大公公子でしたが、神与スキルが『悪食』だったので、王太女には婚約破棄され大公家からは追放され弟には殺されかけましたが、幸せに生きています。

克全

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第一章

第20話:レベルアップ

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王歴327年2月15日:南大魔境のキャト族村城門内・クリスティアン視点

「ヒーリング、ヒーリング、ヒーリング、ヒーリング、ヒーリング」

「もういい、もういい、もういいんだ、クリスティアン。
 もうこれ以上は魔力の無駄だ。
 ここまで回復してもらえれば命は助かる、それで十分だ、十分なのだ」

 くやしい、自分の力のなさに悔しさを感じてしまう。
 神から与えられたスキルで、自分が努力して手に入れた能力ではないが、完璧に使えていたら手足を再生できたかもしれないのに!

「ステータスオープン」

『クリスティアン』
種族:ホモサピエンス
称号:悪食
レベル:12/∞

「基本能力」
HP:   197
魔力:523412
命力:441198 
筋力:   181  
体力:   191 
知性: 10057  
精神:   695  
速力:   177
器用:   196
運 :   193
魅力:   173

「神与スキル」
悪食  :レベル15

「付帯スキル」
回復魔術:レベル16(スライム変化時)
    :ヒーリング、ハイヒーリング
毒術  :レベル15(スライム・サイドワインダーなどに変化時)
酸弾  :レベル15(スライム変化時)
    :アッシドバレット
薬生産 :レベル15(スライム変化時)
    :ピルファーマスーティカル?
    :リキッドメディスンファーマスーティカル?
毒生産 :レベル15(スライム変化時)
    :ポイズニング
棒術  :レベル10(ホブオーク変化時)
    :スティックアート
剛力  :レベル10(ホブオーク変化時)
    :スーパーヒューマンストレングス
自己回復:レベル10(ホブオーク変化時)
    :セルフヒーリング
牙突進 :レベル10(レッドボア変化時)
    :ファングラッシュ

「装備と武器」
投擲用の石
鉄のナイフ
上等の絹服
上等の絹ズボン
上等の乗馬ブーツ
上等の絹手袋

 なんだと?
 回復魔術にハイヒーリングが増えている!
『悪食』スキルがレベルアップしているのは土や木を無制限に喰ったからだが、回復魔術のレベルが『悪食』レベルを上回っているのはなぜだ?!

「なにを言ったのだ、クリスティアン?」

「自分の無力さを嘆いていただけさ、グレタ」

 普通に考えたら、回復魔術のレベルが『悪食』レベルよりも上なのは、今回真剣にヒーリングを使ったからだろう。
 付帯スキルを使ったら神与スキルのレベル以上に育てられるのかもしれない。

「ヤスミン、今日の事で色々と思う所があった。
 これまで通り体力回復薬は作るが、それだけでなく、治療所を始めたい」

「それは、この村でヒーラーとして働いてくれると言う事か?」

「ああ、俺は実家の大公家から命を狙われている。
 よほどの実力をつけないと、魔境の外に出ることはできない。
 実力がつくまではこの村にかくまってもらうしかない。
 その間は、自分のできる事をやって村の役に立ちたいのだ」

 本当はパーフェクトヒーリングを使えるようになりたいのだが、やれなかった時に大恥をかくから、大口を叩く気はない。

「ありがとう、そうしてくれれば村としてはとても助かる。
 だが、正直この村はとても貧しい。
 治療を望む個人はもちろん、村としても大した礼を渡せないぞ」

「個人のお礼は必要ない。
 いや、狩りが上手で豊かな者からだけは相応の礼をもらおう。
 村からの報酬は、土地と家を提供してくれればいい」

「分かった、だったら村の中心部で空いている土地をすべて提供する。
 建物も村人を総動員して村1番の屋敷を建てさせてもらう」

「では、治療所が完成するまでの間に使う家を貸してくれ。
 治療所が完成するまで何もしない訳にはいかないからな」

「使われていない空き家ならいくらでもあるが、中心部から離れるとケガ人や病人の中には通い難い者が出てくるかもしれない」

「通うのが難しいような重症者や重病人は往診するから心配いらない。
 だが、通うキャット族の間で不公平があると問題になるか?」

「だったら治療所が完成するまでは村の集会所を使ってくれ」

「分かった、では明日から集会所に通わさせてもらう」
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