魔法武士・種子島時堯

克全

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本編

五節舞の再開

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1540年9月二の辰の日『京・御所』種子島権中納言時堯・12歳

「鷹司権中納言殿のお陰で、後土御門天皇大嘗祭以来中断されていた五節舞を再開することが出来たでおじゃるよ」

「そうでおじゃるな、それに地下家も子女が舞の練習をすることで、扶持を支給してもらえて助かっているでおじゃるよ」

「それだけではないでおじゃる、応仁の乱以降わずかに京に残っていた楽所や楽人に扶持を支給してくれたでおじゃるよ」

「そうでおじゃるな、地方へ下向して生き延びていた楽人も呼び戻してくれたでおじゃる。四天王寺・興福寺・比叡山延暦寺などから散逸した演奏技法や曲目もとりよせてくれたでおじゃる」

 伊勢神三郡を北畠家から取り戻し、伊勢神宮を朝廷の影響下に置いた後で新嘗祭の準備に全力を傾けた。以前から支援して準備してきた雅楽の楽人や舞の踊り手に、新嘗祭で久米舞、古志舞、五節舞などを演じることが出来るように練習に励んでもらった。

 その甲斐もあって公家衆の評判は上々なのだが、あまりの手放しの賛辞は少々照れる。だが近衛家のように足利将軍家に近い公家衆は、粘つくような目付きでこちらを見てくる。種子島家を積極的に応援してくれる公家衆よりは少ないものの、ちゃんと生きていける程度の支援をしているのに、そのような目付きで睨まれるとちょっと意地悪してやろうかと思ってしまう。

「権中納言殿、みな喜んでおじゃるな」

「はい、しかしこれも禅定太閤殿下と義父上さまが影から力添えしてくださったお陰でございます」

「私たちは口添えをしただけだ、そのときの手土産も権中納言が自分で用意した物だ、特に礼には及ばんよ」

 九条禅定太閤殿下と鷹司忠冬義父上さまは手放しで喜んでくれている。まあそれだけの支援もしているし、万が一義父上様に実子が生まれられた場合は、それなりの公家に養嗣子として入れるように下準備をしている。実子が生まれなかった場合には、俺の次男か次弟を養嗣子に送り込むから無駄にはならない。

「そうでおじゃるよ、それに細川のような馬鹿が現れないように、六衛府の軍勢を増やしてくれたのも助かっているでおじゃる」

「そうですな、今までは護衛なしにはとても屋敷から出れなかったが、今なら1人でも安心して出歩くことができますね」

「そうでおじゃる、上京だけでなく下京の治安も髄分とよくなってきたでおじゃる」

 お二人が言われるように、細川晴元の暴挙の後で、狩った鯨から作り出した高級蝋燭・高級石鹸・高級シャンプー・灯明用鯨油などを売った銭と、鯨肉という食料を元手に下京の流民をすべて家臣として召抱え、六衛府の将兵の寄騎足軽として配属して兵力を大増員した。

 その成果として食べる為・生きる為に他人を襲う者がいなくなり、今まで他人を襲っていた者が他人を守る立場になり、急速に下京でも治安がよくなっていった。更に検非違使を兼任する立場を利用して、御所周辺だけではなく、洛内の外周部まで巡回部隊を派遣し治安維持に努力していた。
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