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番外編
まざりの子 6 (翠の挿絵アリ)
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近衛の人は、まだ濡れたままの僕をそっと抱き上げてお風呂場に向かってくれる。
「あの……ぼく、きたないから……よごれがついちゃう」
恥ずかしくて声が小さくなった。
「大丈夫だ、気にせずともよい、そなたは幼いのだ、そなたのせいではないぞ」
ほっとする優しい目つきで近衛の人は微笑んでくれた。
どうして、こんなに優しく微笑むんだろう。
胸が嬉しさであふれて苦しくなった。
風呂場に着くと、もう一人の近衛の人が待ち構えていて、泡立てた石鹸とタオルで僕を洗ってくれた。
何度も泡を立てて、流す水がきれいになるまで、温かいお湯をかけてくれた。
あったかくていい匂いがした。
「この髪は……だめだな……絡まって取れぬ」
「ああ、切ってしまうか」
「ではハサミを借りてこよう」
「いや、これで」
近衛の人は脇にさしていた短剣を出すと器用に僕の髪をほどくように切っていってくれた。
僕の髪は、汚く絡まって引き攣れたようになっていて、実は頭皮が痛かったのだけど、それがほどけて楽になっていく。
「辛かっただろう……」
「お前はちゃんと人だよ、薫様がおっしゃる通りだ」
「ああ、そうだ、だからもう心配せずとも、ちゃんとここでほかの子らと共に暮らせるようになるからな」
そしてさらに石鹸で髪も何度も洗ってくれた。
もしゃもしゃもしゃと髪を洗われて、顔に泡が降ってくる。
はじめての感覚に驚きながら、目を閉じてじっとした。
嬉しさがこみあげてくるのに、慣れないことに少し怖くなって震えた。
「ありがとう」
洗い終わって布で拭かれながら、お礼を伝えた。
頬がゆるんだ気がする。
笑顔が出たんだ。
「……構わないさ」
「ああ、当然のことだ、さあ行くよ」
そして、おにいさんのお下がりの着物を着せられた。
草木模様のよそ行きの着物だ。
そのまま手をつないで外にもう一度出る。
輝く美しいお嫁様は真ん丸な目をして驚いて僕を見つめていた。
「ちょっと髪を乾かすぞ」
近衛の人が風の魔法で僕の髪を乾かしてくれた。
寒気が来て、ぶるっと震えてしまったけど、こんなふうに世話してもらえて、今日は本当に幸せな日だなって、そう思った。
そうか……僕……僕も……
「……人?」
お嫁様は何度もうなずいてくれた。
「そう、君は人だよ」
「でも……」
「僕がいれば君はもう大丈夫だよ」
お嫁様は女神さまのような微笑みで僕に微笑みかけてくれた。
その時、わかったんだ。
僕……この人に会うために生まれてきたんだって。
会いたかった……僕の……おかあさま……だって。
周りがざわついているけれど、もう誰の声も聞こえなかった。
そっと差し出された手を握ってみた。
柔らかな手。
この手に抱きしめられたい。
僕の瞳から、涙がこぼれ落ちて……それはもう、止めようがなかった。
僕は何のために生まれたんだろう、いじめられるために?
そうじゃなかった。
おかあさま。
ようやく会えたね。
おかあさま。
僕の視界は歪んで、何も見えなくなった。
柔らかな手に、導かれ、前に歩き出す。
この人と一緒に行けるなら、僕はどこにでも行くよ。
迎えにきてくてくれて、ありがとう。
おかあさま
「あの……ぼく、きたないから……よごれがついちゃう」
恥ずかしくて声が小さくなった。
「大丈夫だ、気にせずともよい、そなたは幼いのだ、そなたのせいではないぞ」
ほっとする優しい目つきで近衛の人は微笑んでくれた。
どうして、こんなに優しく微笑むんだろう。
胸が嬉しさであふれて苦しくなった。
風呂場に着くと、もう一人の近衛の人が待ち構えていて、泡立てた石鹸とタオルで僕を洗ってくれた。
何度も泡を立てて、流す水がきれいになるまで、温かいお湯をかけてくれた。
あったかくていい匂いがした。
「この髪は……だめだな……絡まって取れぬ」
「ああ、切ってしまうか」
「ではハサミを借りてこよう」
「いや、これで」
近衛の人は脇にさしていた短剣を出すと器用に僕の髪をほどくように切っていってくれた。
僕の髪は、汚く絡まって引き攣れたようになっていて、実は頭皮が痛かったのだけど、それがほどけて楽になっていく。
「辛かっただろう……」
「お前はちゃんと人だよ、薫様がおっしゃる通りだ」
「ああ、そうだ、だからもう心配せずとも、ちゃんとここでほかの子らと共に暮らせるようになるからな」
そしてさらに石鹸で髪も何度も洗ってくれた。
もしゃもしゃもしゃと髪を洗われて、顔に泡が降ってくる。
はじめての感覚に驚きながら、目を閉じてじっとした。
嬉しさがこみあげてくるのに、慣れないことに少し怖くなって震えた。
「ありがとう」
洗い終わって布で拭かれながら、お礼を伝えた。
頬がゆるんだ気がする。
笑顔が出たんだ。
「……構わないさ」
「ああ、当然のことだ、さあ行くよ」
そして、おにいさんのお下がりの着物を着せられた。
草木模様のよそ行きの着物だ。
そのまま手をつないで外にもう一度出る。
輝く美しいお嫁様は真ん丸な目をして驚いて僕を見つめていた。
「ちょっと髪を乾かすぞ」
近衛の人が風の魔法で僕の髪を乾かしてくれた。
寒気が来て、ぶるっと震えてしまったけど、こんなふうに世話してもらえて、今日は本当に幸せな日だなって、そう思った。
そうか……僕……僕も……
「……人?」
お嫁様は何度もうなずいてくれた。
「そう、君は人だよ」
「でも……」
「僕がいれば君はもう大丈夫だよ」
お嫁様は女神さまのような微笑みで僕に微笑みかけてくれた。
その時、わかったんだ。
僕……この人に会うために生まれてきたんだって。
会いたかった……僕の……おかあさま……だって。
周りがざわついているけれど、もう誰の声も聞こえなかった。
そっと差し出された手を握ってみた。
柔らかな手。
この手に抱きしめられたい。
僕の瞳から、涙がこぼれ落ちて……それはもう、止めようがなかった。
僕は何のために生まれたんだろう、いじめられるために?
そうじゃなかった。
おかあさま。
ようやく会えたね。
おかあさま。
僕の視界は歪んで、何も見えなくなった。
柔らかな手に、導かれ、前に歩き出す。
この人と一緒に行けるなら、僕はどこにでも行くよ。
迎えにきてくてくれて、ありがとう。
おかあさま
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