281 / 300
本編
淡路国始末
しおりを挟む
1547年9月:淡路国洲本城:種子島権大納言時堯・安宅摂津守冬康・野口若狭守冬長
「摂津守殿、若狭守殿、もう死のうなどとは考えられるな」
「権大納言様は、我ら兄弟に生き恥を晒せと申されるのか!」
「籠城している一族一門衆の命を懸けて、我と一騎打ちをして敗れたのだ、おめおめと生き恥を晒した訳ではあるまい」
「ですが敗れた以上、切腹するのが筋でありましょう」
「一騎打ちで勝った我が、一族一門衆の助命をする代わりに、御上の為に働けと申しておる。三好家の阿波に攻め込めとは申さん、東征に従軍して天下泰平の為に働いてもらいたいのだ」
「しかしながら、そのような不名誉な行いをすれば、家名に傷をつけることになり、武士の面目が立ちません」
「そうかな、天下統一の軍に加わり、戦に苦しむ民百姓が餓える事も凍える事も略奪される事もない世を作るのが、武士の面目が立たない不名誉な行いなのかな?」
「それは」
「なぁ摂津守、若狭守、主家に叛けとも言わぬし一族を調略せよとも言わぬ、お主らが種子島家に素直に下らねば、ともに最後まで戦い抜いてくれた国衆や地侍からも死を選ぶ者が出るかもしれぬぞ」
「「それは・・・・」」
「どうだ、御上の為に戦ってはくれぬか」
「三好家家臣衆の調略をせよと言われませぬか?」
「言わぬ」
「阿波や讃岐を攻めろとは言われないのですね」
「言わぬ、寒さに我慢できると言うのなら、蝦夷での戦いに送ろう。蝦夷なら一族一門で争う事は絶対ないであろう」
「承りました、御上の為に働かせていただきます」
尼子と蝦夷の事が一息ついた俺は、瀬戸内海を完全に私有するべく淡路国に侵攻する決断をした。
伊予を制圧した時に、表向き村上水軍を配下に加えたものの、彼らは隙あらば裏切ろうとしていた。だからこそ大内家配下の毛利家縁の小早川家と縁を結んでいたのだし、秘かに尼子と連絡をとっていたふしもある。
だが月山富田城の合戦で尼子に敗れた大内家の威信は地に落ち、大内家の力を背景に毛利家が小早川家と吉川家を乗っ取る計画も俺が未然に防いだ。これにより村上水軍の山陽地方沿岸拠点は、ことごとく種子島家が奪い直轄領とした。
これにより遂に村上水軍も心から完全降伏臣従をしたようで、反種子島の当主や嫡男が不慮の死を遂げた。内部粛清されたのだろうが、これに関しては黙認することにした。だがこれで村上水軍の艦船や将兵を、寝返りを恐れず侵攻に使えるようになった。何より村上水軍の反乱に備える海軍艦を侵攻に使えるようになったのが大きかった。
更に種子島家に近い大内晴持が、種子島家が送り込んだ軍師や側近の意見を取り入れ、石見・出雲の内政を成功させ、国衆・地侍の忠誠心を得たことが大きかった。大内義隆よりも家臣団の声望を得たことで、大内義隆側近や周防・長門の国衆が種子島家を攻めることの抑止力となった。
このような状況となった事で、俺は淡路国を攻め込む決断をしたのだ。土佐一条家と約束したのは阿波と讃岐の領有だから、淡路を攻め取っても約束を破った事にはならない。まあいい気はしないだろうから、伊予の土佐一条家縁者が手柄を立てるように陣立てし、畿内や東海に一条家の分家が領地を得るようにしよう。
「摂津守殿、若狭守殿、もう死のうなどとは考えられるな」
「権大納言様は、我ら兄弟に生き恥を晒せと申されるのか!」
「籠城している一族一門衆の命を懸けて、我と一騎打ちをして敗れたのだ、おめおめと生き恥を晒した訳ではあるまい」
「ですが敗れた以上、切腹するのが筋でありましょう」
「一騎打ちで勝った我が、一族一門衆の助命をする代わりに、御上の為に働けと申しておる。三好家の阿波に攻め込めとは申さん、東征に従軍して天下泰平の為に働いてもらいたいのだ」
「しかしながら、そのような不名誉な行いをすれば、家名に傷をつけることになり、武士の面目が立ちません」
「そうかな、天下統一の軍に加わり、戦に苦しむ民百姓が餓える事も凍える事も略奪される事もない世を作るのが、武士の面目が立たない不名誉な行いなのかな?」
「それは」
「なぁ摂津守、若狭守、主家に叛けとも言わぬし一族を調略せよとも言わぬ、お主らが種子島家に素直に下らねば、ともに最後まで戦い抜いてくれた国衆や地侍からも死を選ぶ者が出るかもしれぬぞ」
「「それは・・・・」」
「どうだ、御上の為に戦ってはくれぬか」
「三好家家臣衆の調略をせよと言われませぬか?」
「言わぬ」
「阿波や讃岐を攻めろとは言われないのですね」
「言わぬ、寒さに我慢できると言うのなら、蝦夷での戦いに送ろう。蝦夷なら一族一門で争う事は絶対ないであろう」
「承りました、御上の為に働かせていただきます」
尼子と蝦夷の事が一息ついた俺は、瀬戸内海を完全に私有するべく淡路国に侵攻する決断をした。
伊予を制圧した時に、表向き村上水軍を配下に加えたものの、彼らは隙あらば裏切ろうとしていた。だからこそ大内家配下の毛利家縁の小早川家と縁を結んでいたのだし、秘かに尼子と連絡をとっていたふしもある。
だが月山富田城の合戦で尼子に敗れた大内家の威信は地に落ち、大内家の力を背景に毛利家が小早川家と吉川家を乗っ取る計画も俺が未然に防いだ。これにより村上水軍の山陽地方沿岸拠点は、ことごとく種子島家が奪い直轄領とした。
これにより遂に村上水軍も心から完全降伏臣従をしたようで、反種子島の当主や嫡男が不慮の死を遂げた。内部粛清されたのだろうが、これに関しては黙認することにした。だがこれで村上水軍の艦船や将兵を、寝返りを恐れず侵攻に使えるようになった。何より村上水軍の反乱に備える海軍艦を侵攻に使えるようになったのが大きかった。
更に種子島家に近い大内晴持が、種子島家が送り込んだ軍師や側近の意見を取り入れ、石見・出雲の内政を成功させ、国衆・地侍の忠誠心を得たことが大きかった。大内義隆よりも家臣団の声望を得たことで、大内義隆側近や周防・長門の国衆が種子島家を攻めることの抑止力となった。
このような状況となった事で、俺は淡路国を攻め込む決断をしたのだ。土佐一条家と約束したのは阿波と讃岐の領有だから、淡路を攻め取っても約束を破った事にはならない。まあいい気はしないだろうから、伊予の土佐一条家縁者が手柄を立てるように陣立てし、畿内や東海に一条家の分家が領地を得るようにしよう。
0
あなたにおすすめの小説
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる