26 / 35
第三章
3人の気持ち
しおりを挟む
綺月と仮で1週間だけ付き合うことになったけど、いつもより綺月と話せるようになれた。
今まで、昼ご飯とか一緒に食べなかったり、
放課後は家が近いのに別々に帰って、
メールとかも用事がなければしていなかった。
だから、より近くにいる存在に感じられてきた。
綺月とこのまま付き合ってもいい……
かもしれないと、心の中ではどこか少し思っている。
けど、藍と約束したことが頭の中から……離れない。
俺はもう、藍を裏切ってしまってる。
今から綺月と別ればいい事なのかもしれないけど、そんな事が出来なくて………
どっちにしろ、藍と綺月……両方を裏切ってる。
藍はきっと、俺に対する思いなんて失くなってる。
そんな中言えるはずがない。
俺の気づいた自分の「気持ち」を。
でも、でも。もし、藍がまだ待ってくれてたら……
その時は幸せになれるかもしれない。
だったら、綺月はどうする?
今まで誰よりも近くにいたはずなのに、
長い時間いたはずなのに、
綺月の事を分かっていたつもりだったのに、
気づいてあげられなかった。
俺に対する「気持ち」を。
だったら、綺月を……って、さっきからそればっかり考えてる。
あと、もう少しの間に考えないといけないのに……
「答え」が見つからずにいる。
ふと教室の窓から廊下をそっと見てると、そこには俺を見ている藍の姿が。
目があった瞬間、目を無理やり逸らされて、
「藍!?」
おまけに、俺が藍って呼んだのに……反応すらなかった。やっぱり、藍に嫌われてるんだろうな……
「……弘大。あの、話いい?」
俺が頷くと、綺月は俺を屋上まで連れてきた。
「もしかして、弘大……私に遠慮してるの?」
何かどこか不安げな顔をしながら綺月は言う。
「……弘大、私と付き合ってから変だよ。ほんと……自分では気づいていないかもしれないけど」
俺が、変?いつも通りに話しているつもり……なのにな。綺月を心配させるぐらい俺は、どこか変だったんだ。
「ご、ごめ…」
「弘大!私と別れて」
───────────────────────
もう、勝負に出ないといけない。
本当はこのまま弘大を苦しめる中で付き合って、私を選んでくれるまで、待っても良かった。
けど、弘大を苦しめてまで付き合いたくはない!
「弘大はもう、自分の気持ちに気づいてるんじゃないの?……私、嫌だよ。弘大が苦しんでるのを見ると」
「な、なんだよ気持ちって」
弘大は私が急にふったことで、混乱している様子だ。
「それが分かってほしいから言ったの!………花火大会、私か宮坂さん。どっちか選んで」
弘大がどっちかが好きとか、よく分かんないよ。
宮坂さんを好きなのかもしれない。
それか、私を好きでいてくれてるのかもしれない。
「弘大、自分の気持ちに正直になって」
けど、確かめない限りには気持ちは分からないよ。
「私は花火がよく見える浜辺の海岸に。宮坂さんは屋台が並んでる神社にいるから。だから、花火が打ち上がる前にどっちか選んで、その場所に向かって……弘大は私を選んでくれるって、信じてるから」
そう言い残して、私は屋上から弘大を残して出た。
───────────────────────
どっちかを選べって言われても……
もう、藍は俺のこと、嫌いなわけ……なんだから……
「先輩!」
俺が後ろをふり返ると、そこにはさっきまで目を逸らされていた藍の姿が。
藍から話しかけられるなんて思ってもいなかった。
しかも、弘大から先輩呼びに変わってる。
いつの間に、屋上に入ってきたのか………
「花火大会の事…………あれ、2人とも本気です」
言葉だけじゃなくて、表情を見てれば伝わってきた。………藍は俺の事、嫌いじゃなかったんだな。
「先輩に気持ちを伝えたから……先輩も、正直な気持ちになって、伝えてほしいです」
その言葉に真剣さが伝わってきて、
「私、先輩のこと信じてます。結果がどうあれ、先輩が……私か夜白先輩に気持ちを伝えていることを。自分の気持ちに気づけていることを」
俺も早く、「答え」を見つけないといけないなと、自分がしなければいけないことがよく分かった。
「だから、自分を信じてください!……もし、先輩の気持ちの先は……わ、私じゃなくても……そっちの方に、絶対行ってよね。じゃないと、私……区切りがつかないから」
声が震えているのが分かる。それぐらい、俺を綺月に取られたくないんだよな……
「本当の事を伝えてください。2人に」
「分かった」
俺はどっちを好きなのかとかよく分からない。
でも、「答え」を出さないといけないんだよな。
今まで、昼ご飯とか一緒に食べなかったり、
放課後は家が近いのに別々に帰って、
メールとかも用事がなければしていなかった。
だから、より近くにいる存在に感じられてきた。
綺月とこのまま付き合ってもいい……
かもしれないと、心の中ではどこか少し思っている。
けど、藍と約束したことが頭の中から……離れない。
俺はもう、藍を裏切ってしまってる。
今から綺月と別ればいい事なのかもしれないけど、そんな事が出来なくて………
どっちにしろ、藍と綺月……両方を裏切ってる。
藍はきっと、俺に対する思いなんて失くなってる。
そんな中言えるはずがない。
俺の気づいた自分の「気持ち」を。
でも、でも。もし、藍がまだ待ってくれてたら……
その時は幸せになれるかもしれない。
だったら、綺月はどうする?
今まで誰よりも近くにいたはずなのに、
長い時間いたはずなのに、
綺月の事を分かっていたつもりだったのに、
気づいてあげられなかった。
俺に対する「気持ち」を。
だったら、綺月を……って、さっきからそればっかり考えてる。
あと、もう少しの間に考えないといけないのに……
「答え」が見つからずにいる。
ふと教室の窓から廊下をそっと見てると、そこには俺を見ている藍の姿が。
目があった瞬間、目を無理やり逸らされて、
「藍!?」
おまけに、俺が藍って呼んだのに……反応すらなかった。やっぱり、藍に嫌われてるんだろうな……
「……弘大。あの、話いい?」
俺が頷くと、綺月は俺を屋上まで連れてきた。
「もしかして、弘大……私に遠慮してるの?」
何かどこか不安げな顔をしながら綺月は言う。
「……弘大、私と付き合ってから変だよ。ほんと……自分では気づいていないかもしれないけど」
俺が、変?いつも通りに話しているつもり……なのにな。綺月を心配させるぐらい俺は、どこか変だったんだ。
「ご、ごめ…」
「弘大!私と別れて」
───────────────────────
もう、勝負に出ないといけない。
本当はこのまま弘大を苦しめる中で付き合って、私を選んでくれるまで、待っても良かった。
けど、弘大を苦しめてまで付き合いたくはない!
「弘大はもう、自分の気持ちに気づいてるんじゃないの?……私、嫌だよ。弘大が苦しんでるのを見ると」
「な、なんだよ気持ちって」
弘大は私が急にふったことで、混乱している様子だ。
「それが分かってほしいから言ったの!………花火大会、私か宮坂さん。どっちか選んで」
弘大がどっちかが好きとか、よく分かんないよ。
宮坂さんを好きなのかもしれない。
それか、私を好きでいてくれてるのかもしれない。
「弘大、自分の気持ちに正直になって」
けど、確かめない限りには気持ちは分からないよ。
「私は花火がよく見える浜辺の海岸に。宮坂さんは屋台が並んでる神社にいるから。だから、花火が打ち上がる前にどっちか選んで、その場所に向かって……弘大は私を選んでくれるって、信じてるから」
そう言い残して、私は屋上から弘大を残して出た。
───────────────────────
どっちかを選べって言われても……
もう、藍は俺のこと、嫌いなわけ……なんだから……
「先輩!」
俺が後ろをふり返ると、そこにはさっきまで目を逸らされていた藍の姿が。
藍から話しかけられるなんて思ってもいなかった。
しかも、弘大から先輩呼びに変わってる。
いつの間に、屋上に入ってきたのか………
「花火大会の事…………あれ、2人とも本気です」
言葉だけじゃなくて、表情を見てれば伝わってきた。………藍は俺の事、嫌いじゃなかったんだな。
「先輩に気持ちを伝えたから……先輩も、正直な気持ちになって、伝えてほしいです」
その言葉に真剣さが伝わってきて、
「私、先輩のこと信じてます。結果がどうあれ、先輩が……私か夜白先輩に気持ちを伝えていることを。自分の気持ちに気づけていることを」
俺も早く、「答え」を見つけないといけないなと、自分がしなければいけないことがよく分かった。
「だから、自分を信じてください!……もし、先輩の気持ちの先は……わ、私じゃなくても……そっちの方に、絶対行ってよね。じゃないと、私……区切りがつかないから」
声が震えているのが分かる。それぐらい、俺を綺月に取られたくないんだよな……
「本当の事を伝えてください。2人に」
「分かった」
俺はどっちを好きなのかとかよく分からない。
でも、「答え」を出さないといけないんだよな。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる