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第三章
嫉妬
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葵依……今頃、上手くいってるのかな?
上手くいってほしいな。ほんと。
告白したいって言ってた時の葵依かわいかったな……
「場所取りどーする?やっぱり、花火がよく見えるところがいいよね?」
と、零夜の方を向いたら、苦しそうな顔をしていた。
何か我慢しているような……違った表情をしていて、どうしたらいいのか私には分からなかった。
「どうしたの?」
けど、零夜にそんな顔はさせたくなかった。
「……自分が、ものすごく嫌になってる」
「え?」
「俺なんか、誰も好きになってくれないよな……」
そんな顔を見て、胸が締め付けられそうになった。
「私は零夜の事が好きだよ!」
言わずには居られなかった。
零夜のそんな顔は見たくなくて、
そんな辛い思いをしてほしくなくて、
思わず言ってしまっていた。
「だから、そんな悲しい事言わないでよ……」
ートクン
ートクン
「それに!……葵依も翼も零夜の事好きだよ」
と、言うと零夜はさらに苦しそうな顔をした。
………もしかして、地雷踏んじゃったの?
なんでこんなにも苦しそうな顔するの?
してほしくないのに。
見たくないのに。
苦しんでほしくないのに。
なんで、こんなにも……
「そういうのいいから」
涙が出そうなんだろ。
何にも零夜の事、分かってあげられない......
零夜のその顔をしたら無性に泣けてきて、涙を堪えずには居られそうになかった。
何にも私は出来ないの?と、
気持ちに押し潰れそうになりかけた。
「それに、一ノ瀬は俺の事好きじゃないからな」
なんで葵依が出てくるの?
え、ちょっと待って……
「零夜、葵依の事……」
「そうだよ」とでも言いたげな顔を私に見せた。
………零夜がこんなにも元気がなかったのは、
こんなにも苦しそうにしていたのは、
葵依と翼が2人っきりだからだ。
それに、きっと葵依が翼の事が好きだって、
きっと気づいてる……だから、こんなにも……
そうなんだ。葵依なんだ。
………けど、やっぱり私がいいよ。
ブー
ブー
ブー
と、零夜の携帯が鳴った。
「どうした?」
『葵依が居なくなった』
葵依が居なくなった?ってなんで……
『零夜と星野も探すの協……』
翼が言葉を言い終わる前に、携帯の電話通話を何も言わずブチッときって、
どこかに行こうと零夜が足を踏み出した瞬間、
ーギュッ
と、力強く零夜のTシャツの袖を掴んだ。
今は葵依のところに行ってほしくない。
葵依のところに行って、何て言うかって想像したら……
「私は好きだよ!零夜の事……ずっと、ずっと前から。だから!……私じゃ、葵依の変わりになれないの?」
ートクン
ートクン
お願いだから、私に傾いて……
「一ノ瀬は一ノ瀬だ。お前じゃ変わりには出来ない」
と、きっぱり言われて、
私を置いたまま葵依の方に走って行ってしまった。
………私、ふられ…ちゃったんだ。
誰よりも側に居たって思ってたのに、
いつの間にか、葵依の方に気持ちがいってたんだね。
ほんと、何なんだろ。
勘違いしてて、恥ずかしい。
………葵依は零夜の告白、どうするんだろ。
こんなの、想像したくもないよ!
バッと顔を伏せるけど、2人が一緒に居るところを想像してしまって、
もう何もかもがどうでもいいような気がしてきた。
こんなところに居てもしょうがないなって思って、私はその場から離れようとした。
早くお風呂に入って……早く寝て、それで起きた頃にはこのことは忘れるんだ。
いつも通りにみんなと接してればいいんだ。
………って、そんな簡単に上手くいかないよ。
なんで?なんで?なんで、葵依なの?
中学1の入学当初から零夜に片思い中で、部活で休憩中や帰り道でいろんな話をしたりしてた。
零夜は私以外の女子とは全く関わりは持っていなくて、
………なんで私だけ?
と、少し期待してしまう気持ちが心の底にあった。
本当はお互いに「気持ち」を伝えられずにいて、実は、私と零夜は両思いなんじゃないかって。
そうやって自分勝手に舞い上がり過ぎてたんだ。
零夜があんなにも誰かを追いかけるなんて初めて見た…
女の子で仲良いのは私だけじゃなかったの?
いつの間にか、私の知らないところで、葵依とも仲良くなってしまってたの?
嫌な予感は少し前からしてた。
急に葵依がこの前からずっーと嫌だと言っていた、零夜と話をしてみたいと言い始めて……
違和感はあったけど本当にそうしたいんだなと思って、普通に友達として応援していた。
なのに。
零夜のことは私の方が、前から好きだったのに。
葵依………ズルい、よ………………
いつも私が好きになった人は葵依を好きになっていく。
そんなの、そんなの、アリなの?
私じゃ葵依の変わりにはなれなかったの?
どこがいけなかったの?
誰よりも零夜のことを想ってるのに。
ずっと追いかけてたのに。
その背中は私の前から消えるんだ……
今さら応援しない方が良かったなんて、
そんな「嫉妬」要らないよ……
あのままが良かった。
上手くいってほしいな。ほんと。
告白したいって言ってた時の葵依かわいかったな……
「場所取りどーする?やっぱり、花火がよく見えるところがいいよね?」
と、零夜の方を向いたら、苦しそうな顔をしていた。
何か我慢しているような……違った表情をしていて、どうしたらいいのか私には分からなかった。
「どうしたの?」
けど、零夜にそんな顔はさせたくなかった。
「……自分が、ものすごく嫌になってる」
「え?」
「俺なんか、誰も好きになってくれないよな……」
そんな顔を見て、胸が締め付けられそうになった。
「私は零夜の事が好きだよ!」
言わずには居られなかった。
零夜のそんな顔は見たくなくて、
そんな辛い思いをしてほしくなくて、
思わず言ってしまっていた。
「だから、そんな悲しい事言わないでよ……」
ートクン
ートクン
「それに!……葵依も翼も零夜の事好きだよ」
と、言うと零夜はさらに苦しそうな顔をした。
………もしかして、地雷踏んじゃったの?
なんでこんなにも苦しそうな顔するの?
してほしくないのに。
見たくないのに。
苦しんでほしくないのに。
なんで、こんなにも……
「そういうのいいから」
涙が出そうなんだろ。
何にも零夜の事、分かってあげられない......
零夜のその顔をしたら無性に泣けてきて、涙を堪えずには居られそうになかった。
何にも私は出来ないの?と、
気持ちに押し潰れそうになりかけた。
「それに、一ノ瀬は俺の事好きじゃないからな」
なんで葵依が出てくるの?
え、ちょっと待って……
「零夜、葵依の事……」
「そうだよ」とでも言いたげな顔を私に見せた。
………零夜がこんなにも元気がなかったのは、
こんなにも苦しそうにしていたのは、
葵依と翼が2人っきりだからだ。
それに、きっと葵依が翼の事が好きだって、
きっと気づいてる……だから、こんなにも……
そうなんだ。葵依なんだ。
………けど、やっぱり私がいいよ。
ブー
ブー
ブー
と、零夜の携帯が鳴った。
「どうした?」
『葵依が居なくなった』
葵依が居なくなった?ってなんで……
『零夜と星野も探すの協……』
翼が言葉を言い終わる前に、携帯の電話通話を何も言わずブチッときって、
どこかに行こうと零夜が足を踏み出した瞬間、
ーギュッ
と、力強く零夜のTシャツの袖を掴んだ。
今は葵依のところに行ってほしくない。
葵依のところに行って、何て言うかって想像したら……
「私は好きだよ!零夜の事……ずっと、ずっと前から。だから!……私じゃ、葵依の変わりになれないの?」
ートクン
ートクン
お願いだから、私に傾いて……
「一ノ瀬は一ノ瀬だ。お前じゃ変わりには出来ない」
と、きっぱり言われて、
私を置いたまま葵依の方に走って行ってしまった。
………私、ふられ…ちゃったんだ。
誰よりも側に居たって思ってたのに、
いつの間にか、葵依の方に気持ちがいってたんだね。
ほんと、何なんだろ。
勘違いしてて、恥ずかしい。
………葵依は零夜の告白、どうするんだろ。
こんなの、想像したくもないよ!
バッと顔を伏せるけど、2人が一緒に居るところを想像してしまって、
もう何もかもがどうでもいいような気がしてきた。
こんなところに居てもしょうがないなって思って、私はその場から離れようとした。
早くお風呂に入って……早く寝て、それで起きた頃にはこのことは忘れるんだ。
いつも通りにみんなと接してればいいんだ。
………って、そんな簡単に上手くいかないよ。
なんで?なんで?なんで、葵依なの?
中学1の入学当初から零夜に片思い中で、部活で休憩中や帰り道でいろんな話をしたりしてた。
零夜は私以外の女子とは全く関わりは持っていなくて、
………なんで私だけ?
と、少し期待してしまう気持ちが心の底にあった。
本当はお互いに「気持ち」を伝えられずにいて、実は、私と零夜は両思いなんじゃないかって。
そうやって自分勝手に舞い上がり過ぎてたんだ。
零夜があんなにも誰かを追いかけるなんて初めて見た…
女の子で仲良いのは私だけじゃなかったの?
いつの間にか、私の知らないところで、葵依とも仲良くなってしまってたの?
嫌な予感は少し前からしてた。
急に葵依がこの前からずっーと嫌だと言っていた、零夜と話をしてみたいと言い始めて……
違和感はあったけど本当にそうしたいんだなと思って、普通に友達として応援していた。
なのに。
零夜のことは私の方が、前から好きだったのに。
葵依………ズルい、よ………………
いつも私が好きになった人は葵依を好きになっていく。
そんなの、そんなの、アリなの?
私じゃ葵依の変わりにはなれなかったの?
どこがいけなかったの?
誰よりも零夜のことを想ってるのに。
ずっと追いかけてたのに。
その背中は私の前から消えるんだ……
今さら応援しない方が良かったなんて、
そんな「嫉妬」要らないよ……
あのままが良かった。
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