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第一章
第1話:三角関係
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「こんなことになってしまって、本当に申し訳ない。
その、つい、出来心だったのだよ、本当に、申し訳ない。
陛下に申し上げて、できる限りの事はさせてもらうから、許して欲しい。
この通りだ、アレッタ」
イルドラ王国の王太子ズロルは心から詫びていた。
王家と貴族家の盟約である婚約を解消する、しかも王太子の過失で。
これは下手をすれば王家の信用信頼を失墜させる大事件だった。
こんな事でウィーン公爵派の貴族が王家を見限り、隣国に主家を変えるような事があれば、イルドラ王国の滅亡が確定してしまう。
「私に謝っていただいてもどうしようもありません。
王家とウッタル公爵家が誠意を見せるのは、私個人ではなく、ウィーン公爵家に対してではありませんか?」
ウィーン公爵家令嬢アレッタ、王太子の婚約者アレッタ、その前には二人の人間がいて、一人は平身低頭する王太子ズロルだった。
もう一人は、アレッタの婚約者ズロルを寝取ったにも関わらず、傲岸不遜な態度を崩さない、ウッタル公爵家令嬢エクリュアだった。
彼女は幼い頃からのライバルであるアレッタに、頭を下げる気は毛頭なかった。
確かに婚約者の選定ではアレッタに負けたが、身体を張ってズロルの誘惑に成功し、見事にズロルを変心させる事に成功したのだ。
「それに、エクリュア嬢は私に詫びる気がないようです。
それはウッタル公爵家がウィーン公爵家に詫びる気がないという事ですわ。
それではウィーン公爵家の面目が立ちません。
貴族が家名に泥を塗られて黙っているわけにはいきません。
これは、戦争をして殿下の首とエクリュア嬢の首をとる以外、名誉を回復する方法はないようですわね」
エクリュアはアレッタの言葉に心底驚いた。
エクリュアはたかだか恋愛の事、男を盗った盗られたの軽い話だと思っていた。
だからこそ、妊娠もしていないのに、妊娠したと嘘をついたのだ。
エクリュアだって公爵令嬢だ、政略結婚が重大な事は知っている。
アレッタを悔しがらせて苦しめたら、適当な慰謝料をもらって終わりにする心算でいたのだ。
「ちょっと待ちなさいよ、そこまでする必要がどこにあるのよ。
私に慰謝料を払って、貴女がズロル殿下と結婚すればいい事じゃないよ。
哀しい事だけど、殿下との子供は諦めるわよ。
私は公爵令嬢よ、国を割って戦いにする心算なんてないわよ」
「それはいけないよ、エクリュア、絶対に駄目だよ。
神から授かった大切な子供を、水に流す事は絶対にできない。
ウィーン公爵家には二人で真摯に詫びて許してもらうんだ。
そして二人の子供を大切に育てるんだよ」
ズロルがこれほどお人好しで子供を大切にするとは、エクリュアの大誤算だった。
しかしこれはアレッタの計算通りだった。
その、つい、出来心だったのだよ、本当に、申し訳ない。
陛下に申し上げて、できる限りの事はさせてもらうから、許して欲しい。
この通りだ、アレッタ」
イルドラ王国の王太子ズロルは心から詫びていた。
王家と貴族家の盟約である婚約を解消する、しかも王太子の過失で。
これは下手をすれば王家の信用信頼を失墜させる大事件だった。
こんな事でウィーン公爵派の貴族が王家を見限り、隣国に主家を変えるような事があれば、イルドラ王国の滅亡が確定してしまう。
「私に謝っていただいてもどうしようもありません。
王家とウッタル公爵家が誠意を見せるのは、私個人ではなく、ウィーン公爵家に対してではありませんか?」
ウィーン公爵家令嬢アレッタ、王太子の婚約者アレッタ、その前には二人の人間がいて、一人は平身低頭する王太子ズロルだった。
もう一人は、アレッタの婚約者ズロルを寝取ったにも関わらず、傲岸不遜な態度を崩さない、ウッタル公爵家令嬢エクリュアだった。
彼女は幼い頃からのライバルであるアレッタに、頭を下げる気は毛頭なかった。
確かに婚約者の選定ではアレッタに負けたが、身体を張ってズロルの誘惑に成功し、見事にズロルを変心させる事に成功したのだ。
「それに、エクリュア嬢は私に詫びる気がないようです。
それはウッタル公爵家がウィーン公爵家に詫びる気がないという事ですわ。
それではウィーン公爵家の面目が立ちません。
貴族が家名に泥を塗られて黙っているわけにはいきません。
これは、戦争をして殿下の首とエクリュア嬢の首をとる以外、名誉を回復する方法はないようですわね」
エクリュアはアレッタの言葉に心底驚いた。
エクリュアはたかだか恋愛の事、男を盗った盗られたの軽い話だと思っていた。
だからこそ、妊娠もしていないのに、妊娠したと嘘をついたのだ。
エクリュアだって公爵令嬢だ、政略結婚が重大な事は知っている。
アレッタを悔しがらせて苦しめたら、適当な慰謝料をもらって終わりにする心算でいたのだ。
「ちょっと待ちなさいよ、そこまでする必要がどこにあるのよ。
私に慰謝料を払って、貴女がズロル殿下と結婚すればいい事じゃないよ。
哀しい事だけど、殿下との子供は諦めるわよ。
私は公爵令嬢よ、国を割って戦いにする心算なんてないわよ」
「それはいけないよ、エクリュア、絶対に駄目だよ。
神から授かった大切な子供を、水に流す事は絶対にできない。
ウィーン公爵家には二人で真摯に詫びて許してもらうんだ。
そして二人の子供を大切に育てるんだよ」
ズロルがこれほどお人好しで子供を大切にするとは、エクリュアの大誤算だった。
しかしこれはアレッタの計算通りだった。
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