持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

文字の大きさ
47 / 99
第一章冒険者偏

死病

しおりを挟む
「ドウラさん?
 ドウラさん!
 しっかりしてください!」

 突然私達の前でドウラさんが倒れられました。
 強いアルコール臭がしていましたから、酔っているのかもしれませんが、自分に厳しいドウラさんにしては最近の行動がおかしいです。

「心配するな。
 お前達はそのまま狩りを続けろ。
 ドウラや俺がいなくても問題なく狩れるだろう」

 ジョージ先生が平然とされています。
 エマとニカが凄く心配そうな顔をしています。
 事情を知っているに違いありません。

「でもジョージ先生、先生もエマとニカも可笑しいです。
 この状態では思わぬ不覚を取りかねません。
 撤退して事情を聞かせてください」

「その通りです、父上。
 ここは一旦引きましょう」

 マルティン様も私に賛同してくれています。
 イヴァンとダニエルもうなずいて同意してくれています。

「分かった。
 帰って話そう」

 帰ってからマルティン様が全てを教えてくれました。
 信じられない、信じたくない話でした。
 ドウラさんが死病に取り付かれているというのです。
 今手に入る薬では、絶対に治らない死病だそうです。
 持っているのは皇族かよほどの有力者だけで、厄竜が何時現れるか分からない現状では、どれほど金を積んでも売ってくれないそうです。

 ドウラさんほどの実力者で大金持ちでも、手に入らない薬。
 亜竜種を素材にした薬でも、延命と鎮痛が精々で、今ではその効果も落ちてきていて、強い酒と併用しなければ鎮痛効果が現れないそうです。
 自分に厳しいドウラさんが、常に強いアルコール臭をさせてた原因が、今ようやく分かりました。

「ただ全く可能性がないわけではない。
 厄竜がもたらした死病だから、同格の属性竜から作った薬なら、完治が可能だ。
 お前達の力で属性竜を狩れるなら、ドウラを治すことができる。
 それを肝に銘じて、常と変わらない状態に心身を保ち、明日からの狩りに備えろ」

「お願いします」

「おばあちゃんを助けてください」

 マルティン様の説明の後で、エマとニカが交互に私達に頼みます。
 沈痛な表情で、深々と頭を下げ、お願いするのです。
 私達は決意を新たにしました。
 今の私達があるのは、全てドウラさんのお陰です。
 ここで恩返ししないでいつするというのですか!

 私達は本気になりました。
 本気で、死ぬ気で属性竜を探しました。
 今迄がいい加減だったというわけではありません。
 今迄も本気でしたが、命を賭けてまでの本気ではありませんでした。
 安全マージンを大きくとった本気から、安全マージンを低くして、虎穴に入らずんば虎子を得ずの気持ちで捜索したのです。

 そうです、捜索重視の狩りにしたのです。
 どこにいるのか分からないのが属性竜です。
 まず属性竜を探し出さなければなりません。
 今迄のように、収入のために狩りを優先した捜索を止めたのです。
 魔力を温存して捜索するために、狩れる亜竜を全て見逃して、朝から夕刻まで属性竜を探し回り、帰る時に属性竜を見つけられなかった怒りをぶつけるように亜竜を狩りました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

私ですか?

庭にハニワ
ファンタジー
うわ。 本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。 長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。 良く知らんけど。 この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。 それによって迷惑被るのは私なんだが。 あ、申し遅れました。 私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました

ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。 王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。 しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。

今、私は幸せなの。ほっといて

青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。 卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。 そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。 「今、私は幸せなの。ほっといて」 小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...