持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

文字の大きさ
70 / 99
第二章貴族偏

脅迫

しおりを挟む
「本気かい、ホセイ城伯。
 本気でベルハーヴェン伯爵家に決闘を申し込むのかい。
 ジルベルト個人だけにおさめておけば、全て丸くおさまるんだよ?」

「そうですね、レオン第四皇子殿下。
 確かにジルベルト個人だけの問題にしておけば、ベルハーヴェン伯爵家の名誉は保たれ、争い事がこれ以上広がらないかもしれませんね。
 私の気持ち以外は。
 ベルハーヴェン伯爵家が私を侮り、罵った事を泣き寝入りして、また陰で貴族として決闘もできない冒険者上がりの成り上がり者と、陰口を言われるのを我慢すれば」

「いや、だがそれはジルベルト個人が口にした事で、ベルハーヴェン伯爵家が口にした証拠もないし」

「レオン第四皇子殿下は、ベルハーヴェン伯爵が同じような目にあって、決闘を申し込むといっても、私に言ったのと同じ事を口にされるのですね。
 ベルハーヴェン伯爵には決闘を申し込む権利などないと、言われるのですね」

「それは……」

「城伯という地位に、同格であるはずの伯爵家に馬鹿にされても、決闘を申し込む資格がないのだと、皇室皇国の規則に書き加えられるのですね?
 レオン第四皇子殿下の名で、ホセイ城伯家は、どれほど口汚く罵られても、ベルハーヴェン伯爵に決闘を申し込むのを禁じると命じられるのですね」

「……そんなことはしない。
 そんな事はできない。
 そんな事は貴族家の権利を奪う事になる」

「それは、私は、新興城伯家は貴族ではないという事ですね」

「そうではない。
 そうではなくて、事を穏便にした方がもめ事が少ないと言いたいだけで……」

「それは依怙贔屓ですか?
 譜代功臣家のベルハーヴェン伯爵を優遇して、新興のホセイ城伯家は踏みつけにするのが、皇室皇国の政なのですね」

「そうではない、そうではなくて、皇国内の争いを少なくしたいだけだ」

「それが依怙贔屓だと申しています。
 馬鹿にされ、名誉を穢されたのはホセイ城伯家です。
 そのホセイ城伯家が押さえつけられ、名誉を踏み躙ったベルハーヴェン伯爵に、これからも好き勝手させるのでしょ」

「ではどうあっても皇国内で争いを起こすというのだな」

「レオン第四皇子殿下は何か勘違いをなされていますか?
 争い事など起こりませんよ。
 私がベルハーヴェン伯爵に決闘を申し込んで、一対一で戦うだけです。
 それを恐れて逃げ回って、諸侯軍を動かさなければ、争い事など起こりません。
 皇国の譜代功臣伯爵が、決闘を恐れて逃げだすなんて、有り得ない話ですよね」

「……分かった。
 好きにするがいい」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

私ですか?

庭にハニワ
ファンタジー
うわ。 本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。 長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。 良く知らんけど。 この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。 それによって迷惑被るのは私なんだが。 あ、申し遅れました。 私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました

ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。 王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。 しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。

今、私は幸せなの。ほっといて

青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。 卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。 そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。 「今、私は幸せなの。ほっといて」 小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...