狐の国のお嫁様 ~紗国の愛の物語~

真白 桐羽

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番外編

ある日の僕の冒険3

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「もちろんですとも、紗国にお嫁様がおいでになったことは、全世界が知ることですよ」

長のユベンさんはとっても優雅で見惚れてしまう。
すっと僕の横に立ち、一緒に歩くことになった。

「それに……今回のことは……こちらに落ち度がありそうなのです、謝罪せねばなりませんね」
「ええ?」

僕は驚いて背の高いユベンさんを見上げた。
とっても背が高いんだよね。

「詳しくお話したいのですけどね、ここでは人目があります。どうぞ神殿にお越しください」
「わぁ……神殿?!」

こんなにも美しい里の神殿だなんて、どれほどの豪華さだろうか!
僕はドキドキしてきて、思わず何度もうなずいたよ。

「はい、ぜひ!」

その様子に眉を下げて微笑んでくれたユベンさんと僕は歩を進めた。

僕を出迎えようとして、たくさんの人が通りに立っていた。
エルフ達は皆スタイルが良くって綺麗だしかっこいい、そういえば紗国にいるラージ先生もすらりと背が高かったなあと思って、ふむふむと頷く。

日本にいたころ本で読んでいた通りの見た目や存在感に僕のわくわくはおさまらない。

「そういえば、それをお召しでは暑くありませんか?」

知らずに汗をかいていた僕、そういわれてあらためて周りを見てエルフ達の装束が薄布であることに気づいた。

「この里はあたたかいのですね、外はあんなに雪だったのに……」
「ええ、結界の中ではさほど温度の変化はございません」
「もしかして、雨も降らないのですか?」
「いえいえ、雨は降ってきますよ、あれは恵みですからね」

にっこりと微笑んでユベンさんは話してくれる。
優しい人だなって、僕も笑顔を返した。

「神殿でお着替えなさったらいかがですか?」
「いえ、この上着を脱ぐだけで大丈夫そうですし」
「遠慮はいりませんよ。ご迷惑をかけたのです、できるだけのことをさせてください」

そう切なげな表情で言われて、思わず頷いた僕、なんだか流されています……

「こちらですよ」

目の前に現れた白亜の神殿を見上げた、ヨーロッパにある美しい教会を思い起こさせた。

「わあ……なんて美しい……」
「ふふ……ありがとうございます」

ユベンさんは余裕たっぷりに僕をエスコートしてくれて、神殿の中へと入った。

「では、お疲れでしょうしね、私の自慢の庭にでもいらっしゃいませんか?花々が癒してくれます。そこでお茶を用意いたしましょうね」
「わあ……うれしい」

僕の目はきっと今輝いている!

神殿の中は清浄な空気で満たされ、シンとして、そしてキラキラと輝く光が見えた。
どこを見てもホウとため息がでる、そんなところ。
夢みたいな場所だなって思った。

ほどなくユベンさんのお庭に着いた、僕は遠慮なく外套を脱がせてもらって、それをお着きの人に預けた。
……と言っても、この外套に見覚えがないので、僕のでもないわけだけど……

 庭は真ん丸に切り取られたように存在する神殿の中の中庭だった。
大きな木が植えられていて、その足元に小さな池があって、そしてその周りを色とりどりの花が咲いている。

ここに翠がいたら、きっと両手を広げて喜ぶだろうなと、笑顔になった後、ふと寂しくなった。 

 ユベンさんはお茶の用意が済んだお付きの人を遠ざけ、僕たちは二人きりになった。

「どうか……私の謝罪を受け入れてくださいませ」

ユベンさんは美しい髪の毛をサラサラとなびかせて、僕に頭を下げた。
慌ててその体勢を戻すように言うと、ユベンさんは情けなさそうな顔を上げ、ため息をついた。

「うちの……眠り姫があなたをここに連れて来たのでしょう……たぶん」
「え?眠り姫ですって??」

ユベンさんは困った顔のまま首を傾げ、僕を見つめた。
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