土魔法で富国強兵?

克全

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始まりの章

襲撃3

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「社長。桃ちゃん、緑君。ここから先は安全確認をしていませんので、気を付けて下さい」
「分かった」
「はぁぁぁぁい」
「気を付けます」

 今回の廃炭鉱も、いつも通りの仕込みをしている。
 毎回地下資源が発見されるので、動画の視聴率が鰻登りだ。
 桃と緑は当然として、異様なコスプレをしている予備役自衛官まで人気者になっている。
 問題は、俺達が買収しようとした土地が暴騰している事だ。
 既に必要な土地は全て買収しているが、これから買収しようとしても不可能な状態だ。

「まさにこれからが危険との隣り合わせであります。幼く可憐な幼女と幼児は、無事に御宝を発見出来るのでありましょうか」

 フリーアナウンサーのセリフも定番化しているが、これが受けているのだから、変に変える訳にもいかない。
 毎回毎回坑道の下を掘る訳にもいかないが、だからと言って上を掘るわけにはいかない。
 初回のように一発で掘り当てるのは、放送的には面白みがない。
 今回は時間をかける予定だ。

「このずっとおくぅぅぅぅぅ」
「この突き当りを、百メートルほど掘って下さい」
「了解しました。やれ」
「おぉぉぉぉぉとぉぉぉぉぉ。幼女と幼児に天啓が閃いたかぁぁぁぁぁ」

 隊長の命令を受けて、隊員が削岩機で坑道を掘りだした。
 今回は予備自衛官だけでなく、坑道堀の専門家も雇っている。
 何気に日本の就職率に寄与している。

「ありました」
「とったどぉぉぉぉぉ」
「おぉぉぉぉぉとぉぉぉぉぉ。本当に御宝発見だぁぁぁあぁぁぁ。可憐な天使達の御告げ通り、御宝がでたぁぁぁぁぁ」

 これも定番のセリフで、動画で喜ばれている。
 うちの発掘以外でも、いろんなテレビ番組に引っ張りだこだが、ブレイクのきっかけとなったうちの動画だけは、売れない頃と同じギャラでも最優先に出演してくれる。
 他の人間に席を奪われて、人気が凋落するのを恐れているのかもしれない

「先生。鑑定を御願いします」
「分かりました」

 何時もの鑑定士さんが、これもいつも通り鑑定してくれる。
 この人もうちの動画に出てから、人気の鑑定番組に出るようになった。

「凄いです。これは大発見です。日本でレッドダイヤモンドが発掘出来るなんて、信じられません。見えている部分だけで、数千万円の価値があります。この塊の中だけで、数億、いえ、数十億のレッド・ダイヤモンドが入っているはずです」

 鑑定士さんが、何時も以上に絶叫している。
 それも当然だろう。
 パープル・ダイヤモンドやタンザナイト、エレーメージェバイトやターフェアイトの時と違って、高品質の原石を桃と緑に見せる事が出来たから、それをこの坑道内に埋め込むことに成功しているのだ。
 これにつられて動き出してくれればいいのだが。
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