大公公子でしたが、神与スキルが『悪食』だったので、王太女には婚約破棄され大公家からは追放され弟には殺されかけましたが、幸せに生きています。

克全

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第一章

第47話:エルフ族

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王歴327年5月28日:南大魔境・新キャット族村・クリスティアン視点

「クリスティアン村長、エルフ族が入村許可を求めて来ています」

 俺が執務室で休んでいると、城門との連絡係を務めているボブキャット族の娘が緊張した表情で報告してきた。
 ここ連日地下道堀とワニ狩りで疲れている俺を怒らせるのを恐れているようだ。

「別に俺の許可を求めなくても、他種族が交易のために入村する事は許可しているのだから、門番隊長の判断で入村を認めても大丈夫だよ」

 できるだけ笑顔を浮かべて優しい言葉で話してあげないと、ロードゴブリンやヒュージスライムに変化できる俺は恐怖の対象だからな。

「それが……交易のために来た者ではないので確認させていただいたのです」

「交易の為でなくエルフ族が来たというのか?
 人数は何人くらいなのだ?」

「200人くらいだと思われます」

「逃げてきたのか?
 ゴブリン族に襲われてエルフ族の村が壊滅したのだな?」

「エルフ族の村が壊滅したかどうかは分かりません。
 詳しい事は言わず、ただ村に入れて暮れの1点張りなのです」

「村が壊滅して逃げて来ている状況で、まだプライドが捨てられないのか。
 エルフ族らしいと言えばらしいが、それではエルフ族が滅びるぞ」

「いかがすればよろしいでしょうか、クリスティアン村長?」

「俺が直接行って交渉しよう。
 難民として受け入れてやりたいが、自分たちの立場をよく理解してもらっておかないと、キャット族と争いになるからな」

★★★★★★

「最初にはっきりと言っておくが、村を失ったエルフ族を難民として受け入れたいとは思っている」

「「「「「オオオオオ」」」」」

「ただ、我々も無限の物資を持っているわけでもないし、他種族との交流になれているわけでもない。
 なにより、ゴブリン族との争いを前にして、敵に寝返るかもしれない他種族を受け入れることに不安も反対もある。
 エルフ族のプライドを捨てて我々の命令に従う覚悟はあるか?!」

「我ら誇り高きエルフ族は滅亡する事があっても他種族の奴隷にはならぬ。
 我らに奴隷になって命令に従えと言うのであれば答えは否だ!」

「私はホモサピエンスだが、他の住民は誇り高いキャット族とホモカウ族だ。
 他種族を奴隷にして使役するような悪趣味はもっていない。
 我らの命令に従ってもらうと言うのは、指定した地域から出ない事と、村の住民同様に税を支払う事、村を護るための軍役や労役に従ってもらう事だ」

「村に住むうえで必要と思われる正当な命令には従う。
 だが、不当だと思う命令には従わぬ」

「ここで交渉が決裂したと断じて弓矢を向けてもいいのだが、ここに逃げてきたのは女子供ばかりなのは見ただけで分かる。
 ここで追い返してはキャット族とホモカウ族の名誉に反する。
 居住を認めるかどうかは別にして、休息のための家と食事を提供したが、受けとってもらえるだろうか?」

「我ら誇り高きエルフ族は滅亡しようとも他種族の施しは受けない。
 だが、一時的に食糧と休息を借りて後日返す事までは拒否しない」

「そうか、では少しは交流のあるホモカウ族のヨアヒム殿に案内を任せるから、女子供たちが安心して休める事が理解できたら、今後の交渉をしよう」

「分かった」

★★★★★★

「ウワサ通り高慢な連中だな。
 私が村長だったら、あのまま追い返していたぞ」

「そう言う方法もあるが、俺は生の情報が欲しいんだ、グレタ」

「ゴブリン族がどのくらいの戦力なのか知りたいのか?」

「ああ、特に敵の長がロードだったのかキングだったのかが知りたい。
 文献でしか知らないが、エルフ族は魔力が多く魔術が得意だったはずだ。
 そのエルフ族は村を捨てなければいけない程の大敗をしたのだ。
 少々の腹立たしさを抑えてでも情報が欲しい」

「クリスティアン村長がそこまで言うのなら、私は我慢して黙っているが、他の部族長連中は必ず激怒して文句を言うぞ」

「それは分かっているから、部族長会議は開かない。
 部族長の意見は聞かず、村長の独断で決める」

「何かあった時には全責任を背負う事になるぞ」

「最初から女房子供を護るためなら命をかける気だったのだ。
 いまさら責任を問われると言われて変わるような覚悟じゃない」

「分かったよ、クリスティアン村長の覚悟は各部族長だけでなく嫁さん達にも伝えておくから、安心して背中は任せてくれ」

「グレタに救いの手を差し伸べてもらった時から、背中はまかせているよ」

「よく言ってくれる、救いの手を差し伸べてもらったのは、最初から最後まで私たちキャット族だよ」

「では、俺が困っているエルフ族に手を差し伸べるのも理解してくれよ」

「ああ、クリスティアン殿の誇り高い心を踏みにじるようなマネは誰にもさせない。
 それが同じキャット族であろうとだ」

「クリスティアン村長、エルフ族の代表が話し合い来ました。
 屋敷の中に入れてもよろしいでしょうか?」

「ああ、かまわない、武器を持ったまま入ってもらってくれ」

「しかしそれはいくらなんでも!」

「ロードゴブリンであろうと独りでぶち殺した俺だ。
 どれほどの武器を持っていようと、エルフごときに後れはとらない。
 なんの心配もせずに武器を持たせたまま入れろ、いいな!」
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