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残された子1
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船が紗国に到着して、タラップを降りて周りを見渡した。
海鳥たちの鳴き声と共に民たちの出迎えでとても賑やかで、僕は少し感動した。
ただここにいるだけで、こんなにも喜んでくれるということが素直にうれしい。
「蘭紗様、薫様、おかえりなさいませ」
港町の長は若い。
はつらつとしていて艶の良い顔は満面の笑みだった。
元々ここら一帯の市場を取り仕切る家系だそうだ。
「それと……孤児院へ行きたいとのことですが……間違いないですか?」
若い長は不思議そうな顔を僕たちに向けた。
「ああ、そうだ。薫がどうしても気になることがあるようでな。案内してくれ」
「かしこまりました」
僕たちは王族の印のついた馬車に乗り、近衛が周りを固めた。
乗馬した町の長と役人が先導する。
「休みも取らず移動で大丈夫だったか?」
「僕は大丈夫ですよ、だって船でもゆっくりしてたんですから」
僕は蘭紗様に笑いかけると、隣に座っている蘭紗様は翠を抱く僕ごと抱きしめた。
「あの、蘭紗様こそ……本来これは蘭紗様のお仕事ではないのに、なんだか巻き込んじゃってすみません」
「何を言う……国にとって子こそ宝だ。視察して悪いことなどないぞ」
「そうですね」
「おかあさま……孤児院に行くんですか?」
翠は不安そうに僕を見上げた。
目が少し潤んでいるように見える。
「翠……前に翠がいたところとは違うんだよ。怖いことも嫌なこともないから安心して。お船でもお話したよね?孤児院がどうなっているか確認するのは僕のお役目なの」
「はい、おかあさまのおやくめ」
翠は噛みしめるように言って僕の胸にぽすっと頭を預けた。
僕は柔らかな髪をそっと撫で、ヘタっとなったちいさな耳を見て不安になった。
「やっぱり……そのまま寄るなんて僕のわがままでしたよね。任せればよかったのかも」
「気にせずともよい、そなたがそう思ったのならなにか意味があるのかもしれない。薫はとにかく考えすぎる。それが良いところでもあるが、気に病みすぎては良くない。もっと自分本位で良いのだよ」
「……はい」
馬車から見える景色は見慣れた感じの港町の風景から変わり、森の奥に入っていく。
目に入る木々はどれも背が高くとても太い。
ここで良い木が取れて家具作りなども盛んだというのがわかる。
「到着でございます」
近衛の声が聞こえ、僕は蘭紗様に手を引かれ降り立った。
そこにはこじんまりとしたレンガ造りの館があった。
壁には蔦が這い、周囲の森に溶け込み、ここが孤児院と知らなければ普通の家のように見える。
「さあ、こちらです」
長の案内通りに歩いて門をくぐり、正面玄関の前まで来ると、脇に野菜の植わった畑があるのが見えた。
そこで手入れをしているのは大人の使用人で安心する。
「まあ……本当にいらした……」
目を丸くしながら手を口にあて、驚いた様子の一人の女性がそこに立っていた。
ふくよかで優しそうな人だ。
「私はこの孤児院の院長をしております、本日はアオアイからお戻りになってそのままいらしたとか……」
「ああ、突然ですまぬな」
後ろからザクザクと砂利を踏む足音が聞こえて振り向くと、涼鱗さんとカジャルさんだった。
「まあ……本当に皆様がお揃いで……さあこちらでございます」
院長は慌てることなくゆっくりとした動きで僕たちを中に入れてくれた。
中に入るときれいに整えられた生活の様子が伺えた。
床も磨かれている。
壁はところどころ修繕されているが、かえってそれがきちんと管理しているのだなと思える。
「子どもたちは今、勉強の時間ですので学び舎に行ってる子もいます。まだ小さい子は学び舎を卒業した子と一緒に書き方や読み方の練習をしております」
そう言いながらメインフロアだと言う部屋のドアを開けてくれた。
広いフローリングの部屋にはあたたかそうな手作りのラグが広げられて、その上でゴロゴロして遊ぶ幼い子と絵本を読んであげている子、そしてなるほど……字を教わっている子もいた。
「おだやかに過ごしているのですね」
僕は思わず感心してその言葉をこぼすと、院長はフフっと笑った。
海鳥たちの鳴き声と共に民たちの出迎えでとても賑やかで、僕は少し感動した。
ただここにいるだけで、こんなにも喜んでくれるということが素直にうれしい。
「蘭紗様、薫様、おかえりなさいませ」
港町の長は若い。
はつらつとしていて艶の良い顔は満面の笑みだった。
元々ここら一帯の市場を取り仕切る家系だそうだ。
「それと……孤児院へ行きたいとのことですが……間違いないですか?」
若い長は不思議そうな顔を僕たちに向けた。
「ああ、そうだ。薫がどうしても気になることがあるようでな。案内してくれ」
「かしこまりました」
僕たちは王族の印のついた馬車に乗り、近衛が周りを固めた。
乗馬した町の長と役人が先導する。
「休みも取らず移動で大丈夫だったか?」
「僕は大丈夫ですよ、だって船でもゆっくりしてたんですから」
僕は蘭紗様に笑いかけると、隣に座っている蘭紗様は翠を抱く僕ごと抱きしめた。
「あの、蘭紗様こそ……本来これは蘭紗様のお仕事ではないのに、なんだか巻き込んじゃってすみません」
「何を言う……国にとって子こそ宝だ。視察して悪いことなどないぞ」
「そうですね」
「おかあさま……孤児院に行くんですか?」
翠は不安そうに僕を見上げた。
目が少し潤んでいるように見える。
「翠……前に翠がいたところとは違うんだよ。怖いことも嫌なこともないから安心して。お船でもお話したよね?孤児院がどうなっているか確認するのは僕のお役目なの」
「はい、おかあさまのおやくめ」
翠は噛みしめるように言って僕の胸にぽすっと頭を預けた。
僕は柔らかな髪をそっと撫で、ヘタっとなったちいさな耳を見て不安になった。
「やっぱり……そのまま寄るなんて僕のわがままでしたよね。任せればよかったのかも」
「気にせずともよい、そなたがそう思ったのならなにか意味があるのかもしれない。薫はとにかく考えすぎる。それが良いところでもあるが、気に病みすぎては良くない。もっと自分本位で良いのだよ」
「……はい」
馬車から見える景色は見慣れた感じの港町の風景から変わり、森の奥に入っていく。
目に入る木々はどれも背が高くとても太い。
ここで良い木が取れて家具作りなども盛んだというのがわかる。
「到着でございます」
近衛の声が聞こえ、僕は蘭紗様に手を引かれ降り立った。
そこにはこじんまりとしたレンガ造りの館があった。
壁には蔦が這い、周囲の森に溶け込み、ここが孤児院と知らなければ普通の家のように見える。
「さあ、こちらです」
長の案内通りに歩いて門をくぐり、正面玄関の前まで来ると、脇に野菜の植わった畑があるのが見えた。
そこで手入れをしているのは大人の使用人で安心する。
「まあ……本当にいらした……」
目を丸くしながら手を口にあて、驚いた様子の一人の女性がそこに立っていた。
ふくよかで優しそうな人だ。
「私はこの孤児院の院長をしております、本日はアオアイからお戻りになってそのままいらしたとか……」
「ああ、突然ですまぬな」
後ろからザクザクと砂利を踏む足音が聞こえて振り向くと、涼鱗さんとカジャルさんだった。
「まあ……本当に皆様がお揃いで……さあこちらでございます」
院長は慌てることなくゆっくりとした動きで僕たちを中に入れてくれた。
中に入るときれいに整えられた生活の様子が伺えた。
床も磨かれている。
壁はところどころ修繕されているが、かえってそれがきちんと管理しているのだなと思える。
「子どもたちは今、勉強の時間ですので学び舎に行ってる子もいます。まだ小さい子は学び舎を卒業した子と一緒に書き方や読み方の練習をしております」
そう言いながらメインフロアだと言う部屋のドアを開けてくれた。
広いフローリングの部屋にはあたたかそうな手作りのラグが広げられて、その上でゴロゴロして遊ぶ幼い子と絵本を読んであげている子、そしてなるほど……字を教わっている子もいた。
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僕は思わず感心してその言葉をこぼすと、院長はフフっと笑った。
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