持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

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第二章貴族偏

討伐命令

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「これで満足か、ラナ?」

「ご満足なのは殿下でございますよね?」

 ヨジップ殿下が聞いてくるが、殿下の方が満足そうだから、質問し返す形で返事をしてあげた。
 レオン殿下よりは克己心がおありだが、本当に大事な所を家臣に任せるところが時々ある。
 時には自ら非情な決断を下して欲しいものです。

「確かに私も満足だが、ラナの方が嬉しそうだぞ。
 あの者たちが送り込まれてきてからは、仏頂面が多かったぞ」

「そうでございましたか?
 それはまだ修行が足りませんでした。
 これからまた精進いたします」

 まあ、ヨジップ殿下とこんなやり取りができるのも、あの馬鹿どもが、実家共々処分されたからだ。
 私の報告と宣言は、皇室と皇国首脳部を驚愕させた。
 そして直ぐに皇室は激怒し、皇国首脳部は責任回避のために汲々とした。

 皇国首脳部は、私達の問題で何度か入れ替わりがあって、能力も忠誠心もある有能な者達に入れ替わっていたそうですが、名門が優先されるのは変わりません。
 名門同士は、親戚縁者であったり友人知人であったりするのです。
 だからこそ、今回のように、皇国を傾けかねない邪悪な者が、皇子の側近に配されてしまうのです。

 邪悪な者をヨジップ殿下の側近に押し込んだ者は、連座で責任をとらされます。
 ようやく厄竜災害に対処できる目途がついたのに、それを台無しにしようとしたのですから、無罪放免というわけにはいきません。
 ですが、それが厳重注意だけですむのか、役目を解かれるだけで済むのか、家名断絶にまで及ぶのか、それは正しい善後策を行うかどうかで決まります。

 皇国首脳部は正しい善後策をとられました。
 親戚縁者友人知人を切り捨てて、自分の身を護りました。
 激怒した皇帝陛下と皇太子殿下の命令に一切異を挟まず、邪悪な子供をヨジップ殿下の側近にした実家の名門貴族に、大魔境に入って属性竜を斃すことを命じました。
 それも、当主はもちろん子弟全てに出陣を命じたのです。
 早い話が族滅しろという命令です。

 彼らは私に詫びを入れてきました。
 私が許せば皇室皇国の処罰が軽減される思っていたのでしょう。
 ですが、なぜ私が許すと思ったのでしょうか?
 不思議です、許すわけがないでしょう。

 彼らは私の怒りがおさまるように、邪悪な子供達を処刑しました。
 私の過去の行状から、謹慎や幽閉程度では許されないと思ったのでしょう。
 もしかしたら替え玉を使ったかもしれませんが、それは後でゆっくりと調べればいい事です。
 皇室皇国を欺いたら、お家断絶以外の処分はありませんから。
 さて、彼らに大魔境で生き残る力があるでしょうか?
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