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第三章
背中を押してくれる人
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ーフュウゥゥゥゥ
ードンッ
綺麗で鮮やかな色合いをした花火が夜空一面に大きく広がった。
あの子のところに行ったのかな?
今頃あの2人は......
って、そんな事考えちゃダメだ。
ギュッと乾いた唇を噛み締めて、こぼれそうな涙を必死に止めようとした。
それでも涙はこぼれ落ちてしまって、もう止められない......と、地面にしゃがみ込んだ。
どうしたらいいんだろう......
あの子と居る姿を目の前で見たら、きっと心が壊れてしまうだけだ。
元々私が居なかったら、結果的にこうなってた。
その時期が少し早まっただけ。
そうやって、頭の中では冷静に対応しようとしてるけど、気持ちは誤魔化せきれない...
勝手に私が好きになったからバチがあたってしまったんだよね?
もう、どうしたらいいの?
あの子の側で笑っている姿を思い浮かべると、何で私じゃないの?
って、変な気持ちを抱いしてしまう。
幼なじみだから、もう良いんじゃないの?
何がダメなの?
自分勝手で、不器用な自分が情けない。
ねぇ、弘大......助けてよ。
この気持ちをどこに置けば良いの?
弘大への想いの居場所なんてどこにもないよ...
ーフュウゥゥゥゥ
「弘大!」
ードンッ
「弘大!」
何回呼んでも弘大は来ないって分かってたけど、どうしても叫ばずには居られなかった。
この気持ちを少しでも紛らわせたかった、その一心で。
「弘大!」
ーフュウゥゥゥゥ
「弘大!」
ードンッ
「好き!大好き!」
「......私の側に居てよ...」
本当は言いたかった。
弘大の事が好きだって。大好きだって。
私の側に居てほしいって。
「綺月!」
「弘大!?」と、何でここに居るの?と驚きながらも、素早く滲み出ていた涙を手でこすり、
浴衣についた砂や泥を払いながら立った。
「何で......もう、行ったんじゃないの?」
姿を見るだけでも決意した心が揺れてしまうのに、
声を聞いたら......もう、引き返せそうにないのに...
私、弘大が嫌い。
一度閉ざした弘大に対しての気持ちをこじ開けるかのように、私の前に現れるから。
「行ったよ」
何で隙間を見つけてこっちに入ってくるの?
「なら、こっちに来ないでよ!何しに来たの?言ったよね?私は弘大の事...」
ーグイッ
いつの間にか弘大の力強い手にひかれていて、弘大の腕の中で抱きしめられていた。
え?え、何で......?
弘大に抱きしめられている理由が分からず、思わず体が硬直してしまう。
だって、私......弘大の背中を押したんだよね?
で、あの子のところに行ったんだよね?
なのに、何で...
「ごめん。全部嘘なんだよな?」
何で知ってるの?
知ってしまったらダメなのに...と、首を左右に振った。
「俺が幼なじみとしか見えなくなったっていうのも...」
「ち、違うよ!違う......違うから!」
あの子のところに早く行ってっていう気持ちが溢れて、涙で視界が揺れてしまっていた。
「もういいよ」と、そっと優しく涙を拭いてくれた。
その手が優しくて、温かくて......
「私、弘大が好き!大好きなの!幼なじみとしか見えなくなったって、全部......そんなの嘘!」
それに触れてしまったら、もう......これ以上気持ちを閉ざす事なんて出来なかった。
「ずっと前から弘大が好きです」
ずっと、弘大に伝えたかった言葉。
「......やっと気付いたよ」
「え?」
「綺月は俺にとって、幼なじみとかじゃなくて......特別な存在なんだって」
ど、どういう事?
そんな言葉言われたら勘違いしてしまうよ...
「......こんな簡単な気持ちだったんだよな」
「あの........勘違いしそうだから、ちゃんと言っ...」
「好きだよ」と、弘大が私の手を優しく握った。
それで顔が正面を向いて、目が合った。
「付き合ってください」
ートクン
ートクン
ずっと弘大に言ってほしかった言葉......だけど、
「う、うそじゃん......だって、私と付き合ってる時、嬉しそうじゃなかった...」
まだ信じられない。
「あ.....あの時はまだ気持ちに気づいてなかったから」
本当なの?
これは夢とかじゃなくて......?
何これ......と、止まりかけていた涙が溢れ始めていた。
「ど、どうしよう......私、両思いとか、そんなのなった事ないから......こんなに嬉しいの?」
たった2文字の「好き」って言葉は、こんなにも破壊力があったんだ。
「弘大、こんな私でいいの?宮坂さんみたいに、かわいく甘える事なんて出来ない......それに、私なんか....」
「綺月!俺は綺月が好きなんだ。藍じゃない」
ートクン
「っ......弘大......ありがとぉぉ...」
ードンッ
綺麗で鮮やかな色合いをした花火が夜空一面に大きく広がった。
あの子のところに行ったのかな?
今頃あの2人は......
って、そんな事考えちゃダメだ。
ギュッと乾いた唇を噛み締めて、こぼれそうな涙を必死に止めようとした。
それでも涙はこぼれ落ちてしまって、もう止められない......と、地面にしゃがみ込んだ。
どうしたらいいんだろう......
あの子と居る姿を目の前で見たら、きっと心が壊れてしまうだけだ。
元々私が居なかったら、結果的にこうなってた。
その時期が少し早まっただけ。
そうやって、頭の中では冷静に対応しようとしてるけど、気持ちは誤魔化せきれない...
勝手に私が好きになったからバチがあたってしまったんだよね?
もう、どうしたらいいの?
あの子の側で笑っている姿を思い浮かべると、何で私じゃないの?
って、変な気持ちを抱いしてしまう。
幼なじみだから、もう良いんじゃないの?
何がダメなの?
自分勝手で、不器用な自分が情けない。
ねぇ、弘大......助けてよ。
この気持ちをどこに置けば良いの?
弘大への想いの居場所なんてどこにもないよ...
ーフュウゥゥゥゥ
「弘大!」
ードンッ
「弘大!」
何回呼んでも弘大は来ないって分かってたけど、どうしても叫ばずには居られなかった。
この気持ちを少しでも紛らわせたかった、その一心で。
「弘大!」
ーフュウゥゥゥゥ
「弘大!」
ードンッ
「好き!大好き!」
「......私の側に居てよ...」
本当は言いたかった。
弘大の事が好きだって。大好きだって。
私の側に居てほしいって。
「綺月!」
「弘大!?」と、何でここに居るの?と驚きながらも、素早く滲み出ていた涙を手でこすり、
浴衣についた砂や泥を払いながら立った。
「何で......もう、行ったんじゃないの?」
姿を見るだけでも決意した心が揺れてしまうのに、
声を聞いたら......もう、引き返せそうにないのに...
私、弘大が嫌い。
一度閉ざした弘大に対しての気持ちをこじ開けるかのように、私の前に現れるから。
「行ったよ」
何で隙間を見つけてこっちに入ってくるの?
「なら、こっちに来ないでよ!何しに来たの?言ったよね?私は弘大の事...」
ーグイッ
いつの間にか弘大の力強い手にひかれていて、弘大の腕の中で抱きしめられていた。
え?え、何で......?
弘大に抱きしめられている理由が分からず、思わず体が硬直してしまう。
だって、私......弘大の背中を押したんだよね?
で、あの子のところに行ったんだよね?
なのに、何で...
「ごめん。全部嘘なんだよな?」
何で知ってるの?
知ってしまったらダメなのに...と、首を左右に振った。
「俺が幼なじみとしか見えなくなったっていうのも...」
「ち、違うよ!違う......違うから!」
あの子のところに早く行ってっていう気持ちが溢れて、涙で視界が揺れてしまっていた。
「もういいよ」と、そっと優しく涙を拭いてくれた。
その手が優しくて、温かくて......
「私、弘大が好き!大好きなの!幼なじみとしか見えなくなったって、全部......そんなの嘘!」
それに触れてしまったら、もう......これ以上気持ちを閉ざす事なんて出来なかった。
「ずっと前から弘大が好きです」
ずっと、弘大に伝えたかった言葉。
「......やっと気付いたよ」
「え?」
「綺月は俺にとって、幼なじみとかじゃなくて......特別な存在なんだって」
ど、どういう事?
そんな言葉言われたら勘違いしてしまうよ...
「......こんな簡単な気持ちだったんだよな」
「あの........勘違いしそうだから、ちゃんと言っ...」
「好きだよ」と、弘大が私の手を優しく握った。
それで顔が正面を向いて、目が合った。
「付き合ってください」
ートクン
ートクン
ずっと弘大に言ってほしかった言葉......だけど、
「う、うそじゃん......だって、私と付き合ってる時、嬉しそうじゃなかった...」
まだ信じられない。
「あ.....あの時はまだ気持ちに気づいてなかったから」
本当なの?
これは夢とかじゃなくて......?
何これ......と、止まりかけていた涙が溢れ始めていた。
「ど、どうしよう......私、両思いとか、そんなのなった事ないから......こんなに嬉しいの?」
たった2文字の「好き」って言葉は、こんなにも破壊力があったんだ。
「弘大、こんな私でいいの?宮坂さんみたいに、かわいく甘える事なんて出来ない......それに、私なんか....」
「綺月!俺は綺月が好きなんだ。藍じゃない」
ートクン
「っ......弘大......ありがとぉぉ...」
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