公爵令嬢が婚約破棄され、弟の天才魔導師が激怒した。

克全

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第三章

57話

「おねえさま。
 このこ、だっこ、する?」

「ええ、ええ、抱っこしますよ。
 さぁ、此方にください」

「はい」

 ミモザがとても可愛らしい赤ちゃんを渡してくれます。
 手も足も顔もプクプクに肥っていて、思わず指でツンツンしたくなります。
 私が指でつつくと、ケラケラと笑ってくれます。
 その笑顔を見ると、心から幸せな気分になれます。
 こんな幸福な時間が来るとは、壊れていた時には思えませんでした。

 まあ、でも、本当は、ルークの子供が抱きたかったのです。
 ルークに、
「ルークの子供が抱きたいわ」
 と言ったのですが、本当の意味を分かってくれなかったようです。
 半人間の赤ちゃんを人間の変化させて、私に預けてくれました。

 私だけではなく、ミモザをはじめとする、半人間から人間に変化させられた娘達も、赤ちゃんに夢中になっています。
 本能的に子供が欲しいのかもしれません。
 そう考えると、彼女達が可哀想になります。
 その気持ちは、私にも痛いほどわかるからです。

 私も自分の子供が欲しい。
 でも、私が人間の男性と仲良くすると、またルークが激怒するかもしれません。
 前回の事があるから、我慢してくれるかもしれませんが、私にはそれを試す勇気などありません。

「ねえ、ルーク」

「なに?
 お姉ちゃん?」

「元半人間の子達も、自分の子供を生みたいと思うの。
 男の子達と仲良くさせてあげれないかな?」

「いいよ。
 仲良くしたい子のために、城下を大きくして、そこで暮らせるようにする。
 子供が産まれたら、こっちに戻ってもらってたいいの?
 お姉ちゃんは赤ちゃんが沢山いた方がいいの?」

「ええ、そうね。
 赤ちゃんが沢山いた方がいいけれど、うるさすぎるのも辛いわね。
 赤ちゃんだけを寝かせられる部屋や、赤ちゃんとお母さんが一緒に寝られる部屋、何時でも食事ができる部屋、色々用意できるかしら?」

「うん、用意出来るよ。
 あの子達も料理したモノも好きになったから、城下の人間に美味しいモノを作ってもらうよ。
 果物は生の方が好きみたいだから、果物だけはそのまま置いておくよ」

「ええ、そうしてあげてちょうだい。
 そうしてくれれば、お姉ちゃんもうれしいわ」

 ルークが満面の笑みを浮かべてくれています。
 元半人間の子達が子供を作る様子を見れば、ルークも女の子が欲しくなるかもしれません。
 子供が欲しくなるかもしれません。
 それに期待しましょう。
 でも、私達の事ばかり考えていては駄目ですね。
 私達に巻き込まれ、不幸になった人達の事も考えなければいけませんね。

「ルーク。
 内乱になった国の人達はどうしていますか?
 飢えていませんか?
 食糧は送れているのですか?」
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