなようだが……乗馬は?」
「経験はありますよ。でも自分で飛ぶより乗る方が絶対いいです!」
「……では、そうするか……」
「了解いたしました、すぐに厩舎に用意させますので、お待ちを」
侍従長は侍従たちを集め事情を話し、伝達させている。
「それにしても薫、本当にきれいだ……その花嫁衣裳は自分で考えたと言ってたが」
「自分で考えたなんて……だいたいの形は決まってるんですから、僕は柄とか色とかの希望を出して、衣装係さんに絵を描いてもらったり布を見たりして決めただけですよ」
僕はテーブルの上の葡萄を手に取って一粒口に放り込んだ。
なんというか、宴は各国の来賓の方々の肩書がすごくって生きた心地がしなくて……結局今まで何も食べなかったのだ……
日本でも良く聞いていたよね、花嫁さんはお料理食べられないって……
だけどよく考えてみたら、超絶綺麗な蘭紗様に妖艶な涼鱗様の2人の王と王子に囲まれていたんだな……と今更ながら実感を持ったものだ。
一緒にいるのがなんだか当たり前になってしまっていて……
あ、涼鱗王子はもう王子様ではなくて、紗国の人になったんだった……
涼鱗さんと呼べと言われた……もしなんなら、りんさんでもいいよーとか。
んー……あの立場の人をそんな気安く呼べな……いや、呼べそうな僕がいる。
そういえば、明後日には2人の結婚式があるので、そのために涼鱗さんのご両親である国王と王妃がいらしている。
その二人がまた……なんというか……涼鱗さんそっくりで!
色が白くてすらっと細くて背が高く、一見近寄りがたいぐらいの美貌で……だけど話せば温かい人たち。
僕はすぐに国王夫妻と仲良くなったよ!
カジャルさんの伯父さんも、すごい鍛え上げられた大きな体で……あの方がライオンになったところとぜひ見たいものだと……
でもそんなこと言おうものなら、服をするする脱いで獣化してしまいそうだから、言えない……言えないけど……いつかきっと見せてもらおう!
驚いたのは、僑先生だ。
いつもはもじゃもじゃ髪を適当に結んでいるだけなのに、今日の僑先生はカジャルさんもびっくりな変わりようで、さすが良家のご子息だけあるという立派な仕上がりだった。
美しく髪をなでつけ、きちんと結わえ美しいリボンを垂らし、そして仕立ての良い紋付き袴姿……
んー……御曹司!
カジャルさんもそうだった、あの人もいつもあんな感じだけど顔はとっても整っていて、紺色の紋付き袴姿がとっても凛々しくて、なんていうか……ちょっとデビューしたてのアイドルみたいな風情だった。
それを涼鱗さんがとっても喜んで、嬉しそうに自慢して回ってカジャルさんは目を白黒させていてかわいかった!
「薫、どうしたのだ?」
「えへ……、思い出していたんですよ、みんなのこと」
「ほう……」
「皆いつもよりきちんとおしゃれしていて、すっごくステキでしたね」
「……まあ、そなたのことしか見ていないので、我はあんまり……なんというか、そうだったかな?」
蘭紗様は真面目な顔で宙を見つめた。
「でもね……蘭紗様の素敵さには誰も敵いませんからね、ほんとに蘭紗さまみたいなカッコイイ人、僕見たことなかったですよ……僕をお嫁様にしてくれてありがとうございます、ずっと仲良くしてくださいね」
僕はちょっと恥ずかしかったけど、言わなくちゃいけないことをちょっと早口で一気に話した!
すると、蘭紗様は一瞬固まってから僕の近くに来て、おもむろにぎゅっと抱きしめてきて、僕の額にキスをした。
「そなたは……まだまだ行事が目白押しで、ゆっくりできないのが残念だ……」
「え?」
「今すぐそなたを抱きたい」
「いや……そ、そん」
僕の顔はボッと熱くなって、息が止まる。
きっと今、顔は真っ赤っかだ。
「薫、我こそ……ありがとう、我に幸せをもたらせるのはそなただけだ。一緒に長い人生を歩いていくのはそなたなのだ。一緒にいられて幸せだよ、傍に来てくれてありがとう」
蘭紗様は僕を抱きしめたまま、そーっと硝子細工を扱うような優しい仕草で抱きしめて髪を撫でてキスをしてくれた。
ああ、なんて幸せなんだろう……
「……えー、コホン」
僕はハッとして振り向くと、侍従長がいて、こちらをじっと見ていた。
「それは2人きりになってからにしてくださいな。今夜2人きりになれるかどうかはわかりませんが……、そして天馬の準備ができましたので、空の門へおいでください」
「ああ、わかった」
蘭紗様はなんでもなかったみたいに普通に返事をして僕の手を取って歩き出したけど……
僕はね、恥ずかしいですからね!
まあ、夫婦なんだからいいんだけどね!
宴が終わってから、ほわーんとした幸せな気持ちをどう表現したらいいのか……などと考えていたら、この後国民へのお披露目があるというのだ。
お披露目って?
バルコニーに出て手を振るの?
などと思っていたら……
祭りの間長い行列を作って民が捧げものをしていた祭壇でお祈りをし、その後に……なんと飛翔して城下町を回るとか……
「え?本気なの?僕そんな長時間飛べるかな?」
「ん……、それはまあ、我も心配なのは確かだが……あれだ、我と手を繋いでいるし防護壁の中だしな」
「でも、一度も練習も無しにいきなりだなんて!」
最初と比べたら多少は安定してきたかもしれないけど、まだヨチヨチ歩きの幼児のようなものなので、僕は不安に押しつぶされそうになってしまった。
「しかし、なんでもこれは伝統らしいのだ。……といっても誰も覚えていないが……まあ、絶対に落ちないという保障は確約するので、やってみないか?」
「んぐ……」
僕は思案顔という変顔を展開するしか無くなった。
「陛下、天馬に乗られてはいかがでしょう?」
「ん?」
「天馬!」
助け舟を出してくれたのは、侍従長だった。
僕が阿羅国から帰国した際には、長時間難なく飛んでくれたあの可愛い天馬たち!
ねえ、信じられる?ペガサスだよ!
「ら、蘭紗様! 僕、それがいいです!」
「天馬は3頭いますからね、ご夫婦で2騎で飛び立てばそれは美しい光景となりましょう」
侍従長は夢見るような表情で勧めてくる。
僕も一生懸命「うんうん」と頷いたよ!
「そ、そうだな……して、薫、そなたは馬は好きなようだが……乗馬は?」
「経験はありますよ。でも自分で飛ぶより乗る方が絶対いいです!」
「……では、そうするか……」
「了解いたしました、すぐに厩舎に用意させますので、お待ちを」
侍従長は侍従たちを集め事情を話し、伝達させている。
「それにしても薫、本当にきれいだ……その花嫁衣裳は自分で考えたと言ってたが」
「自分で考えたなんて……だいたいの形は決まってるんですから、僕は柄とか色とかの希望を出して、衣装係さんに絵を描いてもらったり布を見たりして決めただけですよ」
僕はテーブルの上の葡萄を手に取って一粒口に放り込んだ。
なんというか、宴は各国の来賓の方々の肩書がすごくって生きた心地がしなくて……結局今まで何も食べなかったのだ……
日本でも良く聞いていたよね、花嫁さんはお料理食べられないって……
だけどよく考えてみたら、超絶綺麗な蘭紗様に妖艶な涼鱗様の2人の王と王子に囲まれていたんだな……と今更ながら実感を持ったものだ。
一緒にいるのがなんだか当たり前になってしまっていて……
あ、涼鱗王子はもう王子様ではなくて、紗国の人になったんだった……
涼鱗さんと呼べと言われた……もしなんなら、りんさんでもいいよーとか。
んー……あの立場の人をそんな気安く呼べな……いや、呼べそうな僕がいる。
そういえば、明後日には2人の結婚式があるので、そのために涼鱗さんのご両親である国王と王妃がいらしている。
その二人がまた……なんというか……涼鱗さんそっくりで!
色が白くてすらっと細くて背が高く、一見近寄りがたいぐらいの美貌で……だけど話せば温かい人たち。
僕はすぐに国王夫妻と仲良くなったよ!
カジャルさんの伯父さんも、すごい鍛え上げられた大きな体で……あの方がライオンになったところとぜひ見たいものだと……
でもそんなこと言おうものなら、服をするする脱いで獣化してしまいそうだから、言えない……言えないけど……いつかきっと見せてもらおう!
驚いたのは、僑先生だ。
いつもはもじゃもじゃ髪を適当に結んでいるだけなのに、今日の僑先生はカジャルさんもびっくりな変わりようで、さすが良家のご子息だけあるという立派な仕上がりだった。
美しく髪をなでつけ、きちんと結わえ美しいリボンを垂らし、そして仕立ての良い紋付き袴姿……
んー……御曹司!
カジャルさんもそうだった、あの人もいつもあんな感じだけど顔はとっても整っていて、紺色の紋付き袴姿がとっても凛々しくて、なんていうか……ちょっとデビューしたてのアイドルみたいな風情だった。
それを涼鱗さんがとっても喜んで、嬉しそうに自慢して回ってカジャルさんは目を白黒させていてかわいかった!
「薫、どうしたのだ?」
「えへ……、思い出していたんですよ、みんなのこと」
「ほう……」
「皆いつもよりきちんとおしゃれしていて、すっごくステキでしたね」
「……まあ、そなたのことしか見ていないので、我はあんまり……なんというか、そうだったかな?」
蘭紗様は真面目な顔で宙を見つめた。
「でもね……蘭紗様の素敵さには誰も敵いませんからね、ほんとに蘭紗さまみたいなカッコイイ人、僕見たことなかったですよ……僕をお嫁様にしてくれてありがとうございます、ずっと仲良くしてくださいね」
僕はちょっと恥ずかしかったけど、言わなくちゃいけないことをちょっと早口で一気に話した!
すると、蘭紗様は一瞬固まってから僕の近くに来て、おもむろにぎゅっと抱きしめてきて、僕の額にキスをした。
「そなたは……まだまだ行事が目白押しで、ゆっくりできないのが残念だ……」
「え?」
「今すぐそなたを抱きたい」
「いや……そ、そん」
僕の顔はボッと熱くなって、息が止まる。
きっと今、顔は真っ赤っかだ。
「薫、我こそ……ありがとう、我に幸せをもたらせるのはそなただけだ。一緒に長い人生を歩いていくのはそなたなのだ。一緒にいられて幸せだよ、傍に来てくれてありがとう」
蘭紗様は僕を抱きしめたまま、そーっと硝子細工を扱うような優しい仕草で抱きしめて髪を撫でてキスをしてくれた。
ああ、なんて幸せなんだろう……
「……えー、コホン」
僕はハッとして振り向くと、侍従長がいて、こちらをじっと見ていた。
「それは2人きりになってからにしてくださいな。今夜2人きりになれるかどうかはわかりませんが……、そして天馬の準備ができましたので、空の門へおいでください」
「ああ、わかった」
蘭紗様はなんでもなかったみたいに普通に返事をして僕の手を取って歩き出したけど……
僕はね、恥ずかしいですからね!
まあ、夫婦なんだからいいんだけどね!
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