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バイオリン2
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翌日はすっかり体調のよくなった僕の元に、バイオリンの製作者が訪れた。
壮年の男性と、その息子だという若い男性だ。
阿羅国がバイオリンを作る技術を持っているのは、過去に阿羅国に誘拐されたお嫁さまがプロバイオリニストだったことがきっかけだと言う。
新人君はそのお嫁様をとても大切にしながら、バイオリンを作る技術を発展させたのだ。
元々この世界の弦楽器を作る技術者が、お嫁様のバイオリンを見よう見まねで作ることから始まったその歴史はとても長い。
阿羅国でしか作られていないのだから、この目の前の二人は現在最高峰の製作者となるよね。
僕は二人から長い挨拶を受け、僕が着席を許すと、カクカクとした動きで緊張しながらソファーに座った。
「僕が、阿羅彦様から受け取ったバイオリンだけど。長年に渡り保存魔法がかけられた上に、専門の技術者に丁寧に受け継がれてきたものだったみたいですね」
「はい、それは、過去最高の出来のものでございます。お渡しできる日が来ましたことを心から喜んでおります」
バイオリン製作者は照れたような笑みを浮かべて、僕を見てはポッと顔を赤らめて下を向いたりお互い顔を見合わせたりしている。
二人共どこか日本人めいた顔付きで、よく見ると新人君や波羽彦さんにも少し似ていた。
本当に新人君の子孫なんだなあと、しみじみ感じた。
「紗国の秋と冬はとても厳しい天候が続いていてね。とにかく湿気が多くてね……収納する場所には気をつけていたんだけど、やっぱりバイオリンにはあまりいい環境とは思えなくて……どうかな?見てくれる?あと弦も張り替えたいんだ」
「もちろんでございます!こんな名誉なことはございません」
二人共嬉しそうに目を輝かせた。
「それと、これからバイオリンを阿羅国の文化として世界に発進していくことは聞いているよ。頑張ってほしい。僕もバイオリン愛好家だからね、皆に紹介してもらうのはうれしいよ」
「はいありがとうございます!」
僕は仙が持っていたバイオリンを二人に渡し、様子を見てもらうことにして、二人が持ってきたという代わりのバイオリンを受け取った。
「もしよろしければ、ひとつ、弾いてみてはいただけませんか?」
「え、僕?」
「こら、お前……なんてことを……」
父親は息子の言葉を叱責したが、僕は気軽に頷いてそのまま受け取ったバイオリンで演奏準備をしはじめた。
「ほ、本当によろしいので?おそれおおい……」
「まあ、そんなに固くならないでくださいな、でも僕は演奏を生業としているわけでもないし、特にうまくもありませんよ?」
ふふっと笑うと僕は二人に訪ねた。
「これは、どちらの方が製作したの?」
「それは、我が祖父が作ったものです。うちの製作所でも近年最高の出来のものです」
「なるほど……深い色が美しいね、そして何より音もすばらしいね……では、一曲」
僕は心配気に見る仙を笑顔で安心させてから、目を瞑り、曲の世界観を思い描いて音を出した。
好きな小曲で、ワルツだ。
気分が明るくなるような伸びやかな曲で、母も好きだった。
弾いていると何故か今回は日本のことを思い出してしまった、懐かしさいっぱいになって弾き終わり、バイオリンを下ろすと感極まった様子の二人の目からは涙が落ちていて、侍女たちもなぜかしんみりしている。
「素晴らしい演奏でございました……その曲は阿羅国でも良く奏でられますが、これほどの弾き手は王妃様だけでございましょう」
「そんな……僕なんて、普通程度の技術しかありませんよ、これは謙遜とかではなく本当のことです……ふふ……それにしても素晴らしい伸びやかな音が出る良いバイオリンです、これを作られたお祖父様は良い職人さんだったのでしょうね」
「はい、なかなか祖父を超えられません」
壮年の製作者が嬉しそうに話した。
「では、これをお預かりいたしまして、調整をいたします」
「ありがとう。こちらにいる間は、どこにお泊りですか?」
「はい、迎賓館の一角の離れを作業できるよう開けてくださいまして、そこで寝泊まりも兼ねて二人でおります」
「そうなの、滞在期間中そこに見に行ってもいいかな?僕もぜひ見学したい」
「もちろんでございます!お待ち申し上げております」
僕は笑顔で二人を見送り、小さな椅子にちょこんと座っていい子にしていた翠を見ると、なんと翠の肩にクーちゃんがいた。
だれも気づかないうちに現れたみたい。
僕は肩にクーちゃんを乗せた翠を抱き上げた。
翠は耳元で「とてもきれいな演奏でした、ぼくバイオリンすきです」と呟いた。
クーちゃんも「クルゥクルゥ」と嬉しげに鳴いた。
本当に翠もクーちゃんも僕のバイオリンが好きだなあ……
子供用のバイオリンを一つ、頼んでみようかな?と思ったりしてね。
親バカな僕。
そのまま部屋に戻とうと廊下に出た僕は、外をじっと見て新人君を思った。
バイオリンをありがとう、新人君。
壮年の男性と、その息子だという若い男性だ。
阿羅国がバイオリンを作る技術を持っているのは、過去に阿羅国に誘拐されたお嫁さまがプロバイオリニストだったことがきっかけだと言う。
新人君はそのお嫁様をとても大切にしながら、バイオリンを作る技術を発展させたのだ。
元々この世界の弦楽器を作る技術者が、お嫁様のバイオリンを見よう見まねで作ることから始まったその歴史はとても長い。
阿羅国でしか作られていないのだから、この目の前の二人は現在最高峰の製作者となるよね。
僕は二人から長い挨拶を受け、僕が着席を許すと、カクカクとした動きで緊張しながらソファーに座った。
「僕が、阿羅彦様から受け取ったバイオリンだけど。長年に渡り保存魔法がかけられた上に、専門の技術者に丁寧に受け継がれてきたものだったみたいですね」
「はい、それは、過去最高の出来のものでございます。お渡しできる日が来ましたことを心から喜んでおります」
バイオリン製作者は照れたような笑みを浮かべて、僕を見てはポッと顔を赤らめて下を向いたりお互い顔を見合わせたりしている。
二人共どこか日本人めいた顔付きで、よく見ると新人君や波羽彦さんにも少し似ていた。
本当に新人君の子孫なんだなあと、しみじみ感じた。
「紗国の秋と冬はとても厳しい天候が続いていてね。とにかく湿気が多くてね……収納する場所には気をつけていたんだけど、やっぱりバイオリンにはあまりいい環境とは思えなくて……どうかな?見てくれる?あと弦も張り替えたいんだ」
「もちろんでございます!こんな名誉なことはございません」
二人共嬉しそうに目を輝かせた。
「それと、これからバイオリンを阿羅国の文化として世界に発進していくことは聞いているよ。頑張ってほしい。僕もバイオリン愛好家だからね、皆に紹介してもらうのはうれしいよ」
「はいありがとうございます!」
僕は仙が持っていたバイオリンを二人に渡し、様子を見てもらうことにして、二人が持ってきたという代わりのバイオリンを受け取った。
「もしよろしければ、ひとつ、弾いてみてはいただけませんか?」
「え、僕?」
「こら、お前……なんてことを……」
父親は息子の言葉を叱責したが、僕は気軽に頷いてそのまま受け取ったバイオリンで演奏準備をしはじめた。
「ほ、本当によろしいので?おそれおおい……」
「まあ、そんなに固くならないでくださいな、でも僕は演奏を生業としているわけでもないし、特にうまくもありませんよ?」
ふふっと笑うと僕は二人に訪ねた。
「これは、どちらの方が製作したの?」
「それは、我が祖父が作ったものです。うちの製作所でも近年最高の出来のものです」
「なるほど……深い色が美しいね、そして何より音もすばらしいね……では、一曲」
僕は心配気に見る仙を笑顔で安心させてから、目を瞑り、曲の世界観を思い描いて音を出した。
好きな小曲で、ワルツだ。
気分が明るくなるような伸びやかな曲で、母も好きだった。
弾いていると何故か今回は日本のことを思い出してしまった、懐かしさいっぱいになって弾き終わり、バイオリンを下ろすと感極まった様子の二人の目からは涙が落ちていて、侍女たちもなぜかしんみりしている。
「素晴らしい演奏でございました……その曲は阿羅国でも良く奏でられますが、これほどの弾き手は王妃様だけでございましょう」
「そんな……僕なんて、普通程度の技術しかありませんよ、これは謙遜とかではなく本当のことです……ふふ……それにしても素晴らしい伸びやかな音が出る良いバイオリンです、これを作られたお祖父様は良い職人さんだったのでしょうね」
「はい、なかなか祖父を超えられません」
壮年の製作者が嬉しそうに話した。
「では、これをお預かりいたしまして、調整をいたします」
「ありがとう。こちらにいる間は、どこにお泊りですか?」
「はい、迎賓館の一角の離れを作業できるよう開けてくださいまして、そこで寝泊まりも兼ねて二人でおります」
「そうなの、滞在期間中そこに見に行ってもいいかな?僕もぜひ見学したい」
「もちろんでございます!お待ち申し上げております」
僕は笑顔で二人を見送り、小さな椅子にちょこんと座っていい子にしていた翠を見ると、なんと翠の肩にクーちゃんがいた。
だれも気づかないうちに現れたみたい。
僕は肩にクーちゃんを乗せた翠を抱き上げた。
翠は耳元で「とてもきれいな演奏でした、ぼくバイオリンすきです」と呟いた。
クーちゃんも「クルゥクルゥ」と嬉しげに鳴いた。
本当に翠もクーちゃんも僕のバイオリンが好きだなあ……
子供用のバイオリンを一つ、頼んでみようかな?と思ったりしてね。
親バカな僕。
そのまま部屋に戻とうと廊下に出た僕は、外をじっと見て新人君を思った。
バイオリンをありがとう、新人君。
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