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本編
伯耆国始末
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1546年12月
さて、「大永の五月崩れ」とは、尼子経久が永正年間から1524年5月にかけて段階的に伯耆国に進出していたこと指す言葉なのだが、尼子経久は伯耆山名家の守護職を巡る内紛に介入していた。大永年間までに山名澄之を守護に就かせ、守護代に尼子晴久を送って守護家を統制下に置いていた。
そして徐々に西伯耆に尼子家の支配基盤が築き、西伯耆南部の日野衆を懐柔したのだ。具体的には日野郡を直轄領化させるのと並行して、西伯耆北部の国人衆を追放し西伯耆の掌握を行い、基盤を強固なものに築き上げていったのだ。
その後天文年間の初期より東伯耆への進出を開始したが、その頃の東伯耆は美作の勢力と手を結ぶ反尼子勢力が存在していたので、ここに尼子家の守護家統制に不満を持つ山名澄之も加わった。だが天文2年(1533年)に山名澄之が死去してしまい、旗頭の守護を失った事で反尼子勢力も力を失い、天文9年(1540年)頃には東伯耆も尼子家に支配される状態だった。
「尼子の傘下に入った主な者」
日野家・日野山名家・蜂塚家ら日野衆・河岡家・片山家・福頼家・小鴨家・南条家など
「国外へ退去した主な者」
山田家・行松家・村上家など
そして月日は流れ、大内義隆の月山富田城攻めに河村郡羽衣石城主・南条元清や日野郡亀尾山城主・宮盛忠などの東伯耆の国衆・地侍が参陣した。だが想定外の手痛い敗北により、憎っくき裏切り者を殲滅すべく、尼子晴久の軍勢が怒涛の勢いで逆撃して来たため、城地を守ろうとした南条元清や宮盛忠と言った土着の国衆・地侍は一族一門ことごとく誅殺され滅んでしまった。
この時、「大永の五月崩れ」以降に尼子軍に侵攻され、伯耆を捨てて逃亡していた伯耆守護・山名澄之の嫡男・山名豊興なども旧領を回復すべく大内軍に参陣していたが、大内軍の敗北と共に散り散りに逃げる事で何とか生き延びていた。
彼らは既に城地を失っていた事で、家族も他国で暮らしており、身一つで逃げる事に抵抗がなかったのだろう。そのお陰で命拾いし、我が種子島家の軍勢に加わる、三度伯耆に攻め込む事が出来たのだ。
だが種子島軍に参加する条件は厳しく、例え種子島家が圧勝して伯耆を完全支配したとしても、元城地を回復することは出来ない。だがそれは当然だろう、彼らが参陣しなくても簡単に勝てるのだから!
ただし、肥後国の宇土城に落延びて、俺が肥後に侵攻したころから降伏臣従していた、元日野郡淀江城主・山名守行は別だ、彼は今日までずっと勇気・武勇・忠誠を示し続けてくれている。そんな彼の悲願を叶える事こそ、主君としてなすべき事だろう。家臣の奉公に対しては、恩を与える事で報いるしかないのだ。そしてこの時代の奉公に対する褒美は、城地を与える事なのだ。
「種子島軍に参陣した元伯耆国衆」
山名豊興:元伯耆守護・山名澄之の嫡男
山名之玄:元米子城主
山名久氏:元河村郡泊城
行松正盛:元会見郡尾高城主
国司親俊:元高城城主
小鴨元伴:元久米郡岩倉城主
片山小四郎:元久米郡石井城
山田重直:元久米郡堤城主・山田高直の嫡男
俺は怒涛の勢いで伯耆国に侵攻した、東伯耆はほとんど抵抗を受ける事無く城地を接収することが出来たが、西伯耆では籠城する者が続出した。
八橋郡八橋城主・吉田左京亮のように、尼子経久に新地として伯耆に城地を与えられた尼子家譜代衆は御恩に報いんと必死だった。日野衆のように主君を裏切り尼子についた国衆・地侍は、俺が寝返りを許さず、種子島家に迎えることを拒否したので、それぞれが自分の城に籠城した。
だがまあなんだ、いつもの方法で城門や土塁をことごとく破壊したので、農民兵や足軽が全員逃亡してしまい、籠城したくても出来ない状況に追い込まれる事になる。俺が家財と兵糧を持って出雲に逃げることを許したので、皆尼子家を頼って落ちて行った。
俺は後々労働力となる者を無駄に殺したりはしない!
だがそれなりの戦闘力を有する歴戦の武士を、尼子家に逃がすようにしてきたのにはちゃんとした理由があるのだ。空を翔け、身一つで城門や土塁を完膚なきまで破壊する鬼神のような姿を見せつけ、その恐怖を心胆に焼き付けた者を尼子の中に送り込みたかったのだ。
彼らが俺の力を恐怖を持って語る事で、尼子家臣団の中に俺への恐怖が育まれるのだ!
安芸・丹後・但馬・因幡・美作・備中・備後・伯耆と、尼子家に忠誠を尽す者達が次々と月山富田城に逃げ込んでいる。彼らが忠臣であればあるほど、彼らが語る俺の力は真実味を増すのだ。噂が噂を呼び、俺の鬼神の如き強さが末端の雑兵・農民兵にまで広がり、尼子領の隅々にまで広がったころを見計らい、大岩や大鯨を担いて尼子家臣団の城砦の上を示威飛行した。
これは種子島家が接収し、直轄城となった城砦の拡張増強に必要な資材を運んだり、京や支配下の領地に食料を運ぶために元々必要な事なのだが。少し寄り道して尼子家の領地上空を飛行することで、とてつもない恐怖を尼子家臣団・領民に与える事が出来る。
内陸部の食料不足の農村では、合戦で食料を徴発されたら飢え死にしかねないのだ。俺が支配下に置いた領内では、接収した城砦の修理改築に百姓を雇う事で、食料と銭をばら撒いてい食糧難を解消していた。特に普段は滅多に食べれない鯨や鮫の肉は、百姓達に歓喜を持って迎えられた。
先の大内義隆の月山富田城攻めと、その後に行われた報復侵攻により、石見・出雲では深刻な食糧難が発生していた。そこに俺による逆撃が始まり、各地から尼子家に忠誠を尽す者達が、僅かな銭と食料だけを持って逃げ込んで来ている。
再度月山富田城での籠城を想定しなければならない状況となり、商人から食料を買おうとしても軍資金が乏しい。何より商人が種子島家を敵に回すことを拒否するので、種子島家と敵対した時点で交易が途絶してしまうのだ。その為に、食糧難の領民から更なる食料徴発を行う事態となってしまっていた。
さて、「大永の五月崩れ」とは、尼子経久が永正年間から1524年5月にかけて段階的に伯耆国に進出していたこと指す言葉なのだが、尼子経久は伯耆山名家の守護職を巡る内紛に介入していた。大永年間までに山名澄之を守護に就かせ、守護代に尼子晴久を送って守護家を統制下に置いていた。
そして徐々に西伯耆に尼子家の支配基盤が築き、西伯耆南部の日野衆を懐柔したのだ。具体的には日野郡を直轄領化させるのと並行して、西伯耆北部の国人衆を追放し西伯耆の掌握を行い、基盤を強固なものに築き上げていったのだ。
その後天文年間の初期より東伯耆への進出を開始したが、その頃の東伯耆は美作の勢力と手を結ぶ反尼子勢力が存在していたので、ここに尼子家の守護家統制に不満を持つ山名澄之も加わった。だが天文2年(1533年)に山名澄之が死去してしまい、旗頭の守護を失った事で反尼子勢力も力を失い、天文9年(1540年)頃には東伯耆も尼子家に支配される状態だった。
「尼子の傘下に入った主な者」
日野家・日野山名家・蜂塚家ら日野衆・河岡家・片山家・福頼家・小鴨家・南条家など
「国外へ退去した主な者」
山田家・行松家・村上家など
そして月日は流れ、大内義隆の月山富田城攻めに河村郡羽衣石城主・南条元清や日野郡亀尾山城主・宮盛忠などの東伯耆の国衆・地侍が参陣した。だが想定外の手痛い敗北により、憎っくき裏切り者を殲滅すべく、尼子晴久の軍勢が怒涛の勢いで逆撃して来たため、城地を守ろうとした南条元清や宮盛忠と言った土着の国衆・地侍は一族一門ことごとく誅殺され滅んでしまった。
この時、「大永の五月崩れ」以降に尼子軍に侵攻され、伯耆を捨てて逃亡していた伯耆守護・山名澄之の嫡男・山名豊興なども旧領を回復すべく大内軍に参陣していたが、大内軍の敗北と共に散り散りに逃げる事で何とか生き延びていた。
彼らは既に城地を失っていた事で、家族も他国で暮らしており、身一つで逃げる事に抵抗がなかったのだろう。そのお陰で命拾いし、我が種子島家の軍勢に加わる、三度伯耆に攻め込む事が出来たのだ。
だが種子島軍に参加する条件は厳しく、例え種子島家が圧勝して伯耆を完全支配したとしても、元城地を回復することは出来ない。だがそれは当然だろう、彼らが参陣しなくても簡単に勝てるのだから!
ただし、肥後国の宇土城に落延びて、俺が肥後に侵攻したころから降伏臣従していた、元日野郡淀江城主・山名守行は別だ、彼は今日までずっと勇気・武勇・忠誠を示し続けてくれている。そんな彼の悲願を叶える事こそ、主君としてなすべき事だろう。家臣の奉公に対しては、恩を与える事で報いるしかないのだ。そしてこの時代の奉公に対する褒美は、城地を与える事なのだ。
「種子島軍に参陣した元伯耆国衆」
山名豊興:元伯耆守護・山名澄之の嫡男
山名之玄:元米子城主
山名久氏:元河村郡泊城
行松正盛:元会見郡尾高城主
国司親俊:元高城城主
小鴨元伴:元久米郡岩倉城主
片山小四郎:元久米郡石井城
山田重直:元久米郡堤城主・山田高直の嫡男
俺は怒涛の勢いで伯耆国に侵攻した、東伯耆はほとんど抵抗を受ける事無く城地を接収することが出来たが、西伯耆では籠城する者が続出した。
八橋郡八橋城主・吉田左京亮のように、尼子経久に新地として伯耆に城地を与えられた尼子家譜代衆は御恩に報いんと必死だった。日野衆のように主君を裏切り尼子についた国衆・地侍は、俺が寝返りを許さず、種子島家に迎えることを拒否したので、それぞれが自分の城に籠城した。
だがまあなんだ、いつもの方法で城門や土塁をことごとく破壊したので、農民兵や足軽が全員逃亡してしまい、籠城したくても出来ない状況に追い込まれる事になる。俺が家財と兵糧を持って出雲に逃げることを許したので、皆尼子家を頼って落ちて行った。
俺は後々労働力となる者を無駄に殺したりはしない!
だがそれなりの戦闘力を有する歴戦の武士を、尼子家に逃がすようにしてきたのにはちゃんとした理由があるのだ。空を翔け、身一つで城門や土塁を完膚なきまで破壊する鬼神のような姿を見せつけ、その恐怖を心胆に焼き付けた者を尼子の中に送り込みたかったのだ。
彼らが俺の力を恐怖を持って語る事で、尼子家臣団の中に俺への恐怖が育まれるのだ!
安芸・丹後・但馬・因幡・美作・備中・備後・伯耆と、尼子家に忠誠を尽す者達が次々と月山富田城に逃げ込んでいる。彼らが忠臣であればあるほど、彼らが語る俺の力は真実味を増すのだ。噂が噂を呼び、俺の鬼神の如き強さが末端の雑兵・農民兵にまで広がり、尼子領の隅々にまで広がったころを見計らい、大岩や大鯨を担いて尼子家臣団の城砦の上を示威飛行した。
これは種子島家が接収し、直轄城となった城砦の拡張増強に必要な資材を運んだり、京や支配下の領地に食料を運ぶために元々必要な事なのだが。少し寄り道して尼子家の領地上空を飛行することで、とてつもない恐怖を尼子家臣団・領民に与える事が出来る。
内陸部の食料不足の農村では、合戦で食料を徴発されたら飢え死にしかねないのだ。俺が支配下に置いた領内では、接収した城砦の修理改築に百姓を雇う事で、食料と銭をばら撒いてい食糧難を解消していた。特に普段は滅多に食べれない鯨や鮫の肉は、百姓達に歓喜を持って迎えられた。
先の大内義隆の月山富田城攻めと、その後に行われた報復侵攻により、石見・出雲では深刻な食糧難が発生していた。そこに俺による逆撃が始まり、各地から尼子家に忠誠を尽す者達が、僅かな銭と食料だけを持って逃げ込んで来ている。
再度月山富田城での籠城を想定しなければならない状況となり、商人から食料を買おうとしても軍資金が乏しい。何より商人が種子島家を敵に回すことを拒否するので、種子島家と敵対した時点で交易が途絶してしまうのだ。その為に、食糧難の領民から更なる食料徴発を行う事態となってしまっていた。
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