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アオアイの町19 お招き
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朝の目覚めはいつも通りで、だけどいつも通りじゃないのは枕元にクーちゃんがいた事。
そして隣を見て、蘭紗様が帰ってきた様子がないことに寂しく思った。
今まではどんなに忙しくても一度はベッドに入った形跡はあったのに、枕には使った形跡が無い。
「はぁ……お忙しいんだろうなあ……」
僕は力の入らない体を引きずるようにベッドから這い出た。
「クルぅ」とクーちゃんが肩に乗ってくれる。
小鳥の姿になってくれたクーちゃんは、『ちょっと派手だけどこういう種類の小鳥』と言い張れないこともない程度には普通に見える。
あの大きさのままだと神々しすぎて、侍女でさえ平伏してしまいそうになるのでずっとこのままでいてね、とお願いしたのだ。
「お目覚めでしょうか?」
真野が扉を静かに開け、伺いにきた。
「うん、顔洗うね」
「かしこまりました」
まもなく用意がされ、いつものように身支度を整え、朝食のために食堂に向かう。
「カジャルさん、おはようございます、いつもお早いですね」
カジャルさんはすでにテーブルに付いていたが、横にいた侍従と何か相談をしていたようだった。
「おはようございます、俺もいま来たところで……昨夜は涼鱗が戻らなかったのだが、蘭紗様もなんだって?」
「そうなんです、戻ってないみたいで」
カジャルさんとしばし無言で向き合っていると、「お好みのものを見繕いました」と2人の好みに合わせた朝食が自動的に出されてきた。
どうやら周りにも気を使ってもらってるみたいだ……
「何かあったんでしょうか?」
「んー?」
カジャルさんも心配げに外を見る。
「まあ、考えても仕方ない、というか……小さい頃に父上に聞いたことがあるのだが、こういう会議の後はたいてい宴会があるのだそうだ。何年かに一度しか集まらない面々なので、交流を図るとか言っていたような」
「つまりそれで朝帰りするつもりでしょうかね?」
「……かな……」
カジャルさんは珍しくコーヒーを飲んでいる。
あ……そうだった、このアオアイは南国なのでコーヒーの産地だったと昨夜教えてもらったのだ。
カフェオレを飲みたい!と言った僕に合わせて、朝からコーヒーを出してくれているというわけだろう。
僕のはミルクたっぷりの甘いカフェオレだけど、カジャルさんはブラックみたい……
「それ、お砂糖もなしですか?」
「え?コーヒーか?そうだな、俺はこの苦さ嫌いじゃないからいつも何も入れないぞ……というかなんだその……変な色は……」
「これはカフェオレです!昨夜料理長に頼んでおいたのですよ、僕はこの飲み方が好きなので朝出してくださいって」
カジャルさんはなんとも言えない顔をしてじっと見ていたが、やがて長い溜息をついた。
「しかしあれだな……何も聞かされていない上に何やってんだかもわからないってのは不安なものだな」
「そうですね……僕は子供の頃からそうだったんで慣れてますけど」
「子供の頃からとは?」
「親が何してるか聞いても教えてくれないので、いつしかそんなものだと思うようになりましたからね、国の仕事をしていると話しちゃいけないことだらけなんだろうな……とそのうちわかるようになりましたけど、寂しかったですよ幼い頃は」
「なるほどな」
カジャルさんは考え込むような様子を見せながらもパクパクと朝食を平らげていく。
「まあ、その宴に出ていたとしても、もうそろそろお戻りなんじゃないでしょうかね?」
「どうだろうな?」
「というと?」
「いや、他の問題が勃発していてそれに対応してる……とかな」
「……やめてくださいよ、縁起でもない」
2人で声を出して笑っていると、侍従が手紙をトレイに載せて来た。
「薫様、先程ラハーム王国から招待状が届きましたのでお持ちいたしました」
「ラハームから?」
僕は思わずカジャルさんを見てしまった、カジャルさんも僕を見つめている。
「僕にだけ?」
「いえ、カジャル様にも」
美しい封筒を開くようお願いすると、中から透明のカードが出てきた。
カードは、アフタヌーンティーのお誘いだった。
「わぁ……きれいなカード……透明ですねえ」
「うむ、これ……蛇族が使う最高級の紙だな」
「そうなんですか?」
「ああ、抜け殻を使うらしい」
「……」
僕は何も言えなくなって固まる。
「いやいや……本人のじゃないぞ?御神体がうちにもあるだろう?」
「あの、九尾の狐様ですか?」
「そうだ、あれと同じような大蛇の御神体がラハームにもあるんだが、その御神体は100年に一度ぐらいの割合で今でも脱皮するんだってさ……よく知らないが……」
「うそ……」
「そんでこれは、その時の抜け殻なんだが、本当に大事なお誘いの時……つまり慶事にしか使わないとてもありがたいものなんだぞ、これ自体に魔力がすごく込められていて、お守りにもなるんだ」
「うほ……」
僕はそのカードを透かしてみる……どう見ても……薄手の硝子なんだけどなあ……
「では……お返事をお願いします、お受けしますと」
「かしこまりました」
「じゃああれだな、今日の一応の予定は入ったから、気は紛れるな」
カジャルさんは鼻でフフンと行儀悪く笑ったけど……食事の所作が美しいので悪ぶっても御曹司っぽさが抜けてない。
「と言うか……ラハームってことはカジャルさんの義実家じゃないですか……緊張しません?」
「ああ……そういえばそうだな……夫の故郷だった」
「いやいや自覚なさすぎですからね」
カジャルさんが遠い目をしてしばし固まったので、僕の方で侍女に相談してお土産のあれこれや、本日の装束のことなど相談に乗ってもらいながら決めていく。
どっちにしろ、僕は紗国王妃なのだから間違いないようにきちんとしなくちゃだからね!
そして隣を見て、蘭紗様が帰ってきた様子がないことに寂しく思った。
今まではどんなに忙しくても一度はベッドに入った形跡はあったのに、枕には使った形跡が無い。
「はぁ……お忙しいんだろうなあ……」
僕は力の入らない体を引きずるようにベッドから這い出た。
「クルぅ」とクーちゃんが肩に乗ってくれる。
小鳥の姿になってくれたクーちゃんは、『ちょっと派手だけどこういう種類の小鳥』と言い張れないこともない程度には普通に見える。
あの大きさのままだと神々しすぎて、侍女でさえ平伏してしまいそうになるのでずっとこのままでいてね、とお願いしたのだ。
「お目覚めでしょうか?」
真野が扉を静かに開け、伺いにきた。
「うん、顔洗うね」
「かしこまりました」
まもなく用意がされ、いつものように身支度を整え、朝食のために食堂に向かう。
「カジャルさん、おはようございます、いつもお早いですね」
カジャルさんはすでにテーブルに付いていたが、横にいた侍従と何か相談をしていたようだった。
「おはようございます、俺もいま来たところで……昨夜は涼鱗が戻らなかったのだが、蘭紗様もなんだって?」
「そうなんです、戻ってないみたいで」
カジャルさんとしばし無言で向き合っていると、「お好みのものを見繕いました」と2人の好みに合わせた朝食が自動的に出されてきた。
どうやら周りにも気を使ってもらってるみたいだ……
「何かあったんでしょうか?」
「んー?」
カジャルさんも心配げに外を見る。
「まあ、考えても仕方ない、というか……小さい頃に父上に聞いたことがあるのだが、こういう会議の後はたいてい宴会があるのだそうだ。何年かに一度しか集まらない面々なので、交流を図るとか言っていたような」
「つまりそれで朝帰りするつもりでしょうかね?」
「……かな……」
カジャルさんは珍しくコーヒーを飲んでいる。
あ……そうだった、このアオアイは南国なのでコーヒーの産地だったと昨夜教えてもらったのだ。
カフェオレを飲みたい!と言った僕に合わせて、朝からコーヒーを出してくれているというわけだろう。
僕のはミルクたっぷりの甘いカフェオレだけど、カジャルさんはブラックみたい……
「それ、お砂糖もなしですか?」
「え?コーヒーか?そうだな、俺はこの苦さ嫌いじゃないからいつも何も入れないぞ……というかなんだその……変な色は……」
「これはカフェオレです!昨夜料理長に頼んでおいたのですよ、僕はこの飲み方が好きなので朝出してくださいって」
カジャルさんはなんとも言えない顔をしてじっと見ていたが、やがて長い溜息をついた。
「しかしあれだな……何も聞かされていない上に何やってんだかもわからないってのは不安なものだな」
「そうですね……僕は子供の頃からそうだったんで慣れてますけど」
「子供の頃からとは?」
「親が何してるか聞いても教えてくれないので、いつしかそんなものだと思うようになりましたからね、国の仕事をしていると話しちゃいけないことだらけなんだろうな……とそのうちわかるようになりましたけど、寂しかったですよ幼い頃は」
「なるほどな」
カジャルさんは考え込むような様子を見せながらもパクパクと朝食を平らげていく。
「まあ、その宴に出ていたとしても、もうそろそろお戻りなんじゃないでしょうかね?」
「どうだろうな?」
「というと?」
「いや、他の問題が勃発していてそれに対応してる……とかな」
「……やめてくださいよ、縁起でもない」
2人で声を出して笑っていると、侍従が手紙をトレイに載せて来た。
「薫様、先程ラハーム王国から招待状が届きましたのでお持ちいたしました」
「ラハームから?」
僕は思わずカジャルさんを見てしまった、カジャルさんも僕を見つめている。
「僕にだけ?」
「いえ、カジャル様にも」
美しい封筒を開くようお願いすると、中から透明のカードが出てきた。
カードは、アフタヌーンティーのお誘いだった。
「わぁ……きれいなカード……透明ですねえ」
「うむ、これ……蛇族が使う最高級の紙だな」
「そうなんですか?」
「ああ、抜け殻を使うらしい」
「……」
僕は何も言えなくなって固まる。
「いやいや……本人のじゃないぞ?御神体がうちにもあるだろう?」
「あの、九尾の狐様ですか?」
「そうだ、あれと同じような大蛇の御神体がラハームにもあるんだが、その御神体は100年に一度ぐらいの割合で今でも脱皮するんだってさ……よく知らないが……」
「うそ……」
「そんでこれは、その時の抜け殻なんだが、本当に大事なお誘いの時……つまり慶事にしか使わないとてもありがたいものなんだぞ、これ自体に魔力がすごく込められていて、お守りにもなるんだ」
「うほ……」
僕はそのカードを透かしてみる……どう見ても……薄手の硝子なんだけどなあ……
「では……お返事をお願いします、お受けしますと」
「かしこまりました」
「じゃああれだな、今日の一応の予定は入ったから、気は紛れるな」
カジャルさんは鼻でフフンと行儀悪く笑ったけど……食事の所作が美しいので悪ぶっても御曹司っぽさが抜けてない。
「と言うか……ラハームってことはカジャルさんの義実家じゃないですか……緊張しません?」
「ああ……そういえばそうだな……夫の故郷だった」
「いやいや自覚なさすぎですからね」
カジャルさんが遠い目をしてしばし固まったので、僕の方で侍女に相談してお土産のあれこれや、本日の装束のことなど相談に乗ってもらいながら決めていく。
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