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6話
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「……聖堂騎士エマ!
その顔を見せてもらおう。
顔にはその者の性根と人生が刻まれてる。
顔を見て信じるか信じないか決めさせてもらう」
なかなかいいことを言いますね、この王子は。
確かに人の顔には人生が刻まれていますからね。
気に入りました!
いいでしょう、この顔を見せてあげようではありませんか。
「分かった。
よく見てくれ」
私は聖堂騎士の兜を取りました。
下にかぶっている鎖帷子の頭部も、兜や鎖から皮膚を護るために軟革と厚手の絹の覆いも一緒に外しました。
「……信じよう。
余はどこに立てばいい?」
王子は結構長時間私の顔を見つめていました。
命がかかっているのですから仕方ありませんね。
いえ、全ての民の命運がかかっていると考えれば当然ですね。
まじまじと見られて、少しの時間が長く感じてしまったのかもしれません。
いえ、歴戦の私がその程度の事で時間感覚が狂うはずもないですね。
「そこに立ってください。
王子は魔法陣の理論は理解されていますか?」
「初歩的な事は理解している」
「では、王子が立たれる予定の場所が、聖の魔法陣なのは理解できますか?」
「理解できる」
初歩的と謙遜されていますが、なかなか優秀ですね。
聖の魔法陣は教会が独占しようとしているので、一般に出回る知識が極端に少なくなっています。
私がここに描いた魔法陣は、聖の魔法理論の奥義を惜しみなく使っていますから、それが分かるだけで、どれほど努力されてきたのかうかがえます。
「では次に、冒険者が駒役として立っている場所に、聖を補強する魔法陣が描かれているのはわかりますか?」
「完全には分からない。
だが呪いや攻撃の魔法陣でないことは分かる。
私が立つ場所に力を与えるモノだというのも分かる」
「そこまで理解していただいているのなら十分です。
では次に、捕虜が置かれる場所の魔法陣が、殺さない程度に生命力を奪うモノだというのは理解できますか?」
王子は一つ一つじっくりと確認していますね。
捕虜の命を奪って、王子を攻撃したり、呪いをかけてりするモノではないと、確認しているのでしょう。
これくらい慎重でないと、一国の王子として長生きなどできないのでしょう。
冒険者も同じです。
粗忽者は簡単に死んでしまいます。
それが分かっているからこそ、長い時間待たされても、冒険者も文句を言わないのです。
「確かに呪いや攻撃魔法は描かれていないな。
冒険者が立つ聖の魔法陣に力を注ぐためのモノのようだ。
だがどうやって奪う生命力を加減している?
死ぬまで奪う事はないだろうな?」
ほう!
自分を殺そうとした騎士や徒士の命まで心配しますか。
単なるお人好しなのか?
それとも寝返り工作の一環でしょうか?
その顔を見せてもらおう。
顔にはその者の性根と人生が刻まれてる。
顔を見て信じるか信じないか決めさせてもらう」
なかなかいいことを言いますね、この王子は。
確かに人の顔には人生が刻まれていますからね。
気に入りました!
いいでしょう、この顔を見せてあげようではありませんか。
「分かった。
よく見てくれ」
私は聖堂騎士の兜を取りました。
下にかぶっている鎖帷子の頭部も、兜や鎖から皮膚を護るために軟革と厚手の絹の覆いも一緒に外しました。
「……信じよう。
余はどこに立てばいい?」
王子は結構長時間私の顔を見つめていました。
命がかかっているのですから仕方ありませんね。
いえ、全ての民の命運がかかっていると考えれば当然ですね。
まじまじと見られて、少しの時間が長く感じてしまったのかもしれません。
いえ、歴戦の私がその程度の事で時間感覚が狂うはずもないですね。
「そこに立ってください。
王子は魔法陣の理論は理解されていますか?」
「初歩的な事は理解している」
「では、王子が立たれる予定の場所が、聖の魔法陣なのは理解できますか?」
「理解できる」
初歩的と謙遜されていますが、なかなか優秀ですね。
聖の魔法陣は教会が独占しようとしているので、一般に出回る知識が極端に少なくなっています。
私がここに描いた魔法陣は、聖の魔法理論の奥義を惜しみなく使っていますから、それが分かるだけで、どれほど努力されてきたのかうかがえます。
「では次に、冒険者が駒役として立っている場所に、聖を補強する魔法陣が描かれているのはわかりますか?」
「完全には分からない。
だが呪いや攻撃の魔法陣でないことは分かる。
私が立つ場所に力を与えるモノだというのも分かる」
「そこまで理解していただいているのなら十分です。
では次に、捕虜が置かれる場所の魔法陣が、殺さない程度に生命力を奪うモノだというのは理解できますか?」
王子は一つ一つじっくりと確認していますね。
捕虜の命を奪って、王子を攻撃したり、呪いをかけてりするモノではないと、確認しているのでしょう。
これくらい慎重でないと、一国の王子として長生きなどできないのでしょう。
冒険者も同じです。
粗忽者は簡単に死んでしまいます。
それが分かっているからこそ、長い時間待たされても、冒険者も文句を言わないのです。
「確かに呪いや攻撃魔法は描かれていないな。
冒険者が立つ聖の魔法陣に力を注ぐためのモノのようだ。
だがどうやって奪う生命力を加減している?
死ぬまで奪う事はないだろうな?」
ほう!
自分を殺そうとした騎士や徒士の命まで心配しますか。
単なるお人好しなのか?
それとも寝返り工作の一環でしょうか?
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