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第4章:伊勢屋と共有田と金貸し
第49話:準備万端
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柘植定之丞は父で当主の伝兵衛だけでなく、江戸の屋敷で隠居している平兵衛にも使いを送り、柘植一族総動員で博徒共を迎え討つことにした。
本家には助けを求めなかったが、分家や伊賀に残った一族には声をかけた。
柘植本家が神君家康公の伊賀越えを助けて旗本となって二百年近く経つ。
自分たちのように、その間に分家した者もそれなりにいる。
家臣の下忍で分家した者は、伊勢御師に仕え着々と地盤を固めた。
中には平御師株を手に入れて、小さいとはいえ御師宿を持っている者さえいる。
だが伊賀に残った一族は、津藩の藩士になった者は良いが、無足人となっている者の多くは困窮していた。
そんな柘植一族の津藩無足人を、これを機会に家臣に取り込もうと考えた。
「父上、古市の遊郭を買おうと思うのですが、宜しいでしょうか」
「古市にも草を入れる心算か」
「はい、もう二度と丁子屋のような事が起きては困ります。
陣吉の知らせを聞いてよく考えたのですが、賀茂虎太郎は山田と宇治、古市に賭場を開きたいのだと思います。
丁子屋重五郎程度でもあれほど儲けられたのです。
既に十分な人手と元手を持つ賀茂虎太郎ならば、参詣客や豊かな山田の民を相手に、大規模な賭場を開けると思うのです」
「よく見た、賀茂虎太郎のひととなりを調べさせたが、それで間違いないだろう。
丁子屋はまだ奉行所預かりとなっているから、御奉行に申して下忍の誰かに下げ渡させるが、これぞと思う者はいるか」
「父上にお任せします」
「わかった、利益の半分は家に入れてもらう事になる。
絶対に裏切らない、信頼のおける者に任せよう」
柘植一族が博徒の襲撃を迎え討つ準備を完璧に整えてしばらくして、博徒の方も伊勢神宮外宮神官家の根回しが整った。
檜垣屋を皆殺しにしても江戸表に訴えられる事はない。
慎重で狡猾な賀茂虎太郎がそう確信するくらい根回しが上手く行った。
だから参詣客のふりをした博徒が続々と山田に集結した。
ここでも愚かな山田三方年寄家が現れた。
既に二度も失敗しているのに、三度目の正直と博徒に加担する者がいた。
博徒達は、同じ八日市場町に宿をとらなければ、大木戸が閉まってから檜垣屋を襲えない。
大きな御師宿が多く、旦那衆でない参詣客が泊れる旅籠が少ない八日市場町で拠点を確保するなら、檜垣屋を逆恨みしている山田三方年寄家を抱き込むのは当然だ。
それでも流石に、山田三方年寄家の御師宿一軒に三百近い博徒は泊まれない。
暖簾分けした御師宿はもちろん、正味神徳で買い集めた町家に分散して泊めた。
一日の間に三百人全てが終結できる訳ではない。
枚岡鬼三郎一家と賀茂虎太郎一家は完全日を合わせられるが、東海道筋の助っ人衆は、終結日や襲撃日に間に合うように地元を出立する。
どれほど参詣客を装っても、博徒の凶悪な雰囲気は隠せない。
とても堅気とは思えない人間が数多く街道を行けば、目立ってしょうがない。
慎重で狡猾な賀茂虎太郎が、終結日を相手によって違う日にしたのも当然だ。
しっかりと縄張りを確保していて、定期的に賭場を開き縁日を差配しなければいけない賀茂虎太郎は、日に余裕がなく襲撃直前に山田入りする事になる。
少人数に分かれた博徒達が三々五々山田に集まって来た。
同じように縄張りを確保している助っ人衆も襲撃直前の山田入りした。
表向き縄張りを失っている枚岡鬼三郎一家が早めに山田に入り、檜垣屋を見張る。
だがそんな博徒共の動きは、逐一柘植家と檜垣屋に伝わっていた。
枚岡鬼三郎一家と賀茂虎太郎一家の周りには、柘植家の下忍でも特に探索に優れた者が派遣されていた。
東海道筋から助っ人に来る博徒は、海路を使わない限り絶対に津藩領を通る。
柘植家の下忍に召し抱えられたい無足人の次男三男が、命懸けで街道筋見張っており、逐一柘植家に伝えられていた。
本家には助けを求めなかったが、分家や伊賀に残った一族には声をかけた。
柘植本家が神君家康公の伊賀越えを助けて旗本となって二百年近く経つ。
自分たちのように、その間に分家した者もそれなりにいる。
家臣の下忍で分家した者は、伊勢御師に仕え着々と地盤を固めた。
中には平御師株を手に入れて、小さいとはいえ御師宿を持っている者さえいる。
だが伊賀に残った一族は、津藩の藩士になった者は良いが、無足人となっている者の多くは困窮していた。
そんな柘植一族の津藩無足人を、これを機会に家臣に取り込もうと考えた。
「父上、古市の遊郭を買おうと思うのですが、宜しいでしょうか」
「古市にも草を入れる心算か」
「はい、もう二度と丁子屋のような事が起きては困ります。
陣吉の知らせを聞いてよく考えたのですが、賀茂虎太郎は山田と宇治、古市に賭場を開きたいのだと思います。
丁子屋重五郎程度でもあれほど儲けられたのです。
既に十分な人手と元手を持つ賀茂虎太郎ならば、参詣客や豊かな山田の民を相手に、大規模な賭場を開けると思うのです」
「よく見た、賀茂虎太郎のひととなりを調べさせたが、それで間違いないだろう。
丁子屋はまだ奉行所預かりとなっているから、御奉行に申して下忍の誰かに下げ渡させるが、これぞと思う者はいるか」
「父上にお任せします」
「わかった、利益の半分は家に入れてもらう事になる。
絶対に裏切らない、信頼のおける者に任せよう」
柘植一族が博徒の襲撃を迎え討つ準備を完璧に整えてしばらくして、博徒の方も伊勢神宮外宮神官家の根回しが整った。
檜垣屋を皆殺しにしても江戸表に訴えられる事はない。
慎重で狡猾な賀茂虎太郎がそう確信するくらい根回しが上手く行った。
だから参詣客のふりをした博徒が続々と山田に集結した。
ここでも愚かな山田三方年寄家が現れた。
既に二度も失敗しているのに、三度目の正直と博徒に加担する者がいた。
博徒達は、同じ八日市場町に宿をとらなければ、大木戸が閉まってから檜垣屋を襲えない。
大きな御師宿が多く、旦那衆でない参詣客が泊れる旅籠が少ない八日市場町で拠点を確保するなら、檜垣屋を逆恨みしている山田三方年寄家を抱き込むのは当然だ。
それでも流石に、山田三方年寄家の御師宿一軒に三百近い博徒は泊まれない。
暖簾分けした御師宿はもちろん、正味神徳で買い集めた町家に分散して泊めた。
一日の間に三百人全てが終結できる訳ではない。
枚岡鬼三郎一家と賀茂虎太郎一家は完全日を合わせられるが、東海道筋の助っ人衆は、終結日や襲撃日に間に合うように地元を出立する。
どれほど参詣客を装っても、博徒の凶悪な雰囲気は隠せない。
とても堅気とは思えない人間が数多く街道を行けば、目立ってしょうがない。
慎重で狡猾な賀茂虎太郎が、終結日を相手によって違う日にしたのも当然だ。
しっかりと縄張りを確保していて、定期的に賭場を開き縁日を差配しなければいけない賀茂虎太郎は、日に余裕がなく襲撃直前に山田入りする事になる。
少人数に分かれた博徒達が三々五々山田に集まって来た。
同じように縄張りを確保している助っ人衆も襲撃直前の山田入りした。
表向き縄張りを失っている枚岡鬼三郎一家が早めに山田に入り、檜垣屋を見張る。
だがそんな博徒共の動きは、逐一柘植家と檜垣屋に伝わっていた。
枚岡鬼三郎一家と賀茂虎太郎一家の周りには、柘植家の下忍でも特に探索に優れた者が派遣されていた。
東海道筋から助っ人に来る博徒は、海路を使わない限り絶対に津藩領を通る。
柘植家の下忍に召し抱えられたい無足人の次男三男が、命懸けで街道筋見張っており、逐一柘植家に伝えられていた。
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