1 / 8
第一章
第1話婚約披露宴
しおりを挟む
「おお、舞姫殿、今日はおめでとう」
「ありがとうございます、侯爵閣下」
心にもない祝辞に応えるのは、もうこれで何度目だろう。
誰もが心の中では、この婚約披露パーティーを嘲笑の目で見ています。
守護神様に舞を捧げ、この国に繁栄を願うために存在する聖なる舞姫。
その舞姫を還俗させて王太子の正妃にするなど、正気の沙汰ではないのです。
しかもその相手が、とても愚かで、全ての貴族士族が心の中では嘲笑している王太子、獣欲の塊で初心な貴族令嬢を騙して弄ぶ卑劣極まりない男。
この国に忠臣がいるのなら、命懸けで国王と王太子を諫めたでしょう。
でも、もうこの国には、忠臣などいないのです。
国王と王太子を諫めた全ての忠臣が、罪を捏造され処刑されてしまいました。
もう貴族士族の誰ひとり、王家を敬ってはいないのです。
誰もが一日でも早く王家が滅びて新たな支配者が統治する事を望んでいるのです。
王都周辺の貴族士族は、有力貴族によって新王国が建国されることを望んでいますし、地方の貴族士族は隣国による支配を望んでいます。
皆が新しい領地と利権を求めて蠢動するだけで、私の事を助けてくれません。
私が王太子に弄ばれることを契機に、王家から守護神の加護がなくなる事を望んでいるのです。
彼らの考えは愚かとしか言えません、本当に愚かな事なのです。
守護神様の加護を失ったら、今王家のが支配している土地は、不毛の大地となるので、誰がどれほどの力で支配していようとも、何の役にも立ちません。
米も麦も一粒も実らないような土地を支配していても、税が手に入り事はありませんから、領主とは言えないのです。
「守護神様に選ばれた聖なる舞姫だが、当代の舞姫には不審な点がある。
当代の舞姫になってから、毎年の収穫が年々減っているではないか。
当代の舞姫は本物なのか、偽者が選ばれたのではないのか」
獣欲の塊で馬鹿の王太子が、絶世の美女を横に置いて馬鹿な事を言っています。
横に立つのは、今王都で評判のジプシーの踊り子です。
興業先で色を売るジプシーの踊り子は、神殿の舞姫など太刀打ちできない色香と手練手管がありますから、王太子を籠絡するなど朝飯前です。
これは絶好の機会です、見逃すわけにはいかない二度とない機会です。
「恐れながら申し上げます、王太子殿下。
私が聖なる舞姫であることは間違いありませんが、同時に力不足でもあります。
私が選ばれた時には、他に相応しいものがいないので、守護神様も仕方なく私を選ばれたのでしょうが、今なら違う結果になることでしょう。
どうか今一度、聖なる舞姫の選定を行ってください」
「ありがとうございます、侯爵閣下」
心にもない祝辞に応えるのは、もうこれで何度目だろう。
誰もが心の中では、この婚約披露パーティーを嘲笑の目で見ています。
守護神様に舞を捧げ、この国に繁栄を願うために存在する聖なる舞姫。
その舞姫を還俗させて王太子の正妃にするなど、正気の沙汰ではないのです。
しかもその相手が、とても愚かで、全ての貴族士族が心の中では嘲笑している王太子、獣欲の塊で初心な貴族令嬢を騙して弄ぶ卑劣極まりない男。
この国に忠臣がいるのなら、命懸けで国王と王太子を諫めたでしょう。
でも、もうこの国には、忠臣などいないのです。
国王と王太子を諫めた全ての忠臣が、罪を捏造され処刑されてしまいました。
もう貴族士族の誰ひとり、王家を敬ってはいないのです。
誰もが一日でも早く王家が滅びて新たな支配者が統治する事を望んでいるのです。
王都周辺の貴族士族は、有力貴族によって新王国が建国されることを望んでいますし、地方の貴族士族は隣国による支配を望んでいます。
皆が新しい領地と利権を求めて蠢動するだけで、私の事を助けてくれません。
私が王太子に弄ばれることを契機に、王家から守護神の加護がなくなる事を望んでいるのです。
彼らの考えは愚かとしか言えません、本当に愚かな事なのです。
守護神様の加護を失ったら、今王家のが支配している土地は、不毛の大地となるので、誰がどれほどの力で支配していようとも、何の役にも立ちません。
米も麦も一粒も実らないような土地を支配していても、税が手に入り事はありませんから、領主とは言えないのです。
「守護神様に選ばれた聖なる舞姫だが、当代の舞姫には不審な点がある。
当代の舞姫になってから、毎年の収穫が年々減っているではないか。
当代の舞姫は本物なのか、偽者が選ばれたのではないのか」
獣欲の塊で馬鹿の王太子が、絶世の美女を横に置いて馬鹿な事を言っています。
横に立つのは、今王都で評判のジプシーの踊り子です。
興業先で色を売るジプシーの踊り子は、神殿の舞姫など太刀打ちできない色香と手練手管がありますから、王太子を籠絡するなど朝飯前です。
これは絶好の機会です、見逃すわけにはいかない二度とない機会です。
「恐れながら申し上げます、王太子殿下。
私が聖なる舞姫であることは間違いありませんが、同時に力不足でもあります。
私が選ばれた時には、他に相応しいものがいないので、守護神様も仕方なく私を選ばれたのでしょうが、今なら違う結果になることでしょう。
どうか今一度、聖なる舞姫の選定を行ってください」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
71
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる