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9章 歯車を止める氷
49話 終幕
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「雪女様!お伝えしたいことがあります!」
「イグニ…?」
「雪の女神としての最後のお仕事です!!」
僕が考えた作戦はこうだ。焔の神が生み出したフェニックス同様、雪の女神も大きな氷を出す。
しかし炎の祠の力があってこそのフェニックスだ。ここはヒートヘイズ領だから雪女様の本領発揮はできない。そこであの氷柱を使う。
きっと氷花の力で女王から氷柱が出たと予想されるから、氷の力は十分くらいにあるだろう。片方の手で力を吸収しつつ、もう片方で放出。
そうすれば雪女様の体に溜まることなくフェニックスと同じくらいの氷が出せるのだ。
「その氷を出して、どうするのですか…?」
「きっとこの状況を知らない父上は大きな氷に目を向けるはずです。神はその領地の全てを理解出来るのでしょう?今、ここを支配しているのは焔の神ですから」
「それで?」
「ここからはあくまで僕の予想です。その通りに行くとは限りません。雪女様が出した氷をフェニックスにぶつけます」
「ぶつける?」
「はい」
凄まじい氷を出せば父上はそれに抵抗できるフェニックスを飛ばしてくる。きっと炎の息だけでは溶かせないだろうから。
そして炎と氷をぶつかり合わせて破裂を行う。フェニックスの熱風ならここに近づいてくるだけで氷柱が溶けるはずだ。
その後、雪女様の氷をぶつけてフェニックスを強制的に寿命へと追いやる。一石二鳥の作戦だった。
「炎を少し削れれば良いのです。消せなくても寿命さえ近づけばフェニックスは自ら死にます。そうすれば氷柱も溶け、フェニックスも消え去る。と、同時に雪女様が出した氷もぶつかり合って消えるでしょう」
「…その方法なら全てを一気に解決できますね」
「やりますか?」
「やります」
お互いを見つめあって頷いた雪女様と僕。騎士達にはもう少し耐えてもらわなければ。でもきっと大丈夫。彼らは1夜で戦争が終わるとは思ってないのだ。爆弾の備蓄も沢山あるし、老医師が率いる治療チームも支えてくれる。
ここからが大舞台。騎士達はヒートヘイズを守ってくれる。ならば僕が今守るべき人は雪女様だ。
「少々お待ちください!」
僕は氷が張っている地面に目を凝らしながらある物を探す。残ってくれているといいけど…。
すると探していたものがヒメナが凍っている場所の近くに落ちているのを見つけた。僕は躊躇うことなく氷に足をつける。
「な、何をやっているのですか!?」
「一瞬だけです!」
雪女様が慌てるのも当たり前だ。僕は氷上に足をつけた途端に寒さが体を襲う。しかしあと数歩頑張ればこの寒さだって敵ではない。
僕は氷に埋め込まれた物に手を伸ばして、砕くように拳を地面に突き刺した。そうすれば探していたある物、火石で作られたカイロが僕の手に入る。少し凍っている部分はあるけど擦れば問題ないはずだ。
「みんな、もう少し待っていてくれ」
僕は届くかはわからないけど、3人に声をかける。勿論返事なんか帰ってこないが僕の心をより熱くした。そして火石の粉を包んでいた布を破いて少量地面にばら撒きながら雪女様に近づく。
すると温度が上がって、氷の塔周辺くらいの地面になった。これなら寒さですぐにダウンすることは無いだろう。
「火石…」
「どうされました?顔が険しいですよ?」
何だか雪女様は火石の粉を見て嫌そうな顔をしている。もしかして熱かっただろうか?僕は心配になってくるけど雪女様は首を振ってまた真剣な表情に戻した。
「僕は少しでも雪女様の体温が維持できるように側にいます」
「でもこれから氷を出すんです。貴方まで凍えたら…」
「大丈夫。すぐにフェニックスがこちらにやってくるので」
「……何かあったらすぐに言いなさい」
「約束します」
僕は座り込む雪女様の隣に行き、膝をつく。そして少しでも寒さを和らげるように肩に僕の両手を置いた。
火石の粉を僕の足元に置いてあるからしばらくは耐えられるはずだ。後は雪女様が氷柱よりも大きい氷を出すだけ。
「信じてます。雪女様」
「ええ」
ーーーーーー
轟と言うのはこれを意味するのだろう。雪女様は片腕を天へと掲げ、もう片腕は氷柱を吸収する。みるみると氷の塊が空に集まっていた。それと同時に何処からか粉雪と結晶もやって来る。
もしかしたら雪の女神が我々を集めているとアイシクルからやってきたのかもしれない。雪女様は神の力を無くしてもやり遂げようとしている。それが子供である雪と氷が反応したのだ。
「イグニ…」
「はい。ここに居ます。安心してください」
時折雪女様は僕が居るかどうかを確認してくる。ずっと肩に手を置いているのだけど、僕の体温を感じ取るのが鈍くなっているようだ。
僕はより安心してもらえるようにピッタリと雪女様にくっ付く。少しだけ雪女様の肩が跳ねるけど、すぐに余計な力が抜けたように降りた。
すると空から馬のいななきが聞こえる。僕が上を見上げれば集まった冷気や氷から巨大なツノを持った馬が現れた。
「ユニコーンだ…」
氷で出来た神獣ユニコーンはここ一帯の寒さを纏ってヒートヘイズに顕現する。それは明るい夜には相応しくないくらいに光り輝いていた。
ユニコーンが現れたことによって空気が変わる。きっと口から出る息が凄いほどに冷たいのだ。僕の体には何度目かの鳥肌が立つけど雪女様からは離れない。
吸収した氷柱を見れば女王が目を瞑って閉じ込められている姿がわかるようになる。炎の祠にいる父上は急な冷たさに気付いたはずだ。
「後は僕の予想通りに動いてください、父上」
本当は父上に命令なんてしたくないけど今回ばかりは許して欲しい。この一撃が成功するかしないかで歴史が幸か苦に変わってしまうのだ。
「ごめん、なさい…」
「えっ」
そんな強い希望に満ち溢れたのは束の間、雪女様はユニコーンを生み出すと糸が切れたように僕に向かって倒れてくる。
側にいたので受け止めることが出来たが、気を失った雪女様の体温はとても冷たかった。
「雪女様!雪女様!嘘だろ…どうすれば…」
やはり消耗が激しかったのだ。いくら揺すっても声をかけても雪女様は反応を見せなかった。幸い脈は動いている。
それでもこのままでは危ないだろう。ならば僕の炎を使うか?いやでも雪女様としばらくは使わないと約束した。破ればクズになる。
「って、そんなこと言ってる場合じゃないだろ僕!」
生か死かを選ぶ状況でクズとかバカとか言ってらんない。僕は心の中で謝りながら雪女様を抱きしめて体に炎を灯した。
これで僕の中にある炎の力が消えても構わない。好きな人を助けるなら致命傷を負ってもいい。僕の腕や背中に張っていた氷は水となっていき、火傷の皮膚がまた痛み出す。
例え僕の炎が直接当たって雪の女神からアイシクルのフロスに変わっても、アイシクル王族の力が無くなった人間フロスになったとしても僕は絶対にこの人を離さない。
「責任はちゃんと取ります。だから、僕に委ねてください」
この瞬間、僕は心にも炎を付けた。それを愛しき人に当てた1秒後、雪の女神フロスがこの世界から消えたのは誰も知らない。
僕は腕の中にいるフロスしか頭になかった。背中には熱風と冷風を感じられる。フェニックスの鳴き声とユニコーンのいななきが同時に重なった。
「ごめんなさい。父上、フレイヤ。やっぱり僕は……フロスが好きです」
これが誰かに伝わったのだろうか。謝罪と告白は炎と氷の爆風でかき消された。
「イグニ…?」
「雪の女神としての最後のお仕事です!!」
僕が考えた作戦はこうだ。焔の神が生み出したフェニックス同様、雪の女神も大きな氷を出す。
しかし炎の祠の力があってこそのフェニックスだ。ここはヒートヘイズ領だから雪女様の本領発揮はできない。そこであの氷柱を使う。
きっと氷花の力で女王から氷柱が出たと予想されるから、氷の力は十分くらいにあるだろう。片方の手で力を吸収しつつ、もう片方で放出。
そうすれば雪女様の体に溜まることなくフェニックスと同じくらいの氷が出せるのだ。
「その氷を出して、どうするのですか…?」
「きっとこの状況を知らない父上は大きな氷に目を向けるはずです。神はその領地の全てを理解出来るのでしょう?今、ここを支配しているのは焔の神ですから」
「それで?」
「ここからはあくまで僕の予想です。その通りに行くとは限りません。雪女様が出した氷をフェニックスにぶつけます」
「ぶつける?」
「はい」
凄まじい氷を出せば父上はそれに抵抗できるフェニックスを飛ばしてくる。きっと炎の息だけでは溶かせないだろうから。
そして炎と氷をぶつかり合わせて破裂を行う。フェニックスの熱風ならここに近づいてくるだけで氷柱が溶けるはずだ。
その後、雪女様の氷をぶつけてフェニックスを強制的に寿命へと追いやる。一石二鳥の作戦だった。
「炎を少し削れれば良いのです。消せなくても寿命さえ近づけばフェニックスは自ら死にます。そうすれば氷柱も溶け、フェニックスも消え去る。と、同時に雪女様が出した氷もぶつかり合って消えるでしょう」
「…その方法なら全てを一気に解決できますね」
「やりますか?」
「やります」
お互いを見つめあって頷いた雪女様と僕。騎士達にはもう少し耐えてもらわなければ。でもきっと大丈夫。彼らは1夜で戦争が終わるとは思ってないのだ。爆弾の備蓄も沢山あるし、老医師が率いる治療チームも支えてくれる。
ここからが大舞台。騎士達はヒートヘイズを守ってくれる。ならば僕が今守るべき人は雪女様だ。
「少々お待ちください!」
僕は氷が張っている地面に目を凝らしながらある物を探す。残ってくれているといいけど…。
すると探していたものがヒメナが凍っている場所の近くに落ちているのを見つけた。僕は躊躇うことなく氷に足をつける。
「な、何をやっているのですか!?」
「一瞬だけです!」
雪女様が慌てるのも当たり前だ。僕は氷上に足をつけた途端に寒さが体を襲う。しかしあと数歩頑張ればこの寒さだって敵ではない。
僕は氷に埋め込まれた物に手を伸ばして、砕くように拳を地面に突き刺した。そうすれば探していたある物、火石で作られたカイロが僕の手に入る。少し凍っている部分はあるけど擦れば問題ないはずだ。
「みんな、もう少し待っていてくれ」
僕は届くかはわからないけど、3人に声をかける。勿論返事なんか帰ってこないが僕の心をより熱くした。そして火石の粉を包んでいた布を破いて少量地面にばら撒きながら雪女様に近づく。
すると温度が上がって、氷の塔周辺くらいの地面になった。これなら寒さですぐにダウンすることは無いだろう。
「火石…」
「どうされました?顔が険しいですよ?」
何だか雪女様は火石の粉を見て嫌そうな顔をしている。もしかして熱かっただろうか?僕は心配になってくるけど雪女様は首を振ってまた真剣な表情に戻した。
「僕は少しでも雪女様の体温が維持できるように側にいます」
「でもこれから氷を出すんです。貴方まで凍えたら…」
「大丈夫。すぐにフェニックスがこちらにやってくるので」
「……何かあったらすぐに言いなさい」
「約束します」
僕は座り込む雪女様の隣に行き、膝をつく。そして少しでも寒さを和らげるように肩に僕の両手を置いた。
火石の粉を僕の足元に置いてあるからしばらくは耐えられるはずだ。後は雪女様が氷柱よりも大きい氷を出すだけ。
「信じてます。雪女様」
「ええ」
ーーーーーー
轟と言うのはこれを意味するのだろう。雪女様は片腕を天へと掲げ、もう片腕は氷柱を吸収する。みるみると氷の塊が空に集まっていた。それと同時に何処からか粉雪と結晶もやって来る。
もしかしたら雪の女神が我々を集めているとアイシクルからやってきたのかもしれない。雪女様は神の力を無くしてもやり遂げようとしている。それが子供である雪と氷が反応したのだ。
「イグニ…」
「はい。ここに居ます。安心してください」
時折雪女様は僕が居るかどうかを確認してくる。ずっと肩に手を置いているのだけど、僕の体温を感じ取るのが鈍くなっているようだ。
僕はより安心してもらえるようにピッタリと雪女様にくっ付く。少しだけ雪女様の肩が跳ねるけど、すぐに余計な力が抜けたように降りた。
すると空から馬のいななきが聞こえる。僕が上を見上げれば集まった冷気や氷から巨大なツノを持った馬が現れた。
「ユニコーンだ…」
氷で出来た神獣ユニコーンはここ一帯の寒さを纏ってヒートヘイズに顕現する。それは明るい夜には相応しくないくらいに光り輝いていた。
ユニコーンが現れたことによって空気が変わる。きっと口から出る息が凄いほどに冷たいのだ。僕の体には何度目かの鳥肌が立つけど雪女様からは離れない。
吸収した氷柱を見れば女王が目を瞑って閉じ込められている姿がわかるようになる。炎の祠にいる父上は急な冷たさに気付いたはずだ。
「後は僕の予想通りに動いてください、父上」
本当は父上に命令なんてしたくないけど今回ばかりは許して欲しい。この一撃が成功するかしないかで歴史が幸か苦に変わってしまうのだ。
「ごめん、なさい…」
「えっ」
そんな強い希望に満ち溢れたのは束の間、雪女様はユニコーンを生み出すと糸が切れたように僕に向かって倒れてくる。
側にいたので受け止めることが出来たが、気を失った雪女様の体温はとても冷たかった。
「雪女様!雪女様!嘘だろ…どうすれば…」
やはり消耗が激しかったのだ。いくら揺すっても声をかけても雪女様は反応を見せなかった。幸い脈は動いている。
それでもこのままでは危ないだろう。ならば僕の炎を使うか?いやでも雪女様としばらくは使わないと約束した。破ればクズになる。
「って、そんなこと言ってる場合じゃないだろ僕!」
生か死かを選ぶ状況でクズとかバカとか言ってらんない。僕は心の中で謝りながら雪女様を抱きしめて体に炎を灯した。
これで僕の中にある炎の力が消えても構わない。好きな人を助けるなら致命傷を負ってもいい。僕の腕や背中に張っていた氷は水となっていき、火傷の皮膚がまた痛み出す。
例え僕の炎が直接当たって雪の女神からアイシクルのフロスに変わっても、アイシクル王族の力が無くなった人間フロスになったとしても僕は絶対にこの人を離さない。
「責任はちゃんと取ります。だから、僕に委ねてください」
この瞬間、僕は心にも炎を付けた。それを愛しき人に当てた1秒後、雪の女神フロスがこの世界から消えたのは誰も知らない。
僕は腕の中にいるフロスしか頭になかった。背中には熱風と冷風を感じられる。フェニックスの鳴き声とユニコーンのいななきが同時に重なった。
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