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4章 雪女は気になる
13話 執着心を利用して
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それから数時間後、陽が傾きかけて来た頃だ。伝達用の白鳥が氷の塔に訪れる。
グレイシャー公からの返事だろう。きっと私からの手紙に驚いたと思う。けれど雪の女神としてある程度の把握は必要なのだ。
「ご苦労様です」
相変わらず白鳥はここで休むことなく羽ばたいていってしまう。少しくらい私の相手をしてくれても良いのだけど…。
そう心の中で言いながらもやはりグレイシャー公の返事だった手紙を丁寧に開いていく。
『雪の女神フロス様へ
ご無沙汰しております。お身体に支障は無いでしょうか?
さて、本題に移りますとフロス様の知っての通りヒートヘイズの王子が関所に出向きました。何でも女王ダイヤ様宛にヒートヘイズの国王が書簡を綴ったようで。その使者として関所に来た次第であります。
私はたまたま関所の兵士に用事があったので顔を覗かせていた所、ヒートヘイズの王子と対面したというわけです』
私の疑問に答えた後は色々と気を遣う文章が描かれている。ここはサッと目を通して終わりにした。
「珍しいです…」
正直言ってヒートヘイズとアイシクルの仲はあまり良くない。しかしヒートヘイズの国王がダイヤに向けて手紙を書くなんて一体内容はどんなものなのだろうか。
きっとダイヤはその事を私に言わないだろうし、私から聞いても言葉を濁して終わりなのは目に見えている。
「私が首を突っ込む問題ではないのでしょうか?」
雪の女神フロス。そう呼ばれて数年経ってるけど未だに自分が何のために生きているのかわからなかった。
ちゃんと仕事はある。アイシクルを見守り、雪と氷を支えるという責務。しかし私の中では何だか腑に落ちなかった。
せっかくイグニの本を読んだ安らいだのにまた巻き戻しされた気分だ。そんな私は今、誰かに会いたいと頭の片隅で思ってしまうのだった。
ーーーーーー
「雪女様!今日もイグニが参りましたよ!」
「……」
「おや?もしかして何処か体調でも悪いのですか?」
数日後、イグニはやっと氷の塔に来てくれた。色々とあったのはわかる。でも前は1日おきか続けてここに来ていたので早く来ないかとムズムズしていた。
私はずっと考えていたことを言うべきかをまだ迷っている。イグニは黙り込む私を心配に思ったのか、少し慌てた様子だった。
「イグニ」
「雪女様…!」
「貴方に聞きたいことがあります。塔の扉を開けるので下層で待っていなさい」
「は、入ってよろしいのですか!?」
「ええ。ただし1人で来なさい」
「勿論ですとも!雪女様と2人きりになれるのであれば従者は帰らせます!」
「こっちは一応真剣なのですが?」
イグニは嬉しそうに扉の前で待っている。私は手に力を込めて扉を張る氷を溶かした。
そうすればイグニが下層に入ったのがわかる。私は自室を出て階段に腰を下ろし上層から声をかけた。
「聞こえますか?」
「はい!」
「うるさいです。氷の塔は音が響きます」
「わかりました!!」
「貴方絶対わかってないでしょう!?」
2人して大声を出したものだから塔の中でこだまして耳に違和感が起こる。私は咳払いをして喉を整えてから再度イグニに声をかけた。
「貴方はその場から動かないでください。上の階に上がってもいけません」
「何故ですか?僕は雪女様と面と向かって話をしたいです」
「今回貴方をここに入れたのはとある事を聞くためです。馴れ馴れしくするために招いたのではありません」
「そう、ですか…」
明らかにシュンとした声。少し申し訳なさが出てしまうけど首を振ってそれを消し去る。イグニに情を沸くわけにはいかないのだ。
「以前、イグニはアイシクルとヒートヘイズを繋ぐ関所に行きましたね。私は雪の女神としてその事を知っています」
「流石です。確か5日程前でしょうか。今日までの間、ここに来れなくてすみません」
「別にその話題は要らないです」
「雪女様は何をお聞きになりたいのでしょう?僕が答えてみせます」
「関所ではグレイシャー公爵に書簡を渡したところまでは知っています。私が知りたいのはその書簡の内容です」
ダイヤにもグレイシャー公にも聞けない内容。しかしイグニなら答えてくれると思った。
わかりきったことだけど彼は私への執着心が強い。ただ単にそれは恋なのか、利用なのかはわからないが。
「それは何故なのか聞いても?」
「私が雪の女神だからです。しかしアイシクルの女王は私の秘密裏で何か動こうとしている。それを知るためにも書簡の内容を教えてください」
「ふむ……」
ずっと間無く返事を返していたイグニは黙り始める。すぐには教えてはくれないか。これも予想の範囲内だ。
「ではこうしましょう。私に内容を教えてくれたら、貴方が私に聞きたい事を全て話します。雪の女神としての部分もプライベートな部分も」
これなら食いつくだろう。イグニの執着心に火を灯す“聞きたいこと全て教える”作戦。最後にプライベートもと言ったので答える範囲は広くなった。
まぁプライベートでそこまで珍しいことは無いのだけど。……まさか下着の色なんて聞かれませんよね?一応、確認しておこう。
グレイシャー公からの返事だろう。きっと私からの手紙に驚いたと思う。けれど雪の女神としてある程度の把握は必要なのだ。
「ご苦労様です」
相変わらず白鳥はここで休むことなく羽ばたいていってしまう。少しくらい私の相手をしてくれても良いのだけど…。
そう心の中で言いながらもやはりグレイシャー公の返事だった手紙を丁寧に開いていく。
『雪の女神フロス様へ
ご無沙汰しております。お身体に支障は無いでしょうか?
さて、本題に移りますとフロス様の知っての通りヒートヘイズの王子が関所に出向きました。何でも女王ダイヤ様宛にヒートヘイズの国王が書簡を綴ったようで。その使者として関所に来た次第であります。
私はたまたま関所の兵士に用事があったので顔を覗かせていた所、ヒートヘイズの王子と対面したというわけです』
私の疑問に答えた後は色々と気を遣う文章が描かれている。ここはサッと目を通して終わりにした。
「珍しいです…」
正直言ってヒートヘイズとアイシクルの仲はあまり良くない。しかしヒートヘイズの国王がダイヤに向けて手紙を書くなんて一体内容はどんなものなのだろうか。
きっとダイヤはその事を私に言わないだろうし、私から聞いても言葉を濁して終わりなのは目に見えている。
「私が首を突っ込む問題ではないのでしょうか?」
雪の女神フロス。そう呼ばれて数年経ってるけど未だに自分が何のために生きているのかわからなかった。
ちゃんと仕事はある。アイシクルを見守り、雪と氷を支えるという責務。しかし私の中では何だか腑に落ちなかった。
せっかくイグニの本を読んだ安らいだのにまた巻き戻しされた気分だ。そんな私は今、誰かに会いたいと頭の片隅で思ってしまうのだった。
ーーーーーー
「雪女様!今日もイグニが参りましたよ!」
「……」
「おや?もしかして何処か体調でも悪いのですか?」
数日後、イグニはやっと氷の塔に来てくれた。色々とあったのはわかる。でも前は1日おきか続けてここに来ていたので早く来ないかとムズムズしていた。
私はずっと考えていたことを言うべきかをまだ迷っている。イグニは黙り込む私を心配に思ったのか、少し慌てた様子だった。
「イグニ」
「雪女様…!」
「貴方に聞きたいことがあります。塔の扉を開けるので下層で待っていなさい」
「は、入ってよろしいのですか!?」
「ええ。ただし1人で来なさい」
「勿論ですとも!雪女様と2人きりになれるのであれば従者は帰らせます!」
「こっちは一応真剣なのですが?」
イグニは嬉しそうに扉の前で待っている。私は手に力を込めて扉を張る氷を溶かした。
そうすればイグニが下層に入ったのがわかる。私は自室を出て階段に腰を下ろし上層から声をかけた。
「聞こえますか?」
「はい!」
「うるさいです。氷の塔は音が響きます」
「わかりました!!」
「貴方絶対わかってないでしょう!?」
2人して大声を出したものだから塔の中でこだまして耳に違和感が起こる。私は咳払いをして喉を整えてから再度イグニに声をかけた。
「貴方はその場から動かないでください。上の階に上がってもいけません」
「何故ですか?僕は雪女様と面と向かって話をしたいです」
「今回貴方をここに入れたのはとある事を聞くためです。馴れ馴れしくするために招いたのではありません」
「そう、ですか…」
明らかにシュンとした声。少し申し訳なさが出てしまうけど首を振ってそれを消し去る。イグニに情を沸くわけにはいかないのだ。
「以前、イグニはアイシクルとヒートヘイズを繋ぐ関所に行きましたね。私は雪の女神としてその事を知っています」
「流石です。確か5日程前でしょうか。今日までの間、ここに来れなくてすみません」
「別にその話題は要らないです」
「雪女様は何をお聞きになりたいのでしょう?僕が答えてみせます」
「関所ではグレイシャー公爵に書簡を渡したところまでは知っています。私が知りたいのはその書簡の内容です」
ダイヤにもグレイシャー公にも聞けない内容。しかしイグニなら答えてくれると思った。
わかりきったことだけど彼は私への執着心が強い。ただ単にそれは恋なのか、利用なのかはわからないが。
「それは何故なのか聞いても?」
「私が雪の女神だからです。しかしアイシクルの女王は私の秘密裏で何か動こうとしている。それを知るためにも書簡の内容を教えてください」
「ふむ……」
ずっと間無く返事を返していたイグニは黙り始める。すぐには教えてはくれないか。これも予想の範囲内だ。
「ではこうしましょう。私に内容を教えてくれたら、貴方が私に聞きたい事を全て話します。雪の女神としての部分もプライベートな部分も」
これなら食いつくだろう。イグニの執着心に火を灯す“聞きたいこと全て教える”作戦。最後にプライベートもと言ったので答える範囲は広くなった。
まぁプライベートでそこまで珍しいことは無いのだけど。……まさか下着の色なんて聞かれませんよね?一応、確認しておこう。
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