死のうと思っていたら悪役令嬢になったのでバッドエンドを目指します

夜納木ナヤ

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侍女とドレスと照れた顔

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「こんなに着飾らなくてもいいのでは……」

私は必死に抵抗した。だが、家は許してくれなかった。

侍女たちは私を取り押さえ、ひらひらのドレスを着せ、お化粧をし、髪を念入りに整えられた。

鏡の前にいるクリスティーナは、戦闘準備万端。
今すぐにでも舞踏会にいけるほどに美しい。

「クリスティーナ様、お美しいです!」
「これなら王子の心もイチコロです!」

なんて、侍女たちがやたら騒ぎ立てている。
途中から諦めてされるがままにされていたから気がついた。

彼女たちは、好き好んで私を着飾っていた。
まるで女子が集まって、デート前のオシャレをしている時のようなノリだった。

もっとも、前世の私には友達がいなかったし、デートもしたことがないから、想像でしかないのだが……。

確実に言えるのは、侍女たちからはクリスティーナという悪役令嬢に対する嫌悪は感じなかった。

「美しいのもそうですが……本当に可愛らしい……」
「可愛いは違うのでは……」

侍女の笑顔に釣られて笑みを浮かべそうになるのを、下を向くことでなんとか抑えた。

「そんなことはありません」
「そうです。今の照れている表情もたまりません!」
「照れている……?」

言われて鏡を見ると、頬を赤く染めたクリスティーナがいた。
これはたしかにヤバい。破壊力がありすぎる。

気の強そうなツリ目の美少女が、見るからに照れている。
ギャップがありすぎて、私がゲームのプレイヤーだったら悶てしまう。

悪役令嬢の面影はなく、思わず応援したくなる空気をまとった女の子だ。
実際にゲームで出てきたら、人気が出来ること間違い無しだ。

「ほら、だから私は言ったじゃないですか!クリスティーナ様は可愛らしいと!」
「……どうしてアリスさんがここに?」
「クリスティーナ様のお友達とお伺いしましたので」
「まさかクリスティーナ様にお友達が出来るなんて……」

ゲームのクリスティーナは、周囲を見下しているところがあり、他人は自分のために動くものだと思っている。当然友達なんているはずはなく、自宅に招くような親しい間柄の相手もいない。

「クリスティーナ様の可愛さを理解できないなんて、皆さん損しています!」
「いえ、アリス様。以前のクリスティーナ様はこうではなかったので」
「ええ、それはもう、まさに悪役といった立ち振舞いで」

おいおい侍女たちよ。それは本人の前で言うようなことではないんじゃないかな?

「アリス様、どうでしょうか?」
「完璧です!これなら王子もイチコロまちがいなし!」
「王子が私に……」

そんなことは考えもしなかった。それに、本当にいいのだろうか。
私なんかが王子と結ばれても。

「それでは参りましょう」

侍女の言葉を合図に、王子の待つ城へと向かうのだった。
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