夢にまで見た異世界召喚に巻き込まれたけれど、虐め勇者の高校生に役立たずはいらないと追放された。

克全

文字の大きさ
7 / 37
第一章

第2話:異世界召喚

しおりを挟む
 俺は八百万の神々と仏様のご配慮で修業する事ができた。
 俗に仙界仙境と呼ばれる、時間が止まっている世界で修業できた。
 2000年を超える時を鍛錬に使い、仙術を極めて真人となった。

★★★★★★

「「「「「おお、成功だ、勇者召喚に成功したぞ」」」」」

 窓1つない、閉じ込められた大広間に大勢の言葉がとどろく。
 でっぷりと肥えた国王らしき男も満足そうにほくそ笑んでいる。
 本当は大失敗しているのに、愚かな事だ。

「なんだ、なんだ、なんだ!」
「キャアアアアア!」
「キィイイイイイ、なによ、なによ、なによ!」
「イヤアアアアア!」

 こいつらにとっては、トレーラーに引き殺された直後だ。
 何が何だか全く分からず恐ろしいのだろう。
 虐めで追い詰めた同級生に自殺を強要したのだ、もっと恐怖して苦しめ!

「勇者殿、驚かれるのも無理はないが、落ち着いてくだされ。
 貴方達は神に選ばれた勇者なのだ!
 この世界を救うべく選ばれた勇者なのだ!」

 ふん、何が勇者なモノか!
 同級生を虐めに虐めて追い詰め、自殺を強要した極悪人の人殺しだ。
 禁忌を破った犯罪者に同じ犯罪者を押しつけただけだ。

 全ては八百万の神々と仏様が、条約を破ったこの世界の神を脅かした結果だ。
 表向き勇者になっているが、実際にはとてつもないペナルティがついている。

「さっそく勇者様達のステータスを確認してくれ」

 勇者召喚のために、禁忌を破り多くの捕虜を生贄にするような国王と大臣連中だ。
 召喚した勇者が期待通りの人間か、できるだけ早く調べたいのだろう。
 俺も同じように調べられるだろうが、偽装されているから大丈夫だ。

「おおおおお、勇者様だ、間違いなく勇者様だ!」

 『ステータス』
赤居嵐羽(ラント・アカイ)
情報:ヒューマン・男・17歳
職業:勇者・Lv1
HP:11
MP:12
筋力:18
耐久:13
魔力:9
俊敏:8
器用:3
魅力:1
幸運:1
「職業」
勇者:レベル1
「アクティブスキル」
なし
「パッシブスキル」
なし
「魔法スキル」
なし
「ユニークスキル」
なし
「犯罪歴」経験値が100倍必要なペナルティ中
虐め自殺強要(殺人罪):神罰により犯罪歴とペナルティは非表示

 念のために確認してみたが、確かに勇者と表示されている。
 しかし、俺が教えられた平均的なステータスよりも低い。
 しかも俺以外には見ないが、犯罪歴とペナルティがある。

「あ?!
 この方は勇者ではなく農民となっております!」

「なに?!」
「失敗したのか?」
「いや、4人もの方々の職業が勇者なのだ、失敗という事はない」
「では何故この方の職業だけが農民なのだ?!」

 何故だって、罪深いお前達を罰するために決まっているだろう!
 強欲そうな国王が酷薄な表情を浮かべている。
 5人中4人が勇者でも、損をした気になるのだろう。

「はぁ、農民、異世界召喚されて農民だと?!」
「きゃははははは!」
「外れスキルなんて無くなくない?!」
「えぇえええええ、実は能力者だったりする?」

 勇者召喚された虐め4人衆の内、3人は完全に俺をバカにしているな。
 1人は疑っているようだが、表情から見てほんの少しだけだな。
 小説を読むようには見えないから、アニメからマンガの知識だろう。

「はん、どうせあの事故に巻き込まれたジジイだろうぜ!
 俺達と違って勇者の資格がない、モブなんだろうぜ!」

 虐めの主犯格、赤居嵐羽(ラント・アカイ)が蔑むように言いやがる。
 本当に愚かで身勝手だな。
 同級生に自殺を強要した極悪人が、勇者に選ばれた事に何の疑問を感じないのか!

「えええええ、だってアニメやマンガじゃ巻き込まれた奴の方が主人公?
 そんなのが多かったんじゃない?!」

 虐め抜いた同級生に自殺を強要した連中の内で主犯格の4人。
 その中で多少でも疑う知識があるのは八鳥涼花(スズカ・ハットリ)だけだな。

「はん、俺様達のような選ばれた人間と、ちんけなサラリーマンは違うんだよ!
 俺達は中学生なのに、他の人間ができない事をやったんだ!」

 他の人間ができない事……同級生を虐め殺したのがそんなに偉いのか!
 自殺を強要した事が、人に誇れるような事だと思っているのか!
 いいだろう、これで何のためらいもなく予定通り生き地獄に叩き込んでやれる。

「国王!
 俺様達が勇者だと言うのなら、命令に従え!
 勇者召喚に潜り込んだ偽者を追放しろ!
 それもただ追放するのでは勇者召喚に潜り込んだ罰にならない。
 魔獣や魔人がいる危険な森に追放しろ!」

 勇者と持ち上げられて、さっそく舞い上がって図に乗っている。
 身勝手な国王の目が、酷薄な光を発している事も分かっていない。
 騙され利用される未来も読めない愚か者だ。

「……勇者殿の願い通りにして差し上げろ。
 勇者召喚に便乗した大罪人を魔の森に追放しろ!」

「「「「「はっ」」」」」

 何かあった時のために、関係者以外に知られないようにした地下大広間。
 床には細く掘られた六芒星に乾いた血痕が固まっている。
 俺が我慢の限界を迎える前に放り出してくれたのはありがたい。

「さっさとこの馬車に乗れ!」

 俺の乗れと言っている馬車は、ひと目見ただけで囚人護送用だと分かる。
 俺を地下の大広間から引きずりだした騎士の1人が、槍の柄で殴りつけてきた。
 腹が立つので、擬人式神の代わりにもらった使い魔を付けてやる。

 俺は元の世界で仙術を極めて真人となっている。
 だがこの世界には仙術や仙人の概念がない。
 だからそれに匹敵する種族にされ、魔術を与えられる約束になっている。

 その影響で、式神の代わりに使い魔とゴーレムを使えるようになっている。
 普通に考えれば、式神術とゴーレム術で等価交換なのだが、違っていた。
 八百万の神々と仏様がこの世界の神に圧力をかけて上位互換にさせたのだろう。

「うっ、いたたたたた!」

「おい、どうした?!」

「腹が、腹が痛い!
 トイレに行かせてくれ!」

「おい、おい、おい、こいつの追放はどうする?
 陛下に命じられた役目をさぼったら、ただでは済まないぞ?!」

「あとで、あとで行く、このままでは漏らしてしまう!」

 俺を槍で叩いた罪が、うんこを漏らすだけですむと思うなよ。
 内臓、直腸が肛門から出てくる病気もあるが、その程度では済まさない。

 今回は全ての内臓が肛門から飛び出すくらいの呪いにしてやった。
 激痛と屈辱、便まみれてトイレで死ぬがいい!

「しかたがないな、直ぐに追いついてこいよ。
 俺の配下はついて来い!」

「「「「「はっ」」」」」

 俺を連行する騎士には配下の歩兵がいるようだ。
 便所に走って行った騎士にも配下がいるようだが、この場で待つようだ。
 ご苦労さん、糞まみれで死ぬ騎士の後始末は任せたぞ。
 
「これに乗ればいいのですか?」

「ああ、そうだ、追放先まで送ってやるから、さっさと乗れ」

 この騎士は無暗に暴力を振るうタイプではないようだ。
 魔境と呼ばれる場所まで暴力を振るわなければ見逃してやろう。
 俺だって無暗に人殺しがしたいわけではない。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】 それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。 剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず… 盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず… 攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず… 回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず… 弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず… そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという… これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。 剣で攻撃をすれば勇者より強く… 盾を持てばタンクより役に立ち… 攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが… それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。 Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに… 魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし… 補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に… 怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。 そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが… テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので… 追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。 そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが… 果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか? 9月21日 HOTランキング2位になりました。 皆様、応援有り難う御座います! 同日、夜21時49分… HOTランキングで1位になりました! 感無量です、皆様有り難う御座います♪

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

【完結】魔界を追放された俺が人間と異種族パーティを組んで復讐したら世界の禁忌に触れちゃう話〜魔族と人間、二つの種族を繋ぐ真実〜

真星 紗夜
ファンタジー
 俺が……元々は人間だった……⁉︎  主人公は魔界兵団メンバーの魔族コウ。  しかし魔力が使えず、下着ドロボウを始め、禁忌とされる大罪の犯人に仕立て上げられて魔界を追放される。    人間界へと追放されたコウは研究少女ミズナと出会い、二人は互いに種族の違う相手に惹かれて恋に落ちていく……。   あんなトコロやこんなトコロを調べられるうちに“テレパシー”を始め、能力を次々発現していくコウ。  そして同時に、過去の記憶も蘇ってくる……。    一方で魔界兵団は、コウを失った事で統制が取れなくなり破滅していく。    人間と異種族パーティを結成し、復讐を誓うコウ。  そして、各メンバーにも目的があった。  世界の真実を暴くこと、親の仇を討つこと、自らの罪を償うこと、それぞれの想いを胸に魔界へ攻め込む……!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

処理中です...