持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

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第一章冒険者偏

身体強化

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「これは重宝するね。
 それにこれを公表すれば値崩れの心配もなくなる」

「ふむ。
 だが情報は貴重だ。
 いや、貴重以前に命にかかわる事もある。
 切り札としてとっておかないのか?」

「ふん!
 それは騎士や戦士の考え方だよ。
 私は冒険者だからね。
 獲物を高く売るのが最優先だよ。
 アンタは騎士としてここにいるのかい?
 それとも冒険者としてここにいるのかい?」

「分かった、降参だよ。
 城代にも大臣達にも、俺が責任を持って報告する。
 ドウラは冒険者クランに報告してくれ。
 ドウラの報告なら誰も疑わんだろう」

 今日はとても驚愕の発見がありました!
 皇国の、いえ、世界を変えかねない大発見です。
 もともと魔獣や魔竜が魔法薬に素材になる事は知られていました。
 実際そのお陰で、私達が狩った魔獣や魔竜は驚くほどの高値で買い取られます。
 ですが、今日、それ以外の大発見があったのです。
 魔竜の肉を食べるだけで魔力体力が回復し、身体強化までするのです。

 特に身体強化について調べようとしていたわけではありません。
 たまたま大量にある鉤竜の肉を食べたのです。
 自分達だけでなく、クランメンバー全員に、それこそ入ったばかりの新人にも。
 常識外れな事だとは、重々承知しています。

 ですが、ドウラさんが、若い子達のやる気を維持するためにも、狩り過ぎた魔竜の肉を消費するためにも、月に一度くらいは振舞ってやろうと言われたのです。
 酔っておられたのかもしれません。
 最近お酒を飲まれる姿を見かけることが増えました。
 狩りの時も、二日酔いで辛そうにされている時があります。

 ですが、その非常識な大盤振る舞いが、とんでもない衝撃の事実を、発見する事に繋がったのです。
 入ったばかりで、まだ一度も狩りに参加したことがなく、身体強化の経験もない新人が、鉤竜の肉を食べただけで身体強化したのです!
 食事会の場は騒然としました。

 食事会は突然緊急幹部会となり、身体強化の原因を研究することになりました。
 でも誰もが分かっていました。
 原因が鉤竜の肉を食べた事だと。
 その場で新人達にドンドン鉤竜の肉を食べさせました。
 もう、美味いとか貴重だとか高価だとかは二の次三の次です。

 その日のうちに、鉤竜の肉を食べるだけで、亜竜を斃さなくても、身体が強化されることがはっきりしました。
 その日から、検証を重ね、正式な研究として発表するための、追実験が繰り返されました。

 早い話が、新人に狩りをさせずに、毎日三食鉤竜の肉を食べさせたのです。
 どの部位をどれくらい食べさせたら身体強化するのかを、繰り返し検証しました。
 これで亜竜種の肉の相場は高止まりすることになるでしょう。
 どれほど狩っても値崩れの心配がなくなりました。
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