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落成式2
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「陛下……素晴らしいご祝福をありがとうございます。この院もこれで安泰でございましょう」
新しい世話人の家族と子供達は雪の上に跪いている。
そして涙を流す子もいた。
その姿を見て、心が痛んだ。
「ありがとうございます、王様、王妃様」
「これからはよく学び、そして立派な大人になることを願っている。世話人の者も、よく子らを導いてやってくれ」
「はい」
そして止んでいた雪がまた降り始め、院を包んでいた光もスーッと消えていった。
「では、中をご覧になってください」
蘭紗様と僕と涼鱗さんは院の中に踏み入れた。
飾りの類は全くないが、出来上がったばかりでとてもきれいだ。
外から見れば石造りなのだが、内装は木で温かみもある。
広間の真ん中に大きな薪ストーブが出されていて、ほんわり暖かい。
そこに下働きに来ているという農民が2人跪いていた。
「君たちもここで働いてくれるのだね」
「はい」
「子どもたちのことをよろしくおねがいしますね」
僕と蘭紗様の声掛けに嬉しそうに頷いてくれた。
広間を抜けると食堂があって、その奥に厨房。
そして更にその奥は世話人の家族が住む居住区となっていた。
子どもたちの部屋があるのは2階だ。
皆で階段を上がり、部屋を覗いてみた。
二段ベッドが入っていて、一部屋を2人で使うようにしているようだった。
当たり前だが、今度は前のように腐ってはいない。
真新しいベッドはとても頑丈そうで、あたたかそうな寝具もあってほっとする。
そして部屋の隅にはちゃんと2つの勉強机もあった。
僕は後にいる子らを振り向いて笑顔を作った。
「ちゃんとお勉強頑張ってくださいね。学ぶべきことはきっとたくさんあるでしょう」
「はい」
子らは僕と目があって嬉しそうだった。
その顔を見て思い出した。
初めにこの子らに会った時もこうやって嬉しそうに僕を見てくれていたこと。
そしておずおずと手を握って来る子もいたこと。
ああ、そうだった……この子たちだって虐げられていたのだ。
翠よりもマシだったからと言っても、とても普通とは思えない状況に置かれて、光の無い瞳ですがるように僕を見ていたんだった。
どうか……この子らも、幸せになってほしい。
そう願わずにいられない。
その後は裏庭を回って風呂場を確認した。
大きな湯船に整頓されて並んだ洗い場。
十分な広さがあってこれなら大丈夫そうだ。
「葛貫、ご苦労だった。何もかも順調でそして素晴らしい出来だ」
「本当に、前を知っているだけに、これを見て安心しました」
「ありがとうございます。しかし、これからが本番です。今後もしっかりと管理して参りたいと思います」
「ああ、任せよう」
「院長も、よろしく頼むぞ。前のあれが酷かったのでな、わが王妃も胸を痛めておるのだ、もうそのようなことがないようにな」
「はい、陛下……」
新孤児院長は、堂々たる風格の商人だ。
実直そうな人柄が伝わってくる顔で、僕も安心できた。
蘭紗様は葛貫さんをねぎらい、子らと話す涼鱗を見つめながら「では戻ろう」とそっと僕の手を握った。
涼鱗さんは振り向いてふっと笑って頷いてくれた。
「僕はもうちょっと子供たちと話して行くよ」
「ああ、わかった」
では……と飛翔しかけたその時、子の代表として発言していた一番大きな男の子が、僕たちの前に駆けてきた。
「王様、王妃様!」
「こら!あまり近寄るんじゃない」
葛貫さんが慌てて手を伸ばしたが、僕はそれを制して子の手を取った。
「どうしたの?」
手を握って顔を覗き込むと、子は真剣な顔でじっと僕を見つめて……そして透明な涙を一筋流した。
「……僕たち、翠紗様に悪いこと……していました。院長に教えられたとおりにしていたんです、だけど……そんなのはいいわけでしかなくて……ほんとうに……ごめんなさい」
「……そう」
僕は胸がつまり、うまく声が出なかった。
「翠紗様は王子様になって、今、おげんきで、大切にされて幸せだと聞きました」
「うん、蘭紗様と僕が親として大事に育てているんだよ」
「いつか……直接謝ることができますか?」
「……」
一瞬どう言おうか悩んだが、思い切って話した。
「翠はね、城に来てからも、おにいさんおねえさんのために、園に行かないと、皆が食べるものが買えないからと言ったり、皆のことを心配していたの」
「え……」
握る手が固くなって緊張したのがわかった。
「名前もつけてもらえずに、本館にも入れなかったけれど、翠は皆のこと心配していたんだよ。だから、君が謝りたいと言ったことを翠に僕が伝える、きっと喜んでくれると思う、直接会えるかどうかは、今ここではお返事はできないけど」
「……はい」
後にいた子らも皆悲しげに顔を伏せ、泣いてる子もいた。
その後に立つ涼鱗さんは子らの背中をさすってやり、僕ににっこり笑ってくれた。
「気持ち、教えてくれてありがとう。君はきっと良い大人になれるね。頑張ってお勉強してね」
「はい、ありがとうございます」
少年に微笑みかけて、蘭紗様の手を取った。
そして近衛らと空に飛び立つ。
僕は空から、見上げる子のすがるような目を切なく見つめた。
あの子らは被害者だ、翠だけではなくて、あの子らも。
僕はこの国の王妃としてこれからも見守っていこうと思った。
新しい世話人の家族と子供達は雪の上に跪いている。
そして涙を流す子もいた。
その姿を見て、心が痛んだ。
「ありがとうございます、王様、王妃様」
「これからはよく学び、そして立派な大人になることを願っている。世話人の者も、よく子らを導いてやってくれ」
「はい」
そして止んでいた雪がまた降り始め、院を包んでいた光もスーッと消えていった。
「では、中をご覧になってください」
蘭紗様と僕と涼鱗さんは院の中に踏み入れた。
飾りの類は全くないが、出来上がったばかりでとてもきれいだ。
外から見れば石造りなのだが、内装は木で温かみもある。
広間の真ん中に大きな薪ストーブが出されていて、ほんわり暖かい。
そこに下働きに来ているという農民が2人跪いていた。
「君たちもここで働いてくれるのだね」
「はい」
「子どもたちのことをよろしくおねがいしますね」
僕と蘭紗様の声掛けに嬉しそうに頷いてくれた。
広間を抜けると食堂があって、その奥に厨房。
そして更にその奥は世話人の家族が住む居住区となっていた。
子どもたちの部屋があるのは2階だ。
皆で階段を上がり、部屋を覗いてみた。
二段ベッドが入っていて、一部屋を2人で使うようにしているようだった。
当たり前だが、今度は前のように腐ってはいない。
真新しいベッドはとても頑丈そうで、あたたかそうな寝具もあってほっとする。
そして部屋の隅にはちゃんと2つの勉強机もあった。
僕は後にいる子らを振り向いて笑顔を作った。
「ちゃんとお勉強頑張ってくださいね。学ぶべきことはきっとたくさんあるでしょう」
「はい」
子らは僕と目があって嬉しそうだった。
その顔を見て思い出した。
初めにこの子らに会った時もこうやって嬉しそうに僕を見てくれていたこと。
そしておずおずと手を握って来る子もいたこと。
ああ、そうだった……この子たちだって虐げられていたのだ。
翠よりもマシだったからと言っても、とても普通とは思えない状況に置かれて、光の無い瞳ですがるように僕を見ていたんだった。
どうか……この子らも、幸せになってほしい。
そう願わずにいられない。
その後は裏庭を回って風呂場を確認した。
大きな湯船に整頓されて並んだ洗い場。
十分な広さがあってこれなら大丈夫そうだ。
「葛貫、ご苦労だった。何もかも順調でそして素晴らしい出来だ」
「本当に、前を知っているだけに、これを見て安心しました」
「ありがとうございます。しかし、これからが本番です。今後もしっかりと管理して参りたいと思います」
「ああ、任せよう」
「院長も、よろしく頼むぞ。前のあれが酷かったのでな、わが王妃も胸を痛めておるのだ、もうそのようなことがないようにな」
「はい、陛下……」
新孤児院長は、堂々たる風格の商人だ。
実直そうな人柄が伝わってくる顔で、僕も安心できた。
蘭紗様は葛貫さんをねぎらい、子らと話す涼鱗を見つめながら「では戻ろう」とそっと僕の手を握った。
涼鱗さんは振り向いてふっと笑って頷いてくれた。
「僕はもうちょっと子供たちと話して行くよ」
「ああ、わかった」
では……と飛翔しかけたその時、子の代表として発言していた一番大きな男の子が、僕たちの前に駆けてきた。
「王様、王妃様!」
「こら!あまり近寄るんじゃない」
葛貫さんが慌てて手を伸ばしたが、僕はそれを制して子の手を取った。
「どうしたの?」
手を握って顔を覗き込むと、子は真剣な顔でじっと僕を見つめて……そして透明な涙を一筋流した。
「……僕たち、翠紗様に悪いこと……していました。院長に教えられたとおりにしていたんです、だけど……そんなのはいいわけでしかなくて……ほんとうに……ごめんなさい」
「……そう」
僕は胸がつまり、うまく声が出なかった。
「翠紗様は王子様になって、今、おげんきで、大切にされて幸せだと聞きました」
「うん、蘭紗様と僕が親として大事に育てているんだよ」
「いつか……直接謝ることができますか?」
「……」
一瞬どう言おうか悩んだが、思い切って話した。
「翠はね、城に来てからも、おにいさんおねえさんのために、園に行かないと、皆が食べるものが買えないからと言ったり、皆のことを心配していたの」
「え……」
握る手が固くなって緊張したのがわかった。
「名前もつけてもらえずに、本館にも入れなかったけれど、翠は皆のこと心配していたんだよ。だから、君が謝りたいと言ったことを翠に僕が伝える、きっと喜んでくれると思う、直接会えるかどうかは、今ここではお返事はできないけど」
「……はい」
後にいた子らも皆悲しげに顔を伏せ、泣いてる子もいた。
その後に立つ涼鱗さんは子らの背中をさすってやり、僕ににっこり笑ってくれた。
「気持ち、教えてくれてありがとう。君はきっと良い大人になれるね。頑張ってお勉強してね」
「はい、ありがとうございます」
少年に微笑みかけて、蘭紗様の手を取った。
そして近衛らと空に飛び立つ。
僕は空から、見上げる子のすがるような目を切なく見つめた。
あの子らは被害者だ、翠だけではなくて、あの子らも。
僕はこの国の王妃としてこれからも見守っていこうと思った。
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