12 / 15
第一章
第12話:情報収集
しおりを挟む
俺は毎日ダンジョンに入り、素材と魔晶石を集めた。
俺がダンジョンに入るたびに、孤児や浮浪者の生活がよくなっていった。
新人冒険者は日々装備がよくなり、ロートルは子供や孫に技と経験を伝えている。
ロイド達トップチームも、俺に煽られたのか、それとも実力でたどり着けない場所に俺が斃した魔獣が落ちている事に奮起したのか、今まで以上に訓練をしている。
それが俺の心を徐々に豊かにしてくれる。
「ようメイガ、今日も軽く一杯やろうぜ」
ロイドが毎日酒に誘ってくれるのが嬉しい。
早朝から夕方までダンジョンに潜って、出てきたら魔獣を納入して、ロイド達と酒を飲んでリラックスする。
こんな毎日が送れるようになるなんて、母国を追放された時には、思いもしなかったので、本当に幸せを感じていた。
「おお、明日に残らない範囲で飲もうぜ」
ロイドのパーティーとは随分と打ち解けられるようになった。
女のエタナとも普通に話せるようになった。
普通に話せる女はまだほとんどいないのだが、以前のように毛嫌いするような事はなくなっていた。
「旦那、一杯奢ってくれませんか?」
俺が頼んでいた情報屋が、酒をせびるフリをしながら近づいてきた。
母国の情報、特にゲセルト王太子とジャンの情報が欲しかった。
両親、コロンビア侯爵リドル卿と、配偶者フドウがどうしているのか。
両親は俺をコロンビア侯爵家に戻す気があるのかないのか。
その辺が分かれば、ゲセルト王太子とジャンへの報復を早められる可能性もある。
「ああ、いいぞ、だがその代わり、面白い話を聞かせてくれ」
俺はねだられたら奢る男だと思われたくないし、ロイドと飲みながら何気なく情報を聞きたかったので、噂話の代わりに酒を奢るという形をとった。
世間ずれした人間なら、俺のやろうとしている事くらい、直ぐに推察できる。
冒険者パーティーでも、探索を専門としている連中だと、素人の俺の演技など既に見抜いている可能性が高い。
だが連中なら、それを何時か金に換えるために、今は黙っているだろう。
「そういえば、以前ここで、婚約を破棄した王太子がいるレントン王国の話をしていましたよね。
あの国なんですが、国王と王配が、女を妃に迎えようとしている王太子を廃嫡しようとしているようですよ」
これは、いい情報を集めて来てくれた。
母国の王配マオダン殿下は、俺が今いるバガン王国の王弟だ。
これでゲセルトがどうあがこうと、廃嫡は間違いない。
それでも女を妃に迎えようと思えば、自分の両親を殺さなければならない。
だが殺したとしても、バガン王国に侵攻の口実を与えるだけだ。
「ただ少々問題もあるようで……」
俺がダンジョンに入るたびに、孤児や浮浪者の生活がよくなっていった。
新人冒険者は日々装備がよくなり、ロートルは子供や孫に技と経験を伝えている。
ロイド達トップチームも、俺に煽られたのか、それとも実力でたどり着けない場所に俺が斃した魔獣が落ちている事に奮起したのか、今まで以上に訓練をしている。
それが俺の心を徐々に豊かにしてくれる。
「ようメイガ、今日も軽く一杯やろうぜ」
ロイドが毎日酒に誘ってくれるのが嬉しい。
早朝から夕方までダンジョンに潜って、出てきたら魔獣を納入して、ロイド達と酒を飲んでリラックスする。
こんな毎日が送れるようになるなんて、母国を追放された時には、思いもしなかったので、本当に幸せを感じていた。
「おお、明日に残らない範囲で飲もうぜ」
ロイドのパーティーとは随分と打ち解けられるようになった。
女のエタナとも普通に話せるようになった。
普通に話せる女はまだほとんどいないのだが、以前のように毛嫌いするような事はなくなっていた。
「旦那、一杯奢ってくれませんか?」
俺が頼んでいた情報屋が、酒をせびるフリをしながら近づいてきた。
母国の情報、特にゲセルト王太子とジャンの情報が欲しかった。
両親、コロンビア侯爵リドル卿と、配偶者フドウがどうしているのか。
両親は俺をコロンビア侯爵家に戻す気があるのかないのか。
その辺が分かれば、ゲセルト王太子とジャンへの報復を早められる可能性もある。
「ああ、いいぞ、だがその代わり、面白い話を聞かせてくれ」
俺はねだられたら奢る男だと思われたくないし、ロイドと飲みながら何気なく情報を聞きたかったので、噂話の代わりに酒を奢るという形をとった。
世間ずれした人間なら、俺のやろうとしている事くらい、直ぐに推察できる。
冒険者パーティーでも、探索を専門としている連中だと、素人の俺の演技など既に見抜いている可能性が高い。
だが連中なら、それを何時か金に換えるために、今は黙っているだろう。
「そういえば、以前ここで、婚約を破棄した王太子がいるレントン王国の話をしていましたよね。
あの国なんですが、国王と王配が、女を妃に迎えようとしている王太子を廃嫡しようとしているようですよ」
これは、いい情報を集めて来てくれた。
母国の王配マオダン殿下は、俺が今いるバガン王国の王弟だ。
これでゲセルトがどうあがこうと、廃嫡は間違いない。
それでも女を妃に迎えようと思えば、自分の両親を殺さなければならない。
だが殺したとしても、バガン王国に侵攻の口実を与えるだけだ。
「ただ少々問題もあるようで……」
824
あなたにおすすめの小説
僕はただの平民なのに、やたら敵視されています
カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。
平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。
真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?
契約結婚だけど大好きです!
泉あけの
BL
子爵令息のイヴ・ランヌは伯爵ベルナール・オルレイアンに恋をしている。
そんな中、子爵である父からオルレイアン伯爵から求婚書が届いていると言われた。
片思いをしていたイヴは憧れのベルナール様が求婚をしてくれたと大喜び。
しかしこの結婚は両家の利害が一致した契約結婚だった。
イヴは恋心が暴走してベルナール様に迷惑がかからないようにと距離を取ることに決めた。
......
「俺と一緒に散歩に行かないか、綺麗な花が庭園に咲いているんだ」
彼はそう言って僕に手を差し伸べてくれた。
「すみません。僕はこれから用事があるので」
本当はベルナール様の手を取ってしまいたい。でも我慢しなくちゃ。この想いに蓋をしなくては。
この結婚は契約だ。僕がどんなに彼を好きでも僕達が通じ合うことはないのだから。
※小説家になろうにも掲載しております
※直接的な表現ではありませんが、「初夜」という単語がたびたび登場します
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結】マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜
明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。
その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。
ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。
しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。
そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。
婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと?
シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。
※小説家になろうにも掲載しております。
家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている
香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。
異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。
途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。
「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!
偽物勇者は愛を乞う
きっせつ
BL
ある日。異世界から本物の勇者が召喚された。
六年間、左目を失いながらも勇者として戦い続けたニルは偽物の烙印を押され、勇者パーティから追い出されてしまう。
偽物勇者として逃げるように人里離れた森の奥の小屋で隠遁生活をし始めたニル。悲嘆に暮れる…事はなく、勇者の重圧から解放された彼は没落人生を楽しもうとして居た矢先、何故か勇者パーティとして今も戦っている筈の騎士が彼の前に現れて……。
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる