魔法武士・種子島時堯

克全

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本編

摂津国侵攻前

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1543年4月1日『京・種子島屋敷』種子島権大納言時堯・15歳

「権大納言殿、今回はどうするのかな?」

 義父の関白鷹司忠冬殿下が、ブランデーを片手にしながらゆったりと話しかけて来た。ちゃんと鷹司家の屋敷にも料理人を送り込み、酒も肴も用意してあるのだが、連日のように陽が暮れる前に来られて食事と酒を求められる。

 今日は少々問題があって大宰府に帰るのが遅れてしまい、来られて直ぐに大宰府に向かう訳にもいかず、京で食事をしてから帰ることになってしまったのだ。そして殿下は俺がその問題にどう対応するかを気になされておられる。

「堺商人は、我が種子島家の交易から外されたことにより追い詰められております。細川氏綱と三好長慶を支援する事で、細川晴元亡き後の摂津・和泉・播磨を手に入れ、播磨から東の太平洋航路を確保して生き残りを図っております」

「だが権大納言殿が、御用商人や出入りの商人に堺商人と取引するのを禁止したのであろう?」

「はい、余りにあくどく商いしておりますので、少々腹が立ちました」

「何をしてそこまで権大納言殿を怒らせたのだ?」

「私が禁止している、異国への日本人奴隷の売却を行ったのです」

「ふむ、国内の奴隷は権大納言殿が全て高値で買い取っているのであろう?」

「はい、ですがその所為で日本人の若い女奴隷の相場が、予想以上にあがっていたのでございます。種子島家の者の不手際もあったのですが、堺の者共は種子島家と値段交渉する事無く、南蛮商人に日本人奴隷を売り払ったのです」

「よくそのことが分かったな?」

「買った南蛮人が、母国に帰る前に真珠を仕入れようと長崎に立ち寄った際、店売りの商品を盗んだので船を差し押さえたのでございます。その際に船倉に閉じ込められていた奴隷達を見つけ助け出したのです」

「それで堺商人との交易を全面禁止としたのか、では堺商人が悪足掻きするなら攻め滅ぼすのだな?」

「はい、事ここに至っては手加減は出来ません、徹底的に叩き潰します」

「堺商人だけでは済まさないのであろう?」

「はい、細川氏綱・三好長慶・畠山家・赤松・本願寺など、摂津を直轄地にするのに邪魔な者は全て攻め滅ぼします」

「権大納言殿は恐ろしいな」

 殿下は笑いながら嬉しそうに話される。本気で恐ろしいと思っている訳では無く、この状態からどうやって俺が無血で摂津を支配下に置くか愉しみなのだろう。だがさすがにこの状況の摂津を無血は難しい、特に本願寺と堺が問題だ。

「必要なら南蛮船の大艦隊で大砲をつるべ撃ちにして、全ての城砦も街も寺も粉砕いたします。今までは自重しておりましたが、大岩を空から落として全てを押し潰して見せましょう」

「それは恐ろしい事だな」

 殿下にも俺の覚悟が伝わったのだろう、真剣な顔をして返事してくれた。

「ところで権大納言殿、栗の渋皮煮はないか?」

「今日は切らしておりますが、明日のはご用意いたします」

「カマンベールチーズに蜜柑のマーマレードなら直ぐ出せるのだな」

「はい、直ぐお持ちいたしましょう、ですが私はそろそろ大宰府に戻らなければなりません」

「分かっているよ、勝手知ったる養嗣子・権大納言殿の屋敷だ、安心して酔い潰れさせてもらうよ」

「はい」
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