死にたくない、若返りたい、人生やり直したい、還暦親父の異世界チート無双冒険譚

克全

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第1章

第21話:進軍準備

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 ガニラス王国歴二七三年五月七日
 ルイジャイアン・パッタージ村の防壁外
 田中実視点

 ルイジャイアンと話し合って、アドリアを殺すか追放する事にした。
 ただ、まだ攻め込んできてもいないのに、こちらから殺しに行く気にはなれない。
 だから、アドリア・アンドリュー村に近い城で待ち受ける事にした。

 したのだが、無為に時間を浪費するのは嫌だった。
 だから、周囲の魔境に入って祝福上げする事にした。
 
 夢中になって奥深くまで入り、アドリアの攻撃に気がつかないのは怖いので、城に残る騎士たちに合図を送ってもらう事にした。

 合図の方法は、この世界に有る方法だけでなく、俺が持ち込んだ道具も使わせた。
 この世界にも太鼓や鐘による合図があったので、それは普通に使ってもらった。
 俺が持ち込んだのは、異世界の獣を避けるためのロケット花火だ。

 神の加護や祝福による魔術が有るのを知らなかったので、日本でカラスやスズメを追い払うのと同じように、ロケット花火で異世界の獣を脅かそうと思っていたのだ。

「もう今から襲って来る事はないだろう。
 必要な物があれば、今の内にミノルの世界から持ち込んでおけ」

 ルイジャイアンが日本に戻って物資を買って来いと言う。
 
「そうは言うが、俺の世界には思いがけない奇襲で落ちた城が多い。
 ルイジャイアンが襲ってこないと思う状況で、奇襲をする奴がいるかもしれん」

「この世界にも奇襲はあるが、今回はどう考えても奇襲にならない。
 アドリアは攻撃して来ないと思っているが、魔獣やアンデットは警戒している。
 だからアドリアに不意を突かれる事もない」

「なるほど、確かに魔獣やアンデットを警戒していたら、奇襲される事はないな」

「だから安心して自分の世界に戻れ。
 夜になっても、こちらの世界に商品を運んでくるのだろう?
 アドリアが攻撃して来ても、魔獣やアンデットが襲ってきても、直ぐに防壁を破られたりはしない。
 ミノルが往復するくらいの時間は防げる、安心しろ」

「分かった、特別な事をしなくても長く置いておける物を仕入れて来る。
 俺の無限袋を使わなくても長く置いておける、商品になるモノを買って来る。
 最後に、この世界にない俺が好きな物を買って来る」

「それは、もう自分に世界に戻らないという事か?」

「もう戻らないという訳ではない、しばらくは戻れないかもしれないという事だ。
 アドリア・アンドリュー村を手に入れて、ダンジョンの有る街まで行き、不老不死ドロップを狙うなら、しばらくは戻れないだろう?」

「なるほど、そうだな、どれくらいかかるか分からないが、暫くは戻れないだろう。
 以前言っていた、大好きな卵はたくさん買っておいた方が良い」

「では、これを無限袋に戻して、城の倉庫に保管してくる、後は好きにしてくれ」

 俺はそう言うと、天迦久神に御願いして健脚を使った。
 とんでもない速さで駆けて、自分の城に行った。

 空壕と城壁、合わせて百メートルの高さを、見張りに気付かれる事無く駆けのぼれたので、自分と同じくらい祝福を重ねた者なら、同じ様に入れるのだと思い諦めた。

 神による祝福がある世界では、諦めと割り切りが大切だと思った。
 ここで誰かに城を奪われる事や、魔獣やドラゴンを奪われる事を恐れたら、もう二度と城から離れられなくなる。

 それが嫌で、ドラゴンを城に保管せずに無限袋に入れたら、日本に戻れなくなる。
 何を優先するのか取捨選択して、割り切るしない。
 俺が最優先するのは不老不死を得る事、次に大切にするのは、楽しく生きる事だ!

 国之常立神に御願いして、無限袋にあるモノを城壁の一階倉庫に出してもらう。
 取り出し易いように、全部きれいに並べて入れてもらった。

 淤加美神に御願いして冷凍してもらい、氷壁で蓋してもらった。
 再び天迦久神に御願いして健脚を使い、転移場所に行った。

 日本に戻ってからは、疑いの目を向けられない範囲で急いで仕入れた。
 ネットショップの立ち上げは中断して、塩と砂糖と香辛料を中心にした、安価に仕入れられて高価に売れる物を買い運んだ。

 祝福で強化された身体とリヤカーを活用して、全てのホームセンターが閉店するまで買い回った。

 ホームセンターが閉まってからは、深夜まで開いているスーパーで買った。
 ホームセンターよりは高かったが、コンビニよりは安い。
 暫くは日本に戻らない予定なので、少し高くても目をつぶって買った。

 最後に買ったのは、十キロの箱入り卵だった。
 スーパーなどでは十個のパック入りだが、養鶏場や卵の卸では箱売りだった。
 他にも廃鶏を日本から異世界に運べる丈夫な鶏籠を買った。

 直ぐに廃鶏を買って異世界で飼う訳ではない。
 優先すべきは不老不死であり、次に安穏とした生活だ。
 
 ただ、統治はルイジャイアンの子供に任せると割り切ったが、割り切った心算だが、どうにもモヤモヤしてしまうのだ。

 領民に、俺が領主になって良かったと思われたいという、虚栄心が沸いてしまう。
 できるだけお金も手間もかけずに、虚栄心を満たす方法として思いついたのが、ルイジャイアンに相談した養鶏だったのだ。

 幸いな事に、千葉県の市原市には養鶏場が多かった。
 養鶏場では、採卵用の親鶏を二年ごとに入れ変える。
 卵の産みが悪くなった親鶏を、お金を払って産業廃棄物として処理する。

 廃鶏ならタダで手に入れる事も不可能ではない。
 一羽数十円払えば確実に買える。
 ただ、異世界に持ち込むのにリヤカーしか使えない。

 トラックを借りて養鶏場から多数の廃鶏を運ぶ事はできるが、不入の竹藪に運び込んでいる間に警察に通報されたら、取り返しのつかない事になる。

 不審に思われないように手早く運び込めるのは、廃鶏をギュウギュウ詰めにした鶏籠をリアカーに積み上げても、五十羽が限界だろう。

「ルイジャイアン、アドリア・アンドリュー村を占領したら、そのままダンジョンの有る街に遠征する予定だ。
 この鶏籠と同じ物を、魔境の丈夫な木を使って十個作ってくれ。
 二段三段積み上げても壊れないように作っておいてくれ」

「鳥を飼うのは止めたのではないのか?」

「ああ、止めた、不老不死になるまでは止めた」

「なるほど、不老不死になる前提で注文しておくのだな?」

「ああ、そうだ、どれくらいかかるか分からないが、戻ってきたら直ぐに養鶏ができるようにしておきたい。
 今頼んだのは、俺の世界からこの世界に鶏を運ぶ籠だ。
 こちらでは、城壁横穴の二階か三階で飼う予定だ」

「それはミノルの好きにすればいい。
 こちらは前払いで籠代を貰えればいい」
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