大公公子でしたが、神与スキルが『悪食』だったので、王太女には婚約破棄され大公家からは追放され弟には殺されかけましたが、幸せに生きています。

克全

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第一章

第22話:亜空間

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王歴327年2月16日:南大魔境のキャト族村集会所・クリスティアン視点

「ストマックサブスペイス」

 俺は胃の部分を亜空間化する呪文を唱えて見た。
 実際にできるかどうかは分からないが、食べる事に関するスキルなら、付帯スキルが発生する『悪食』スキルなら、新しいスキルを創れるかもしれないと思ったのだ。

「さて、胃腸を活性化させないで、亜空間化させた胃に食べた食材を蓄える事ができるのなら、俺は無敵の存在になれる」

 俺は今日の狩りで手に入れた莫大な量の食糧を食べてみた。
 カモ、ハト、スズメ、ツグミ、カラスなどの鳥たち。
 イモムシ、クモ、バッタ、セミ、アリなどの虫たち。
 デモンアーミーアント、レッドタランチュラなどの魔蟲たち。

「信じることが魔術の根源だと書いてあったファンタジー小説はあったが、この世界では神与スキルに関係しない事には魔力が使えなかったからな」

 だとすると、胃を亜空間化して食糧を蓄えておくことは、『悪食』スキルに付帯するスキルなのだろうな。

「間違って、あるいは俺の意思を無視して、勝手に魔力回路や魔力器官が活性化して、食べたモノを消化吸収しているのなら、魔力が増えているはずだ。
 ステータスオープン」

 俺はステータス表を確認してみたが、魔力は自然増加量以上には増えていない。
 なのにホモサピエンスでは考えられないくらいの食糧を食べ続けられる。
 呪文が成功して胃を亜空間化できたにだろう。

「ふむ、胃を亜空間にできれば、ピルファーマスーティカルやリキッドメディスンファーマスーティカルに必要な成分を備蓄しておく事ができる」

 今のように事前に大量の薬を作ってしまうと、毎日徐々に薬効が劣化してしまう。
 薬は旅商人が来た時にだけ作るようにして、普段のケガや病気は治療所でヒーリングするだけにしようか?

「だが、それだと、狩場や戦場で瀕死の重傷を負った者に、応急処置で体力回復薬を飲ませる事ができなくなるよな」

 前世の記憶を取り戻して、前世のクセや性格が表面の出てしまってから10日。
 独り言を口にしてしまうクセがまだ治らない。
 誰かに聞かれていたらとんでもない事になってしまう。

「直ぐには治せないが、意識している時くらいは我慢しよう。
 特に治療所にいる時は気を付けないといけない」

「クリスティアン様、治療を希望するジャガー族の者が来ました。
 入ってもらってもいいでしょうか?」

「ああ、入ってもらってくれ」

 まずいぞ、もしかしたら手伝いの者に独り言を聞かれてしまったかもしれない。
 口止めした方がいいだろうか?
 だが、聞かれていなかった場合を考えると、下手な事を言うと逆に疑われてしまう事になる。

「先生、お願いします」

「はい、どうぞ、どこがどんな風に具合が悪のですか?
 それともどこかをケガしたのですか?」
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