4 / 8
3話
しおりを挟む
「森に行きます。
手の空いている者はついてきてください」
マリアはエイル神の聖女としての力を使う覚悟を決めた。
子供達は最低限の治癒術で治した。
これならば聖女の噂が広まっても、高位治癒術師だとはバレない。
だが、完治させていないので、孤児達は食べ物を採りに行けない。
十三人もの孤児達を食べさせる余力など貧民街にはないのだ。
だから、マリアは薬草を採集し動物を狩る決断をした。
高位治癒術が使える事が知られるよりは、薬草の知識があり、狩りができる事がバレた方がマシだった。
エイル神の神性の中には薬草神の力もあった。
ワルキューレの一柱として、戦闘力もあるのだ。
最初に孤児達の事を知らせてくれた男を含めて、五人の男がついてきた。
男達はいつも城外に出て森で狩りをしていた。
だからそれなりに身軽で力もある。
そんな狩人達が、聖女マリアが普段とあまりに違う事に驚いた。
治療の時以外は清楚で物静かな聖女マリアが、修道女着のまま崩れた城壁をものともせずに駆け上り、一気に城外に出ていったのだ。
慌てて追いかけ追いついた猟師達が見たのは、いつの間にか手に持っていた、小石大の崩れた城壁を投石にして、次々と鳥を狩る聖女マリアだった。
聖女マリアが小石で落とした鳥は、スズメとヒヨドリとムクドリといった小さな鳥、ハトとカラスといった中型の鳥だった。
「聖女マリア様!
これはいったい……」
「人々から謝礼を頂かずに治療をするには、自分で狩りくらいできなければいけないのですよ。
孤児達の食糧も必要です。
肉ばかりでは生きていけません。
貴方達は猟師として鳥を売ることができるでしょ?
私が狩った事は内緒にして、これを売って玄米かライ麦を買ってきてください。
いいですね」
「「「「「はい!」」」」」
聖女マリア様から厳しい視線を向けられて、断れる猟師はいなかった。
急いで聖女マリアが落とした鳥を集めて、手一杯になった男が王都内に戻ろうとした時、聖女マリアが追い打ちの言葉をかけた。
「ここに戻る時には背負い籠を持って来てください。
どうせなら皆に肉を振舞ってあげましょう。
そうそう、ちょうどいい大きさの小石も忘れずに持って来てください」
「「「「「はい!」」」」」
五人の猟師が次々と王都内の戻った後、人目がなくなったのを確認した聖女マリアは、聖女の力を惜しみなく使った。
エイル神は愛と結婚と豊穣の女神フリッグの召使だった事がある。
だからわずかながら豊穣の神性があるのだ。
聖女マリアはその力を使って薬草を大きく育て採集した。
手の空いている者はついてきてください」
マリアはエイル神の聖女としての力を使う覚悟を決めた。
子供達は最低限の治癒術で治した。
これならば聖女の噂が広まっても、高位治癒術師だとはバレない。
だが、完治させていないので、孤児達は食べ物を採りに行けない。
十三人もの孤児達を食べさせる余力など貧民街にはないのだ。
だから、マリアは薬草を採集し動物を狩る決断をした。
高位治癒術が使える事が知られるよりは、薬草の知識があり、狩りができる事がバレた方がマシだった。
エイル神の神性の中には薬草神の力もあった。
ワルキューレの一柱として、戦闘力もあるのだ。
最初に孤児達の事を知らせてくれた男を含めて、五人の男がついてきた。
男達はいつも城外に出て森で狩りをしていた。
だからそれなりに身軽で力もある。
そんな狩人達が、聖女マリアが普段とあまりに違う事に驚いた。
治療の時以外は清楚で物静かな聖女マリアが、修道女着のまま崩れた城壁をものともせずに駆け上り、一気に城外に出ていったのだ。
慌てて追いかけ追いついた猟師達が見たのは、いつの間にか手に持っていた、小石大の崩れた城壁を投石にして、次々と鳥を狩る聖女マリアだった。
聖女マリアが小石で落とした鳥は、スズメとヒヨドリとムクドリといった小さな鳥、ハトとカラスといった中型の鳥だった。
「聖女マリア様!
これはいったい……」
「人々から謝礼を頂かずに治療をするには、自分で狩りくらいできなければいけないのですよ。
孤児達の食糧も必要です。
肉ばかりでは生きていけません。
貴方達は猟師として鳥を売ることができるでしょ?
私が狩った事は内緒にして、これを売って玄米かライ麦を買ってきてください。
いいですね」
「「「「「はい!」」」」」
聖女マリア様から厳しい視線を向けられて、断れる猟師はいなかった。
急いで聖女マリアが落とした鳥を集めて、手一杯になった男が王都内に戻ろうとした時、聖女マリアが追い打ちの言葉をかけた。
「ここに戻る時には背負い籠を持って来てください。
どうせなら皆に肉を振舞ってあげましょう。
そうそう、ちょうどいい大きさの小石も忘れずに持って来てください」
「「「「「はい!」」」」」
五人の猟師が次々と王都内の戻った後、人目がなくなったのを確認した聖女マリアは、聖女の力を惜しみなく使った。
エイル神は愛と結婚と豊穣の女神フリッグの召使だった事がある。
だからわずかながら豊穣の神性があるのだ。
聖女マリアはその力を使って薬草を大きく育て採集した。
0
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
どうぞお好きになさってください
みおな
恋愛
学園に入学して一ヶ月。
婚約者の第一王子殿下は言った。
「学園にいる間くらい自由にさせてくれないか。君が王太子妃になることは決定事項だ。だから、せめて学園に通う二年間は、僕は恋がしたい」
公爵令嬢はその綺麗な顔に冷酷な笑みを浮かべる。
「好きになさればよろしいわ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる