公爵令嬢が婚約破棄され、弟の天才魔導師が激怒した。

克全

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第三章

53話ルーク視点

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 ジェイデンはとてもしつこい。
 それに僕の言う事を全然聞いてくれない。
 でんでん虫に変えてやりたいけど、もうお姉ちゃんを悲しませるのは嫌だ。
 お姉ちゃんがまた壊れちゃうのは絶対に嫌だ。
 ジェイデンの言う通りにしなきゃいけないのは分かる。
 分かるけど嫌だ。
 人間の女なんて、絶対にそばに寄せない。
 ジェイデンに考えてと言ってるのに、全然考えてくれない。
 ローガン王も役に立たない。
 だったらどうしようか?
 強く言ったらローガン王の方が考えてくれるかな?

「じゃあ王様が考えてよ!
 お姉ちゃんが僕に会ってくれる方法を、王様が考えて。
 お姉ちゃんが安心してくれて、壊れないようにする方法。
 僕が人間の女を側に置かないですむ方法。
 王様が考えるんだよ!」

 怖がってる、怖がってる。
 ジェイデンに違って本気で考えてる。
 何かいい方法思いついてくれないかな?
 王様なんだから、色々知っているはずだよね。

「えぇぇと、あの、その、それは。
 人間の女が嫌で、人間の女じゃなきゃいけなくて。
 いえ、その、なんです、ええ、考えているよ。
 ちゃんと考えているから、ちょっと待って。
 ああああああああ!
 ルークは人間を魔物に変化させられるんだよね!
 だったら、半人間を人間に変化させられないか?
 半人間なら、側にいても嫌じゃないんだろ?」

「うぅぅぅぅん。
 半人間の姿のままならいいけど、人間の姿になったら側にいるのは嫌」

「それは、その、あの、あまりに、わがままじゃないかなぁ。
 あの、その、えぇぇぇと、ですね。
 お姉ちゃんが大切なら、ちょっとだけ。
 そう、本当にちょっとだけ我慢して。
 お姉ちゃんに会う時だけ半人間を人間にして、お姉ちゃんに見えない所に行ったら、直ぐに半人間に戻せばいいんじゃないかなぁ。
 ほんのちょっと、ほんのちょっとだけ、お姉ちゃんのために我慢できないかなぁ」

 ほんのちょっとか。
 ほんのちょっとなら、我慢できるかな?
 それに、完全に人間にしなくても、どこか魔獣のところを残しておけば、僕も怖くないかもしれない。
 お姉ちゃんに分からない所を魔獣のままにしておこう。

「分かった。
 王様の言う通りにしてみる。
 だけど、それでお姉ちゃんに嫌われたら許さないからね。
 お姉ちゃんが壊れたりしたら、責任とっもらうからね。
 分かってる?
 約束出来る?」

「えぇぇぇぇぇ!
 それは殺生だよ!
 だったら止めだ。
 失敗したら責任とらされるのなら、無理にやらなくていい」

 あ!
 王様が壊れた。
 またお姉ちゃんに嫌われれちゃう!
 どうしよう?
 なんとかしなくちゃ!
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