持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

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第二章貴族偏

嫌味

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「なんという事だろうか!
 城伯家の当主ともあろう者が、そのような気も使えないのですか?
 属性竜を三頭も独力で斃すことができるのなら。
 一頭くらい殿下にお譲りすればいいものを。
 本当にその程度の事もできないと申されるのか」

「そうだそうだ」
「それはあまりにも気がつかなすぎるのではないかな」
「少々不敬と言えるのではないかな」
「思い上がっているとしか思えんな」
「これは、重臣会議で取り上げていただかねばならない」

 腐った連中はいつまでたっても減りませんね。
 いえ、減ってはいるのでしょうが、ヨジップ殿下が頭角を現すと、長年の側近を押しのけて、実家が権力を持つ者が側近に入り込みます。
 私が視線で殿下を制しているのと、殿下の思惑もあって、好き勝手言わせます。
 ですが、その責任は取っていただきます。
 実家共々、しっかりととっていただきます。

「分かりました、ランド侯爵家令息リドル卿。
 今の諸卿の発言は書記が公式に書きとめて記録にしてもらっています」

「それがどうしたというのだ、城伯殿」

 少し怯えていますね。
 私が決闘を申し込むのを恐れているのでしょう。
 少し表情に余裕がでてきました。
 決闘を拒否できる程度の発言に抑えていると、思い出しているのでしょう。

「ヨジップ殿下もお聞きいただきましたね。
 重臣会議でも皇室会議でも、間違いないと証言していただけます」

「ああ、私もこの者達の発言はしっかり聞いたし覚えている。
 重臣会議でも皇室会議でも証人として発言しよう」

「「「「「殿下」」」」」
「なにを証言されると申されるのですか?!
 我ら一同、殿下の事を想って、気の利かない城伯に、宮廷でのマナーをお教えしていただけでございます」

「ええ、そうでしょうとも。
 ですから、皇国でも由緒ある名門貴族の御子息方のお言葉に従い、今後は発見した属性竜は狩らずに放置いたします。
 翌日の殿下の御出陣に間に合わず、皇国中を属性竜が暴れまわっても、それは由緒ある名門貴族家の御命令ですから、わたくしたち身分卑しい成り上がりはしゃしゃり出ないようにいたしますので、名門の方々で退治願います」

「「「「「な!」」」」」

「書記!
 直ぐに皇室と皇国政府に今の記録を提出せよ。
 明日の朝にも、御令息方の命令の所為で大魔境から厄竜がでてくるかもしれん。
 我らには手出しするなという御令息方の命令がある。
 皇都の警備を厳重にしていただかねばならん」

「「「「「な!」」」」」
「そのような事は命しておらんぞ!」
「嘘の報告は許さんぞ!」

「お前達は直ぐに瓦版と高札を準備させろ。
 皇室と皇国が重大な情報を隠蔽するかもしれぬ。
 民が厄竜の災害で死傷するのは忍びない。
 我ら身分卑しい城伯領に逃げて来れば、我らが民を助けると知らせるのだ」
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