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紗国の花祭り3
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春の花祭りが続く中、僕は各国から訪れる王侯貴族たちのおもてなしに力を入れた。
これまで紗国では長らく王妃が不在だったために、お茶会や優雅な催し物が不足していると言われていた。
それを払拭するために、久利紗様や、喜紗さんの妃たちとで相談しあったのだ。
だけど僕の思惑は外れ、喜紗さんの奥さん方もこれまでそれほど表舞台に出ていないので、色んなことがとても不慣れのようだった。
ならば不慣れ同士、皆で慣れていきましょうと、僕が積極的に皆と組んだ。
カジャルさんも協力してくれて、あちこち送迎などの割り振りを担当してくれている。
今日は、いわゆる女子会っぽい集まりを企画して、僕ではなく久利紗様に主催をお願いしてみた。
そして僕は今、幼い王女や王子を集めた子供会のような催し物をしている。
子どもたちに囲まれるのはとても楽しくて、時間が短く感じた。
僕は日本にいれば、父の秘書のような役割を担っていただろうが、こういう子供と接する仕事もありだったかもしれないなと、ふと思う。
まあ、日本の僕の立場でそれが許されたとは思えないけれど……
普段から翠や留紗、そして香夜葉がとてもかわいくて、つい面倒をみてしまって、子供の近くにいることの幸せを知ってしまった今では、息苦しかった日本の生活が遠い夢のように感じる。
今が僕のようやく始まった人生、そう思えるんだ。
「ねえ、かおるさま!これ!」
ラハーム王国の幼い王子は涼鱗さんの従弟だ。
白く透き通るような肌に、ピンクの頬、くりっとした赤い目をして白く美しい髪をパッツリと肩で切りそろえている。
可愛いと言うよりも美しい王子だ。
蛇族だから皆が皆白くて赤い目とは限らない。
というよりも、ほぼ王族にしか出ない色なのだそうだ。
その色が出ると魔力も体も強く、人を率いるのに適した人材とわかるらしい。
その幼い王子は両手のひらを丸くして水を汲むようにしている。
その手の中を見ると、彼の小さな手よりも大きな赤い花びらが乗せられていた。
「かおるさま、これね、持って帰ってもいいのですか?」
「いいよ、下に落ちているものなら拾っても良いよ。でも、咲いてるお花からは取っちゃだめだからね」
「はい、じめんに、おちていたんです……これ、ははうえにとどけたいんです」
「おかあさまに?」
「はい、ははうえはいま、たまごを産む前でこもっていらっしゃるので」
「たまご……」
そうだった蛇族は卵生だった。
人が子を生むのと同じく、卵を産む時は体力の消耗が激しく、そして命を落とす者もあると喜紗さんの講義で聞いた。
そしてその前後には一人でこもるのだとも。
「そうなの、あえなくて寂しいね」
王子は小さな頭を振って笑顔になった。
「いえ、さみしくなんてありません。ぼくも兄上になるのです」
「赤ちゃんが生まれるのですか?」
走り回っていた翠と香夜葉が僕の背の方から現れて王子に話しかけた。
「はい、そうなんです」
恥ずかしそうににっこりと笑って、そして手に乗せた花びらを翠と香夜葉に見せた。
「これは、だからその……ははうえのお心をいやしてさしあげたくて」
「その色……とってもきれい」
「お母さん、喜ぶね」
香夜葉は少しさみしげにそう呟いて目線を落とした。
香夜葉の母は、病状が悪くなるにつれお腹が張っていったそうだ。
大きくなったお腹を赤ちゃんがいると勘違いした香夜葉は、妹か弟ができるととても喜んでいたらしい。
そういうたくさんの思い出を懐かしく思えるほど、この子はまだ……立ち直っているわけではない。
きっと今、泣きたいほどお母さんが恋しいだろう……
だけど彼は、今の自分の置かれた環境がとても素晴らしいものだときちん理解している。
今はつらくてもきっと踏ん張ってくれる、そう感じているから、僕はそっと見守るだけにしたい……そう思った。
「じゃあ……つなげるのはどうですか?さっきから僕も翠紗様と花びらを集めていたんですけど」
「つなげる?」
「そう……糸でつなげるのです。あるかな?……」
香夜葉はそっと周りを見渡した。
これまで紗国では長らく王妃が不在だったために、お茶会や優雅な催し物が不足していると言われていた。
それを払拭するために、久利紗様や、喜紗さんの妃たちとで相談しあったのだ。
だけど僕の思惑は外れ、喜紗さんの奥さん方もこれまでそれほど表舞台に出ていないので、色んなことがとても不慣れのようだった。
ならば不慣れ同士、皆で慣れていきましょうと、僕が積極的に皆と組んだ。
カジャルさんも協力してくれて、あちこち送迎などの割り振りを担当してくれている。
今日は、いわゆる女子会っぽい集まりを企画して、僕ではなく久利紗様に主催をお願いしてみた。
そして僕は今、幼い王女や王子を集めた子供会のような催し物をしている。
子どもたちに囲まれるのはとても楽しくて、時間が短く感じた。
僕は日本にいれば、父の秘書のような役割を担っていただろうが、こういう子供と接する仕事もありだったかもしれないなと、ふと思う。
まあ、日本の僕の立場でそれが許されたとは思えないけれど……
普段から翠や留紗、そして香夜葉がとてもかわいくて、つい面倒をみてしまって、子供の近くにいることの幸せを知ってしまった今では、息苦しかった日本の生活が遠い夢のように感じる。
今が僕のようやく始まった人生、そう思えるんだ。
「ねえ、かおるさま!これ!」
ラハーム王国の幼い王子は涼鱗さんの従弟だ。
白く透き通るような肌に、ピンクの頬、くりっとした赤い目をして白く美しい髪をパッツリと肩で切りそろえている。
可愛いと言うよりも美しい王子だ。
蛇族だから皆が皆白くて赤い目とは限らない。
というよりも、ほぼ王族にしか出ない色なのだそうだ。
その色が出ると魔力も体も強く、人を率いるのに適した人材とわかるらしい。
その幼い王子は両手のひらを丸くして水を汲むようにしている。
その手の中を見ると、彼の小さな手よりも大きな赤い花びらが乗せられていた。
「かおるさま、これね、持って帰ってもいいのですか?」
「いいよ、下に落ちているものなら拾っても良いよ。でも、咲いてるお花からは取っちゃだめだからね」
「はい、じめんに、おちていたんです……これ、ははうえにとどけたいんです」
「おかあさまに?」
「はい、ははうえはいま、たまごを産む前でこもっていらっしゃるので」
「たまご……」
そうだった蛇族は卵生だった。
人が子を生むのと同じく、卵を産む時は体力の消耗が激しく、そして命を落とす者もあると喜紗さんの講義で聞いた。
そしてその前後には一人でこもるのだとも。
「そうなの、あえなくて寂しいね」
王子は小さな頭を振って笑顔になった。
「いえ、さみしくなんてありません。ぼくも兄上になるのです」
「赤ちゃんが生まれるのですか?」
走り回っていた翠と香夜葉が僕の背の方から現れて王子に話しかけた。
「はい、そうなんです」
恥ずかしそうににっこりと笑って、そして手に乗せた花びらを翠と香夜葉に見せた。
「これは、だからその……ははうえのお心をいやしてさしあげたくて」
「その色……とってもきれい」
「お母さん、喜ぶね」
香夜葉は少しさみしげにそう呟いて目線を落とした。
香夜葉の母は、病状が悪くなるにつれお腹が張っていったそうだ。
大きくなったお腹を赤ちゃんがいると勘違いした香夜葉は、妹か弟ができるととても喜んでいたらしい。
そういうたくさんの思い出を懐かしく思えるほど、この子はまだ……立ち直っているわけではない。
きっと今、泣きたいほどお母さんが恋しいだろう……
だけど彼は、今の自分の置かれた環境がとても素晴らしいものだときちん理解している。
今はつらくてもきっと踏ん張ってくれる、そう感じているから、僕はそっと見守るだけにしたい……そう思った。
「じゃあ……つなげるのはどうですか?さっきから僕も翠紗様と花びらを集めていたんですけど」
「つなげる?」
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香夜葉はそっと周りを見渡した。
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