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第一章
11話
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ルークはただただオリビアを見つめていた。
そこに盗賊の襲撃があった。
ルークは凛々しく勇ましく指揮するオリビアを見つめていた。
でも我慢できなくなった。
お姉ちゃんに抱擁してもらいたくてたまらなくなった。
「お姉ちゃんただいま。
お土産げ持ってきたよ。
着て見せて。
早く着てみせて!」
「お帰りなさい、ルーク。
どこもケガしなかった?
痛いところはない?
誰も殺したりしていないでしょうね?
悪戯もしなかった?」
「誰も殺していないよ。
悪戯はしたけど、それは殺されそうになったからだよ。
ルークは悪くないよ。
王もルークが悪くないと言ってたよ。
だからルークは悪くないよ」
「まあ!
殺されそうになったの⁈
大丈夫?
どこもケガしていない?
痛いとこはないの?」
「大丈夫だよ。
どこも痛くないよ。
それより早く着てみてよ」
「今は駄目よ。
悪い山賊がいつ襲って来るか分からないから、着替えることはできないのよ」
「えぇぇぇぇ。
そんなの嫌だよ。
だったらルークが山賊を皆殺しにしたらいいの?
山賊を皆殺しにしたら着替えてくれる?」
「山賊でも、殺したら駄目なのよ。
強く正しい子は、殺さずに捕まえるの。
そうしたら、報奨金と言う御褒美がもらえるのよ。
ルークは強く正しいよね。
生きたまま捕まえられる?」
「大丈夫。
みんな捕まえたら、ルークは強く正しいの?
強く正しかったら、お姉ちゃん着替えてくれるの?」
「ええ、でも着替えるのは砦に着いてからね。
馬車の中は狭いから、広いところで着替えるわね」
「えぇぇぇぇ。
じゃあ外で着替えようよ」
「外では誰が見てるか分からないから、恥ずかしいのよ。
ルークも人の前で着替えては駄目よ。
分かってる?」
「でも、お姉ちゃんは侍女の前で着替えてるよ。
侍女はいいの?」
「ずっと側に仕えてくれている侍女はいいのよ。
侍女なら恥ずかしくないの。
でもね、男の人に見られるのは恥ずかしいのよ。
いい子だから、分かってね」
「分かった。
ルークはいい子だから分かるよ。
でもね、だったら、先にいい子いい子して欲しいな」
ルークは久しぶりにオリビアに思いっきり甘えた。
オリビアに説得され、大魔境に行ったが、その間寂しくて仕方がなかったのだ。
最初に力いっぱい抱きしめてもらい、次に優しく頭をなでてもらった。
狭い馬車の中だったが、膝枕をしてもらって安らかに眠った。
そこに盗賊の襲撃があった。
ルークは凛々しく勇ましく指揮するオリビアを見つめていた。
でも我慢できなくなった。
お姉ちゃんに抱擁してもらいたくてたまらなくなった。
「お姉ちゃんただいま。
お土産げ持ってきたよ。
着て見せて。
早く着てみせて!」
「お帰りなさい、ルーク。
どこもケガしなかった?
痛いところはない?
誰も殺したりしていないでしょうね?
悪戯もしなかった?」
「誰も殺していないよ。
悪戯はしたけど、それは殺されそうになったからだよ。
ルークは悪くないよ。
王もルークが悪くないと言ってたよ。
だからルークは悪くないよ」
「まあ!
殺されそうになったの⁈
大丈夫?
どこもケガしていない?
痛いとこはないの?」
「大丈夫だよ。
どこも痛くないよ。
それより早く着てみてよ」
「今は駄目よ。
悪い山賊がいつ襲って来るか分からないから、着替えることはできないのよ」
「えぇぇぇぇ。
そんなの嫌だよ。
だったらルークが山賊を皆殺しにしたらいいの?
山賊を皆殺しにしたら着替えてくれる?」
「山賊でも、殺したら駄目なのよ。
強く正しい子は、殺さずに捕まえるの。
そうしたら、報奨金と言う御褒美がもらえるのよ。
ルークは強く正しいよね。
生きたまま捕まえられる?」
「大丈夫。
みんな捕まえたら、ルークは強く正しいの?
強く正しかったら、お姉ちゃん着替えてくれるの?」
「ええ、でも着替えるのは砦に着いてからね。
馬車の中は狭いから、広いところで着替えるわね」
「えぇぇぇぇ。
じゃあ外で着替えようよ」
「外では誰が見てるか分からないから、恥ずかしいのよ。
ルークも人の前で着替えては駄目よ。
分かってる?」
「でも、お姉ちゃんは侍女の前で着替えてるよ。
侍女はいいの?」
「ずっと側に仕えてくれている侍女はいいのよ。
侍女なら恥ずかしくないの。
でもね、男の人に見られるのは恥ずかしいのよ。
いい子だから、分かってね」
「分かった。
ルークはいい子だから分かるよ。
でもね、だったら、先にいい子いい子して欲しいな」
ルークは久しぶりにオリビアに思いっきり甘えた。
オリビアに説得され、大魔境に行ったが、その間寂しくて仕方がなかったのだ。
最初に力いっぱい抱きしめてもらい、次に優しく頭をなでてもらった。
狭い馬車の中だったが、膝枕をしてもらって安らかに眠った。
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