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第二章
恋の参考書
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あともう少し、あともう少し………と、
目の前に見える葵依ちゃんの姿を目指しながら懸命に走っていると、バトンを渡す前に派手に転んでしまった。
ど、どうしよう。手足が動かない......
焦っていると、葵依ちゃんがバトンを拾い、美香ちゃんを追いかけるように走っていった。
その後ろ姿をただ見つめる事しか出来なかった。
その後、黄組に最初は負けていたものの、葵依ちゃんが頑張ってくれて、
最後には黄組を抜かし、1位をとることが出来た。
葵依ちゃんの判断がなかったら、きっと勝てなかった。それに比べて私は………みんなの足、引っ張ってる。
転けた時に出来た傷口からところどころ血が出ている。リーダーのくせに、情けないな......
こんな姿を先輩に見られたくなかったと、
あともう少しで涙がこぼれ落ちそうになった時、突然体が一気に宙に浮いて軽くなった。
何が起こったのか分からなくて、周りを見渡したら、自分の顔の近くには先輩の顔が。
ートクン
か、顔近すぎる!と、
驚いてしまって、バランスを崩しそうになっても、先輩は私を優しく支えてくれた。
そして、人混みをかき分けて運ぼうとしてくれた。
な、なんで?先輩こんな事するキャラじゃ......
ートクン
ートクン
こんな事、都合が良いのかもしれないけど......期待してしまってもいいのかな?
ーガラッ
「失礼します......って、先生居ないか」
って事は、2人っきり!?
ートクン
「ベットの上でも座ってて」
「は、はい...」
そーえば、告白して以来、まともに話していないよね?そうやって、意識するとぎごちなくなってしまいそう。
先輩、こっち向いてくれない。
近くに居てくれてるけど、全く話しかけてくれない。
嫌われちゃったの、かな...
「弘大」
先輩の裾をそっと握る。
ートクン
ートクン
「私の気持ち、迷惑……に、なって……る?」
もし、迷惑になってたら、もう諦めるから…
「俺さ」
「う、うん?」
「藍が転けた時、真っ先に助けに行こうとした」
ートクン
せ、先輩……
「でも、応援があったから無理だったけど」
そっか。確か先輩は赤組団長だから応援………応援……
「先輩!次の部の応援、しないといけないんじゃ……」
みんなを引っ張っていかないといけないのに。
「大丈夫。綺月に任せたから」
「……綺月って、誰ですか?」
先輩が下の名前で呼ぶなんて、珍しい。
「生徒会長で俺の幼なじみ」
生徒会長って事は、同級生や先輩、後輩、先生に信頼されている人。
で、何もかもが完璧な人。
幼なじみって事は、女子の中で1番先輩の近くにいられる人。
で、小さい頃の先輩を知っている人。
そうやって考えると、嫉妬する気持ちが溢れて、涙がこぼれ落ちそうになる。
先輩の前なのに。
「え、あ、藍………?」
先輩はただ私を見て、驚いた顔をした。
あれ、なんで驚いて、る………?
いつの間にか私の顔には涙がこぼれ落ちていた。
どうしたらいいのか分からなくて、思わず下を向く。
そんな中、廊下からだんだんと足音が大きくなって、保健室に近づいてくるのが聞こえてきた。
誰か来る!ど、どうしよう。
こんな姿を誰かに見られたら、先輩が何かして泣かせたって勘違いされる。
そんなの嫌だけど、動けない。
どうしようと悩んでいると、
ーグイッ
いつの間にか先輩の腕の中にいた。
ーガラッ
「弘大ー」
ートクン
ートクン
先輩はこのままどーする気なのかな?
この姿のままばれたら、ばれたら……!
「あ、綺月」
先輩だけがベットのカーテンの前に出て、私の姿だけそっと隠してくれた。
「あの子は大丈夫なの?」
「うん。擦り傷ですんだよ。けど、頭が痛いらしいから、少し寝かせてる」
せ、先輩。私のために嘘をついてくれた。
先輩は嘘をつくの好きじゃないのに……
「こ、弘大、ハチマキ交換しない?」
「え?なんで?」
ハチマキ交換はこの学校に伝わる伝統イベント。
好きな人とハチマキ交換をしたら、その恋は必ず上手くいくっていう伝説。
「………なんでって、それは……」
え?……って事は、夜白先輩は真山先輩の事を?
「昔から、弘大の事が大好きだから」
やっぱり、そーなんだ....
「なんで察してくれないの?昔から鈍感すぎるよ」
夜白先輩は昔から好きなんだ。
きっと、夜白先輩の方が真山先輩の事……
「……あの子と付き合い始めた時、最初は悔しかった。誰よりも弘大の近くに居たのにって」
あの子っていうのは、きっと私の事だ。
先輩が付き合ったのは私が初めてだったから。
「けど、弘大が幸せそうにしているのを見て、なんとなく諦めがついた。弘大が幸せならいっかって」
夜白先輩……
「なのに、弘大は途中からだんだんと一ノ瀬さんに気持ちがいってた。告白してた時も近くで聞いてた」
その事を夜白先輩も知ってたんだ。
誰よりも近くに……側で見てきたから。
私の知らない真山先輩の事を。
「ふられた時は正直いって嬉しかった。まだ、私にはチャンスがあるんじゃないかって」
夜白先輩の気持ちが分かる気がする。手にとるように。
私だって、葵依ちゃんにふられたって分かった時、正直言って嬉しい気持ちもあった。
先輩の恋は叶ってほしいとは思いつつも、内申はきっとそうだったんだと思う。
もし、今、夜白先輩に告白されたとしたら、真山先輩はどうするのかな?
気持ちが向いてなかったとしても、夜白先輩が頑張ったら......
そう思うと、今告白してほしくないっていう気持ちが、溢れて、溢れて………それを止めたかった。
けど、真山先輩は夜白先輩と付き合う方がお似合い。
2人とも完璧な人でモテるから、学校中のみんなが認めるカップルになると思う。
それに比べて、私と付き合っている時、一部の人は認めてくれてなかったと思う。
だから、真山先輩と付き合う相手は、
「弘大の事がずっと前から好きです」
夜白先輩の方が……
「弘大は………誰のことが好きなの?」
「分からない」
「じゃ、じゃあ、私と付き合って」
夜白先輩は真山先輩にゆっくりと歩み寄って行く。
真剣そうに見える顔の底には、恥ずかしそうにしている一面もあるように見えた。
「ごめん。約束している子がいるんだ」
真山先輩………私としたあの約束を覚えてくれてたんだ。
「弘大」
夜白先輩は真山先輩を呼ぶと、顔を近くに寄せた。
先輩同士の距離は簡単にキスが出来そうな距離だった。
そつと真白先輩の綺麗な髪の毛の先が真山先輩の肩に。
真白先輩は自分のハチマキを外すと、保健室の窓からの隙間風でゆらりと揺れ始めた。
瞬きをする瞬間もなく、2人は更に距離を縮め、だんだんと真白先輩は真山先輩の顔に近づいていく。
そこからはどーなったのかよく分からなかった。
私からの角度では2人がキスをしたのか、はっきりと私の目では見ることが出来なかった。
でも、確かなのは、真山先輩にキスをしようとしていた事。
あんな美人からキスをされると、堕ちない人なんて、あんまりいないよ、ね?
2人の距離がだんだんと離れていくと、真山先輩の顔がカーテンの隙間からはっきりと見え、自分の顔を手で覆い隠していた。………顔が赤い。
先輩の事、1番に信じたいけど、2人が付き合ってもおかしくないって思ってしまう。
さっきも思ったけど、やっぱり先輩には真白先輩の方が断然お似合い。
私の気持ちなんて、ちっぽけな夢にすぎない。
これからこの気持ちをどうやって対処すればいいの?と、思っていると、体は自然と動いていた。
「藍!?」
ーガラッ
誰もいない廊下をただただ走る。
廊下中に自分の足音がはっきりと聞こえてくる。
後ろから先輩が来てくれるなんて思ってなかったけど、どこか期待してて、いつの間にか立ち止まっていた。
先輩の足音が聞こえない。
先輩の姿が見えない。
先輩は私じゃなくて、真白先輩を選んだんだ。
………恋の参考書さえあれば、恋なんて簡単なのに。
目の前に見える葵依ちゃんの姿を目指しながら懸命に走っていると、バトンを渡す前に派手に転んでしまった。
ど、どうしよう。手足が動かない......
焦っていると、葵依ちゃんがバトンを拾い、美香ちゃんを追いかけるように走っていった。
その後ろ姿をただ見つめる事しか出来なかった。
その後、黄組に最初は負けていたものの、葵依ちゃんが頑張ってくれて、
最後には黄組を抜かし、1位をとることが出来た。
葵依ちゃんの判断がなかったら、きっと勝てなかった。それに比べて私は………みんなの足、引っ張ってる。
転けた時に出来た傷口からところどころ血が出ている。リーダーのくせに、情けないな......
こんな姿を先輩に見られたくなかったと、
あともう少しで涙がこぼれ落ちそうになった時、突然体が一気に宙に浮いて軽くなった。
何が起こったのか分からなくて、周りを見渡したら、自分の顔の近くには先輩の顔が。
ートクン
か、顔近すぎる!と、
驚いてしまって、バランスを崩しそうになっても、先輩は私を優しく支えてくれた。
そして、人混みをかき分けて運ぼうとしてくれた。
な、なんで?先輩こんな事するキャラじゃ......
ートクン
ートクン
こんな事、都合が良いのかもしれないけど......期待してしまってもいいのかな?
ーガラッ
「失礼します......って、先生居ないか」
って事は、2人っきり!?
ートクン
「ベットの上でも座ってて」
「は、はい...」
そーえば、告白して以来、まともに話していないよね?そうやって、意識するとぎごちなくなってしまいそう。
先輩、こっち向いてくれない。
近くに居てくれてるけど、全く話しかけてくれない。
嫌われちゃったの、かな...
「弘大」
先輩の裾をそっと握る。
ートクン
ートクン
「私の気持ち、迷惑……に、なって……る?」
もし、迷惑になってたら、もう諦めるから…
「俺さ」
「う、うん?」
「藍が転けた時、真っ先に助けに行こうとした」
ートクン
せ、先輩……
「でも、応援があったから無理だったけど」
そっか。確か先輩は赤組団長だから応援………応援……
「先輩!次の部の応援、しないといけないんじゃ……」
みんなを引っ張っていかないといけないのに。
「大丈夫。綺月に任せたから」
「……綺月って、誰ですか?」
先輩が下の名前で呼ぶなんて、珍しい。
「生徒会長で俺の幼なじみ」
生徒会長って事は、同級生や先輩、後輩、先生に信頼されている人。
で、何もかもが完璧な人。
幼なじみって事は、女子の中で1番先輩の近くにいられる人。
で、小さい頃の先輩を知っている人。
そうやって考えると、嫉妬する気持ちが溢れて、涙がこぼれ落ちそうになる。
先輩の前なのに。
「え、あ、藍………?」
先輩はただ私を見て、驚いた顔をした。
あれ、なんで驚いて、る………?
いつの間にか私の顔には涙がこぼれ落ちていた。
どうしたらいいのか分からなくて、思わず下を向く。
そんな中、廊下からだんだんと足音が大きくなって、保健室に近づいてくるのが聞こえてきた。
誰か来る!ど、どうしよう。
こんな姿を誰かに見られたら、先輩が何かして泣かせたって勘違いされる。
そんなの嫌だけど、動けない。
どうしようと悩んでいると、
ーグイッ
いつの間にか先輩の腕の中にいた。
ーガラッ
「弘大ー」
ートクン
ートクン
先輩はこのままどーする気なのかな?
この姿のままばれたら、ばれたら……!
「あ、綺月」
先輩だけがベットのカーテンの前に出て、私の姿だけそっと隠してくれた。
「あの子は大丈夫なの?」
「うん。擦り傷ですんだよ。けど、頭が痛いらしいから、少し寝かせてる」
せ、先輩。私のために嘘をついてくれた。
先輩は嘘をつくの好きじゃないのに……
「こ、弘大、ハチマキ交換しない?」
「え?なんで?」
ハチマキ交換はこの学校に伝わる伝統イベント。
好きな人とハチマキ交換をしたら、その恋は必ず上手くいくっていう伝説。
「………なんでって、それは……」
え?……って事は、夜白先輩は真山先輩の事を?
「昔から、弘大の事が大好きだから」
やっぱり、そーなんだ....
「なんで察してくれないの?昔から鈍感すぎるよ」
夜白先輩は昔から好きなんだ。
きっと、夜白先輩の方が真山先輩の事……
「……あの子と付き合い始めた時、最初は悔しかった。誰よりも弘大の近くに居たのにって」
あの子っていうのは、きっと私の事だ。
先輩が付き合ったのは私が初めてだったから。
「けど、弘大が幸せそうにしているのを見て、なんとなく諦めがついた。弘大が幸せならいっかって」
夜白先輩……
「なのに、弘大は途中からだんだんと一ノ瀬さんに気持ちがいってた。告白してた時も近くで聞いてた」
その事を夜白先輩も知ってたんだ。
誰よりも近くに……側で見てきたから。
私の知らない真山先輩の事を。
「ふられた時は正直いって嬉しかった。まだ、私にはチャンスがあるんじゃないかって」
夜白先輩の気持ちが分かる気がする。手にとるように。
私だって、葵依ちゃんにふられたって分かった時、正直言って嬉しい気持ちもあった。
先輩の恋は叶ってほしいとは思いつつも、内申はきっとそうだったんだと思う。
もし、今、夜白先輩に告白されたとしたら、真山先輩はどうするのかな?
気持ちが向いてなかったとしても、夜白先輩が頑張ったら......
そう思うと、今告白してほしくないっていう気持ちが、溢れて、溢れて………それを止めたかった。
けど、真山先輩は夜白先輩と付き合う方がお似合い。
2人とも完璧な人でモテるから、学校中のみんなが認めるカップルになると思う。
それに比べて、私と付き合っている時、一部の人は認めてくれてなかったと思う。
だから、真山先輩と付き合う相手は、
「弘大の事がずっと前から好きです」
夜白先輩の方が……
「弘大は………誰のことが好きなの?」
「分からない」
「じゃ、じゃあ、私と付き合って」
夜白先輩は真山先輩にゆっくりと歩み寄って行く。
真剣そうに見える顔の底には、恥ずかしそうにしている一面もあるように見えた。
「ごめん。約束している子がいるんだ」
真山先輩………私としたあの約束を覚えてくれてたんだ。
「弘大」
夜白先輩は真山先輩を呼ぶと、顔を近くに寄せた。
先輩同士の距離は簡単にキスが出来そうな距離だった。
そつと真白先輩の綺麗な髪の毛の先が真山先輩の肩に。
真白先輩は自分のハチマキを外すと、保健室の窓からの隙間風でゆらりと揺れ始めた。
瞬きをする瞬間もなく、2人は更に距離を縮め、だんだんと真白先輩は真山先輩の顔に近づいていく。
そこからはどーなったのかよく分からなかった。
私からの角度では2人がキスをしたのか、はっきりと私の目では見ることが出来なかった。
でも、確かなのは、真山先輩にキスをしようとしていた事。
あんな美人からキスをされると、堕ちない人なんて、あんまりいないよ、ね?
2人の距離がだんだんと離れていくと、真山先輩の顔がカーテンの隙間からはっきりと見え、自分の顔を手で覆い隠していた。………顔が赤い。
先輩の事、1番に信じたいけど、2人が付き合ってもおかしくないって思ってしまう。
さっきも思ったけど、やっぱり先輩には真白先輩の方が断然お似合い。
私の気持ちなんて、ちっぽけな夢にすぎない。
これからこの気持ちをどうやって対処すればいいの?と、思っていると、体は自然と動いていた。
「藍!?」
ーガラッ
誰もいない廊下をただただ走る。
廊下中に自分の足音がはっきりと聞こえてくる。
後ろから先輩が来てくれるなんて思ってなかったけど、どこか期待してて、いつの間にか立ち止まっていた。
先輩の足音が聞こえない。
先輩の姿が見えない。
先輩は私じゃなくて、真白先輩を選んだんだ。
………恋の参考書さえあれば、恋なんて簡単なのに。
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