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アオアイの町17 ビーチ
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用意が済んでふと顔を上げると同じように準備の整ったカジャルさんがいた。
カジャルさんもいつもより派手目だ、紫で統一された着物に紺色の袴、袴の裾に銀糸できれいな刺繍があった。
髪の毛もきれいに撫で付けられていてツンツンヘアがうまい具合に御曹司ヘアになっている。
「クーちゃんはここでいい子で待っててね」
「クル」
「そうだな、さあ行こう」
僕たちは余計なことを言わずに、近衛と侍女、侍従を連れて移動する。
砂浜なので歩きにくいけど、足を取られるほどではない。
それにしても隣とはいえ、かなりの距離がある。
僕とカジャルさんは侍従が差し出す日差しよけの傘の中で影になってるからいいけど、侍女さん達大丈夫かな?と少し振り返る。
汗一つかかず涼しい顔でしっかりと歩む彼女達を見て、「鍛え抜かれた侍女」という印象を受けた。
やっぱりこの世界で最弱なのは自分なのでは?と改めて思った。
「紗国王妃薫様並びに宰相夫人カジャル様、ようこそおいでくださいました」
「ご招待ありがとうございます、瀬国王妃ザーニヨ様、お初にお目にかかります」
「ええ、お噂通りなんとお美しい方でしょう……」
薄い色の金髪に同じ色の丸い耳のついた背の高い王妃ザーニヨ様は、しなやかな動きで僕たちを招き入れ、しっかりとパーティー仕様にされたテーブルに案内してくれた。
「それにしても……あなたをカジャル様と呼ぶ日が来ようとはね」
王妃様はふふと微笑んで乾杯の準備をさせている。
「王妃様、どうぞ昔のようにカジャルとお呼びくださいませ」
王妃様は目を細くして獲物を狙う捕食者の目でカジャルさんを見つめた。
さすが獅子族……
「フセフ、マルマの近況など聞きたいこともあるのでは?」
フセフと呼ばれた第3夫人はカジャルさんの母の従妹で、さきほど声をかけてくれたカレドゥ王女の実母だ。
優雅に頷き、優しげにカジャルさんに微笑みかける。
「マルマは具合を悪くしていると軍師殿から伺って、わたくしも心配していたのですよ」
「はい、フセフ様、母マルマは最近は家の周りを散歩できるまでに回復しております、良いクスリも手に入りまして、もう少し体力が付けば、私の家にも遊びに行きたいと前向きなことも言えるようになりました」
「なるほど……マルマは大事な息子を思うあまり気を病んだと聞いていたけれど、あなたも立派に宰相夫人におなりなのだし、これからは親孝行してあげてちょうだいな」
「ありがたいお言葉でございます」
カジャルさんは、緊張もせず背筋を伸ばし、普通に王族と会話をしていて少し驚いた。
どこからどう見ても完璧な貴族男性だ。
カジャルさんのスペックが高いのである!
「それにしてもあなた方は見た目はたおやかな美丈夫ですのに、子供のように波で遊ぶのですね、見ていてこちらも楽しくなるようでしたよ」
王妃様は第3夫人に「ねえ」と言って肯定を求める。
第3夫人は静かに笑って頷いた。
横にいたカレドゥ様は第3夫人に「お母様」と呼びかけ、手を重ねて励ますような表情をした。
なんだか多分だけど……第3夫人は王妃様にだいぶ遠慮しているというか……あんまり仲良くないのかな?とか空気を察してしまった。
「薫様は異世界から来られたという、伝説のお嫁様でいらっしゃるのだから、ぜひあちらのこともお伺いしたいの、いいかしら?」
僕は王妃様の言葉に「はい」と笑顔で頷いた。
別に聞かれて困ることはないしね!
「ぜひ私も伺いたいわ、興味ありますもの」
「僕も……」
王妃の横にいた小さな子どもはおそらく王妃が5年前に産んだ第4王子だ。
王位継承権は無いに等しいが、王妃が産んだ子なので成人の後公爵としての地位が約束されているとか……
「なんなりと聞いてくださいませ」
僕はよそ行きの笑顔で頷いた。
「先程薫様は、異世界では女子も水の中で泳いでしかも競技があるとかおっしゃっておいででしたでしょ?」
「ええ、僕の住んでいた世界では、あらゆるものを競技としていましたよ、最高峰としては国同士で競ったりする公式の行事があったりしました、オリンピックというのですが」
「まあ……世界で各国が競うですって……戦争になりませんか?」
「なりませんよ、世界平和を理念に据えているのです、紛争や小競り合いを各競技に置き換えて正々堂々と競って争い事をなくそうということです、競技ごとに決められたルールがあって、各国選手はそれを守っています、守らねば失格になりますので」
「まあ……では元いた世界でも最早戦争などはなく平和だったのですね」
そうとも言えない……とは思うけど、ここは「はい」と言っておくべきだろうなあ……
「……そうですね、概ねは」
「ではその中に水泳がございましたの?」
「そうですよ」
「女子選手はどのような衣装で泳ぐのです?」
「ああ……女子の水着は、えっと、なんと説明したらいいか……」
「薫様絵は絵は描かれます?よろしければ描いてみせてくださいな、紙をお持ちしますね」
ん……まあ絵は好きだけど、いきなりこの世界に来て初めて描くのが水着女性とは……
持ってこられたのは上等な和紙に羽ペンや筆、すずりなどで、鉛筆やマーカーではない……
一発勝負!
僕は親に隠れてこっそり漫画を描いたこともあるぐらい実は絵が好きだ。
芸術方面全般好きなんだよね。
「えっと、まず、いろんな場面がございます。水着と一言でいっても。この海岸のような遊ぶようなときには、こんなかんじで上下の別れたビキニという水着もあります、そこに腰に巻くパレオという布なんかを巻き付かせたりして、砂浜に寛いだりします……さらに競技や学校の授業などでは、このようなワンピース型の水着で、これは一体型でしっかりした作りですね、お腹も出ていませんので、お腹を隠したい人には向いています。遊びの場面でのワンピース型としてはここにスカートを付けるという意匠もございます、こんな感じでかわいいスカート付きワンピです」
そうやって何種類かサラサラ説明しながら描き、くるっと回転させて王妃様方に見えるようにすると、瀬国の皆様が固まっている様子に気づく。
は……しまった……引かれた?
「……薫様……素晴らしい」
「なんとも奇抜な……考えもしなかったことですが。このように胸を覆い隠せばわたくしも海に入れるかもしれませんわ」
「人によってはこれを恥ずかしがる者もあるでしょうが……」
「しかし、大体において身内でしか行動しないのだから、それほど恥ずかしくもありませんでしょう?他の殿方に全部をさらけ出すわけでもなし」
「たしかにそうでありますね」
一気に話が盛り上がり、引かれたどころかものすごく興味をもってくれたことがわかって嬉しくなる。
「あちらでも恥ずかしがる女子がいましたよ、その際は腰にはこのパレオ、そして上着を着るのです、このような帽子がついた上着でパーカーと言いますが……これで日焼けも防止できますしね、この上着はこのまま水着の素材で作れば、海に着て入っても大丈夫です、パレオのように広がって泳ぎの邪魔をしたりはしませんので」
「ふむ……なるほど」
「すばらしい……」
「薫殿、これを商品化するおつもりは?」
「商品化?!」
カジャルさんが額に汗して話に加わってきた。
「まあ、一度皆様冷静におなりになってくださいませ、これは異世界の素材と技術で実現できたものですから、すぐに女性たちの大事なお体を纏うのに最適な水着が作れるわけでもありませんでしょうから」
「それもそうねカジャル……ならば、その研究をぜひともしてほしいものですわ、ね?」
王妃様はキツめの視線をカジャルさんに向けた。
カジャルさんは毅然としてその視線を受け止め、頷いた。
「薫様のお話通りのものができましたら、一番最初に王妃様に献上いたしましょう。ですがすぐには無理でしょうから、どうぞ気長にお待ちくださいますよう」
「ほほほ、カジャルも言うようになりましたね」
王妃様は満足げに笑ってくれた。
僕は「やってしまった」感がやばいのだけど……
とりあえず、セッティングされているお菓子を頂いた。
すごく美味しい、うん、美味しい、うん甘くて美味しい。
怖くてカジャルさんの方は見れないけど、後でこれ、怒られるよねえ……
ふふ……はは……
カジャルさんもいつもより派手目だ、紫で統一された着物に紺色の袴、袴の裾に銀糸できれいな刺繍があった。
髪の毛もきれいに撫で付けられていてツンツンヘアがうまい具合に御曹司ヘアになっている。
「クーちゃんはここでいい子で待っててね」
「クル」
「そうだな、さあ行こう」
僕たちは余計なことを言わずに、近衛と侍女、侍従を連れて移動する。
砂浜なので歩きにくいけど、足を取られるほどではない。
それにしても隣とはいえ、かなりの距離がある。
僕とカジャルさんは侍従が差し出す日差しよけの傘の中で影になってるからいいけど、侍女さん達大丈夫かな?と少し振り返る。
汗一つかかず涼しい顔でしっかりと歩む彼女達を見て、「鍛え抜かれた侍女」という印象を受けた。
やっぱりこの世界で最弱なのは自分なのでは?と改めて思った。
「紗国王妃薫様並びに宰相夫人カジャル様、ようこそおいでくださいました」
「ご招待ありがとうございます、瀬国王妃ザーニヨ様、お初にお目にかかります」
「ええ、お噂通りなんとお美しい方でしょう……」
薄い色の金髪に同じ色の丸い耳のついた背の高い王妃ザーニヨ様は、しなやかな動きで僕たちを招き入れ、しっかりとパーティー仕様にされたテーブルに案内してくれた。
「それにしても……あなたをカジャル様と呼ぶ日が来ようとはね」
王妃様はふふと微笑んで乾杯の準備をさせている。
「王妃様、どうぞ昔のようにカジャルとお呼びくださいませ」
王妃様は目を細くして獲物を狙う捕食者の目でカジャルさんを見つめた。
さすが獅子族……
「フセフ、マルマの近況など聞きたいこともあるのでは?」
フセフと呼ばれた第3夫人はカジャルさんの母の従妹で、さきほど声をかけてくれたカレドゥ王女の実母だ。
優雅に頷き、優しげにカジャルさんに微笑みかける。
「マルマは具合を悪くしていると軍師殿から伺って、わたくしも心配していたのですよ」
「はい、フセフ様、母マルマは最近は家の周りを散歩できるまでに回復しております、良いクスリも手に入りまして、もう少し体力が付けば、私の家にも遊びに行きたいと前向きなことも言えるようになりました」
「なるほど……マルマは大事な息子を思うあまり気を病んだと聞いていたけれど、あなたも立派に宰相夫人におなりなのだし、これからは親孝行してあげてちょうだいな」
「ありがたいお言葉でございます」
カジャルさんは、緊張もせず背筋を伸ばし、普通に王族と会話をしていて少し驚いた。
どこからどう見ても完璧な貴族男性だ。
カジャルさんのスペックが高いのである!
「それにしてもあなた方は見た目はたおやかな美丈夫ですのに、子供のように波で遊ぶのですね、見ていてこちらも楽しくなるようでしたよ」
王妃様は第3夫人に「ねえ」と言って肯定を求める。
第3夫人は静かに笑って頷いた。
横にいたカレドゥ様は第3夫人に「お母様」と呼びかけ、手を重ねて励ますような表情をした。
なんだか多分だけど……第3夫人は王妃様にだいぶ遠慮しているというか……あんまり仲良くないのかな?とか空気を察してしまった。
「薫様は異世界から来られたという、伝説のお嫁様でいらっしゃるのだから、ぜひあちらのこともお伺いしたいの、いいかしら?」
僕は王妃様の言葉に「はい」と笑顔で頷いた。
別に聞かれて困ることはないしね!
「ぜひ私も伺いたいわ、興味ありますもの」
「僕も……」
王妃の横にいた小さな子どもはおそらく王妃が5年前に産んだ第4王子だ。
王位継承権は無いに等しいが、王妃が産んだ子なので成人の後公爵としての地位が約束されているとか……
「なんなりと聞いてくださいませ」
僕はよそ行きの笑顔で頷いた。
「先程薫様は、異世界では女子も水の中で泳いでしかも競技があるとかおっしゃっておいででしたでしょ?」
「ええ、僕の住んでいた世界では、あらゆるものを競技としていましたよ、最高峰としては国同士で競ったりする公式の行事があったりしました、オリンピックというのですが」
「まあ……世界で各国が競うですって……戦争になりませんか?」
「なりませんよ、世界平和を理念に据えているのです、紛争や小競り合いを各競技に置き換えて正々堂々と競って争い事をなくそうということです、競技ごとに決められたルールがあって、各国選手はそれを守っています、守らねば失格になりますので」
「まあ……では元いた世界でも最早戦争などはなく平和だったのですね」
そうとも言えない……とは思うけど、ここは「はい」と言っておくべきだろうなあ……
「……そうですね、概ねは」
「ではその中に水泳がございましたの?」
「そうですよ」
「女子選手はどのような衣装で泳ぐのです?」
「ああ……女子の水着は、えっと、なんと説明したらいいか……」
「薫様絵は絵は描かれます?よろしければ描いてみせてくださいな、紙をお持ちしますね」
ん……まあ絵は好きだけど、いきなりこの世界に来て初めて描くのが水着女性とは……
持ってこられたのは上等な和紙に羽ペンや筆、すずりなどで、鉛筆やマーカーではない……
一発勝負!
僕は親に隠れてこっそり漫画を描いたこともあるぐらい実は絵が好きだ。
芸術方面全般好きなんだよね。
「えっと、まず、いろんな場面がございます。水着と一言でいっても。この海岸のような遊ぶようなときには、こんなかんじで上下の別れたビキニという水着もあります、そこに腰に巻くパレオという布なんかを巻き付かせたりして、砂浜に寛いだりします……さらに競技や学校の授業などでは、このようなワンピース型の水着で、これは一体型でしっかりした作りですね、お腹も出ていませんので、お腹を隠したい人には向いています。遊びの場面でのワンピース型としてはここにスカートを付けるという意匠もございます、こんな感じでかわいいスカート付きワンピです」
そうやって何種類かサラサラ説明しながら描き、くるっと回転させて王妃様方に見えるようにすると、瀬国の皆様が固まっている様子に気づく。
は……しまった……引かれた?
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一気に話が盛り上がり、引かれたどころかものすごく興味をもってくれたことがわかって嬉しくなる。
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「ふむ……なるほど」
「すばらしい……」
「薫殿、これを商品化するおつもりは?」
「商品化?!」
カジャルさんが額に汗して話に加わってきた。
「まあ、一度皆様冷静におなりになってくださいませ、これは異世界の素材と技術で実現できたものですから、すぐに女性たちの大事なお体を纏うのに最適な水着が作れるわけでもありませんでしょうから」
「それもそうねカジャル……ならば、その研究をぜひともしてほしいものですわ、ね?」
王妃様はキツめの視線をカジャルさんに向けた。
カジャルさんは毅然としてその視線を受け止め、頷いた。
「薫様のお話通りのものができましたら、一番最初に王妃様に献上いたしましょう。ですがすぐには無理でしょうから、どうぞ気長にお待ちくださいますよう」
「ほほほ、カジャルも言うようになりましたね」
王妃様は満足げに笑ってくれた。
僕は「やってしまった」感がやばいのだけど……
とりあえず、セッティングされているお菓子を頂いた。
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