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第一章
第2話想定外
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「え、あ、うむ、そうだな、えええっと、それがだな。
え、なに、そうか、そうだな、そうしよう。
うむ、舞姫の申す事、それがよかろう、よくぞ申した、殊勝である」
私の不意討ちを受けて、王太子が狼狽しています。
私を追い込むために、色々と策を弄して準備をしていたのでしょう。
ですが、私に機先を制されて、策を使うことができなくなったのでしょう。
私を殊勝だとほめて、穏やかに舞姫の座を明け渡す策の転じたようです。
でもそれは、側にいるジプシーの踊り子が耳元でささやいてようやく決断できたことで、王太子独りでは決断できなかったでしょう。
後は、私と踊り子がとっさに描いた筋書き通りになりました。
当初王太子が描いていた謀略とは全く違う、想定外の決着です。
でもそれが、私と踊り子、両方の望みを適える方法です。
ジプシーの踊り子は、新しい聖なる舞姫に選ばれました。
王宮と神殿の両方に部屋が与えられ、一座のジプシー達が側仕えとなります。
各地で迫害されてきたジプシーには、絶対に失う事の出来ない地位です。
そして私は、先代舞姫として、隠居領を与えられました。
果てが分からないほど広大な土地ではありますが、水源が全くなく、わずかに乾燥に強い植物があるだけの、耕作ができない不毛の大地です。
王太子との婚約は破棄され、神殿と王宮で与えられている部屋と地位を奪われ、見方を変えれば事実上の追放刑ですが、それが私の心からの望みなので、むしろありがたい話です。
ですがこの結果は、王家の滅亡を願う全ての貴族士族にとって想定外でした。
私を王太子が無理矢理還俗させる事で、守護神の加護が失われ、王家が滅亡する事を前提に、貴族士族は今後の方針を立てていたのです。
舞姫の地位を降り隠居したとはいえ、聖なる舞姫である私が無事なのです。
そして本当に神に選ばれたかは不明でも、新たな聖なる舞姫も無事に選定された。
この事で守護神の加護が続くのか失われるのかが、彼らには大問題なのです。
「舞姫様、この度の事、大変でございましたな。
それで、実際問題どうなのでございます、守護神様は本当に新しい舞姫を気にいられたのでしょうか?
いえ、なにも、王家や神殿を疑っているわけではないのです。
舞姫様が守護神様に気にいられるかどうかで、我が領の実りも左右されますので、領民の事を思うと、とても心配なのでございます」
白々しい嘘をつく、誠実さの欠片もない男です。
この男が領民を想うなど、聞いたこともありません。
王国法を超えた過酷な年貢を課し、払えない領民は情け容赦なく奴隷に落とす、冷酷無比で極悪非道な領主だと聞いています。
このような男は無視しするに限ります、どうせ新たな主として選んだ隣国の王に命じられて、情報収集しているのでしょう。
そうだ、ちょっと意地悪をしてやりましょう。
え、なに、そうか、そうだな、そうしよう。
うむ、舞姫の申す事、それがよかろう、よくぞ申した、殊勝である」
私の不意討ちを受けて、王太子が狼狽しています。
私を追い込むために、色々と策を弄して準備をしていたのでしょう。
ですが、私に機先を制されて、策を使うことができなくなったのでしょう。
私を殊勝だとほめて、穏やかに舞姫の座を明け渡す策の転じたようです。
でもそれは、側にいるジプシーの踊り子が耳元でささやいてようやく決断できたことで、王太子独りでは決断できなかったでしょう。
後は、私と踊り子がとっさに描いた筋書き通りになりました。
当初王太子が描いていた謀略とは全く違う、想定外の決着です。
でもそれが、私と踊り子、両方の望みを適える方法です。
ジプシーの踊り子は、新しい聖なる舞姫に選ばれました。
王宮と神殿の両方に部屋が与えられ、一座のジプシー達が側仕えとなります。
各地で迫害されてきたジプシーには、絶対に失う事の出来ない地位です。
そして私は、先代舞姫として、隠居領を与えられました。
果てが分からないほど広大な土地ではありますが、水源が全くなく、わずかに乾燥に強い植物があるだけの、耕作ができない不毛の大地です。
王太子との婚約は破棄され、神殿と王宮で与えられている部屋と地位を奪われ、見方を変えれば事実上の追放刑ですが、それが私の心からの望みなので、むしろありがたい話です。
ですがこの結果は、王家の滅亡を願う全ての貴族士族にとって想定外でした。
私を王太子が無理矢理還俗させる事で、守護神の加護が失われ、王家が滅亡する事を前提に、貴族士族は今後の方針を立てていたのです。
舞姫の地位を降り隠居したとはいえ、聖なる舞姫である私が無事なのです。
そして本当に神に選ばれたかは不明でも、新たな聖なる舞姫も無事に選定された。
この事で守護神の加護が続くのか失われるのかが、彼らには大問題なのです。
「舞姫様、この度の事、大変でございましたな。
それで、実際問題どうなのでございます、守護神様は本当に新しい舞姫を気にいられたのでしょうか?
いえ、なにも、王家や神殿を疑っているわけではないのです。
舞姫様が守護神様に気にいられるかどうかで、我が領の実りも左右されますので、領民の事を思うと、とても心配なのでございます」
白々しい嘘をつく、誠実さの欠片もない男です。
この男が領民を想うなど、聞いたこともありません。
王国法を超えた過酷な年貢を課し、払えない領民は情け容赦なく奴隷に落とす、冷酷無比で極悪非道な領主だと聞いています。
このような男は無視しするに限ります、どうせ新たな主として選んだ隣国の王に命じられて、情報収集しているのでしょう。
そうだ、ちょっと意地悪をしてやりましょう。
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