武田義信に転生したので、父親の武田信玄に殺されないように、努力してみた。

克全

文字の大きさ
28 / 246
武田義信

天文16年(1547年)9歳 ・伝書鳩

しおりを挟む
 信玄は正月の宴で、家臣団の統制と治安の規定を盛り込んだ甲州法度を発布した。国衆や地侍は、領内の荒地を開墾されたら、勢力内にライバルが入り込む可能性が有ることを恐れたようだ、必死で荒地開墾を行うことになる、それが出来ない者は、守護である武田本家、特に殺戮を好まないと思われている俺に開墾依頼をするようになっていった。

 正月の宴は俺が差配することになった、勿論費用も俺の負担だ、とびっきり酒精の強い焼酎と用意できる限りの料理を提供した。下戸の俺には耐えがたい狂気の宴会だ。だがその御陰で、ハレの日は焼酎の原酒で祝うと言う習慣が家臣団の中に育まれた。定期的に国衆の当主もしくは当主に準ずる者が、俺の元に来て焼酎原酒を購入していくようになる。酒好き特にアル中は、俺に従うか殺して蔵元ごと奪う以外に、原酒を手に入れる方法は無い、これからは一層身辺に気を付けよう。

 俺が気にしている各地勢力の動きが活発だ

 2月20日に三好長慶軍は摂津の原田城を落城させた。

 3月22日に摂津の三宅城を落城させた。

 3月29日には先代将軍足利義晴が京都郊外北東の勝軍地蔵山城に入って細川氏綱・遊佐連合軍を支援したが大勢には影響なかった。

 4月に近江守護六角定頼からも援軍を得た細川晴元伯父上・三好方が圧倒的な有利に立っていた。

 俺は毎月初に御機嫌伺(ごきげんうかがい)の品を、天皇(すめらみこと)、三条公頼御爺様、細川晴元伯父上、曽祖父の勧修寺尚顕殿、大伯父の勧修寺尹豊殿、足利義藤将軍に送っている。送る品は、焼酎1升・干椎茸・蜂蜜1合・白絹1反・漢方薬などを組み合わせて送った。1家に1月10貫文程度に抑えているが、遠く甲斐から毎月送り届ける行為に感謝、いや、感動すら覚えているようだ。こんな戦乱の時代だし、無数の関所越えて届けられるのだから、ま、俺は全ての関所を無視してるけど。

 届ける荷役は献上品1つ、例えば焼酎1升と、自分の歩合も含む売り物の漢方薬100貫文分、伝書鳩を担いで京に上るのだ、京に着いたら、伝書鳩に京の動静を書き記した紙縒りを、足に付けた竹製の筒に入れて送る。通信連絡速度を上げる為に導入した伝書鳩は軌道にのった。荷役は山中を隠れて移動するのだが、山中には猟師・木地師・炭焼き・漆取りなどの拠点が無数に点在している、その全てが俺の味方の拠点だ。荷役毎に決められた拠点に寄りながら目的地に行くのだが、伝書鳩はその練度によって定められた距離から放たれる、遂には京の三条屋敷と新たに堺に設けた商家から躑躅ヶ崎館に戻れるようになった。 今後も大量の伝書鳩を育成訓練していくことにしたが、同時に対策として、鷹匠の大量採用と育成訓練を行った。

 話が逸れてしまったが、俺は御機嫌伺先に、戦乱を憂い天皇(すめらみこと)と朝廷の衰微を憂える文面を書き記し、何時でも細川家の管領争いの仲介の労をとると伝えた。9歳児が噴飯物だが、相手は信玄の意向だと勝手に推測してくれる。さて、何時頃に停戦協定が結ばれるか?

 6月25日に、細川晴元伯父上方の三好軍は芥川山城と池田城を無血開城させ、摂津国内における勢力を巻き返していかれた。

 7月に三好軍は丹波から山城の畑に入って一帯を焼き払てしまった、民が苦しまなければいいのだが、そうはいかないだろう、戦乱は民に塗炭の苦しみを与える、戦に成る前に自然と降伏させるくらいの圧倒的な戦力を整える様に努力しよう。

 7月19日に前将軍足利義晴は城を焼いて近江坂本に逃走したしようだ。細川晴元伯父上は、遂に京を回復されたようだ、伯母上は御無事であろうか?

 7月21日に三好長慶が、細川氏綱・遊佐長教らに舎利寺の戦いで勝利したようだ。天下の帰趨を決める一大決戦、舎利寺の戦いの戦況は以下の様であったそうだ。

 一時の劣勢を挽回して畿内をほぼ制圧した三好軍の残る敵は、河内高屋城に拠る細川氏綱・遊佐連合軍だけであった。

 7月21日、三好軍は河内十七箇所の榎並城に集結し、各隊が高屋城を城撃をするため南下していった。この行動を察知した細川氏綱・遊佐連合軍は戦闘準備を整えて高屋城を立つと、正覚寺城を経て北上していった。そして遂に舎利寺周辺で両軍が遭遇激突した。応仁の乱以降、鉄砲伝来するまでの間の畿内最大といわれる舎利寺の戦いが開始された。矢戦から始まって総懸かりに移り、三好方の畠山尚誠と松浦興信の手勢が一番手として進み、数時間の槍合わせは近年に無い大合戦であったそうだ。遊佐軍は精兵400人が討ち死にして敗走、ただ三好方も50兵以上が討ち取られたそうだ。この日の戦は松浦勢と畠山尚誠勢の手柄であったそうだ。

これを考えると、最低でも2万の兵を整えないと京で勝利は得られない。誰を味方にし、敵にするのかで兵数配備は変わるが、甲斐信濃の本国を完全に留守すれば攻め込まれる、周辺勢力が連合した場合でも、互角に戦える兵力を残さなけらばならない。京を制圧すれば、これまで味方であったはずの同盟者も、嫉妬と欲に駆られて攻め込んでくる可能性が高い。史実の浅井の裏切りや、我が武田の今川攻め、何よりも本能寺の変を考えれば一瞬の隙も許されない。

 急いで連絡網と軍用道を整備しなければならない。先ずは伝書鳩の育成訓練だが、霞網で大量の鳩を捕獲しよう、明日にでも山狩りだ。後は軍用道整備なのだが、この時代の戦国大名は、攻め込まれることを恐れ、街道の整備を行わなかったらしい。信玄を説得できるだろうか? その為には四方に強敵に囲まれている状況を改善しなければならない。甲駿相三国同盟を余りに早く締結すると歴史が変わる過ぎるか? そうだ、俺の領地から木曽に向かう攻撃路だけ整備願を出すか? 飯田から街道整備して、妻籠城・三留野東山城・三留野愛宕山城・須原城を何時でも攻め取れるようにする手だが? 何れ裏切る木曾義昌の親父木曾義康が当主だよな? どうにも好きになれない、殺すか?高遠から街道を整備して、上之段城・小丸山城・火燃山狼煙台・木曾福島城を攻め取れるようにする手。どちらにしても、木曽の国衆の動静を探らなければならないな。

 結局信玄に相談することにした、独断専行は絶対駄目だ、切腹街道を歩む事になりかねない、僅かでも信玄に疑念を抱かれないようにする事が最優先事項だ!

 信玄の判断は時期尚早であった。
 1つは、伊奈を完全に制圧していない事。
 2つは、その為に三河口から今川軍を引き入れる国衆が現れる可能性が有る事。
 3つは、木曽飛騨を制圧すには俺独自の兵が少ない事。
 4つは、直近に信玄が軍事行動を予定している事。

 そこで相談の結果、天竜川を下り領地を拡大する策をとった。

1つ目は、 叛意を隠している国衆や地侍を掃討戦だ。
 高遠城から鈴岡城の間の、今宮城・飯田城・愛宕城・切石城・桜山城・虚空蔵山城・知久平城などを持つ国衆を討滅もしくは完全臣従させる、要は城と領地を明け渡させて、南熊井城・北熊井城・赤木南城・赤木北城・横山城・八間長者城の守備兵とすることだ。

2つ目は、未だ臣従しない茶臼山城・西平城・小野郷城・久米ヶ城・駒場城・伊豆木城・甲賀館・吉岡城・根羽砦を攻略することだ。
 攻略後は城と領地を明け渡させて、南熊井城・北熊井城・赤木南城・赤木北城・横山城・八間長者城の守備兵とする。

 3つ目は、今川との国境線を確定することだ。
 青崩城・熊伏山城・袴越城・観音山城・天ケ森城などの城砦群を築城し今川の侵攻を未然に防ぐ。
今川義元との事前交渉は信玄が行ってくれる事になった。

 俺は、南熊井城・北熊井城・赤木南城・赤木北城・横山城・八間長者城に守備兵として駐屯している兵が使えないため、伊奈郡で臣従してくれている国衆と地侍を動員する準備をした。同時に秘蔵の小人少年兵を動員する準備も行った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...