真実の愛に目覚めたと第三王子に婚約解消された私を救ってくれたのは。

克全

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第一章

第34話:出陣

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「ロジャー殿下、カルペパー卿は少し言動がおかしかった気がします。
 殿下の温情を取り違えて、逆恨みする可能性が高いと思われます。
 討伐の重大な場面で、奇襲を仕掛けてくる可能性があります。
 ハンティンドン伯爵の事ですから、そういう事を考えて、カルペパー卿だけ詫びに来させた可能性があると思うのです」

 結局、詫びに来たのはカルペパー卿だけでした。
 恐らくですが、カルペパー卿だけが詫びに来たのはハンティンドン伯爵の策謀だと思うのですが、その意図が全く分かりません。
 単なる時間稼ぎだったらいいのですが、深い意味があるのかもしれません。
 後から利いてくる毒のような罠だったとしたら、ロジャー第一王子が決断された方法でよかったのかどうか、少々心配になります。

 ロジャー第一王子はカルペパー卿に対して、半ば王都追放と謹慎と思える処分を下されましたが、実際に刑罰として口にされたわけではありません。
 しかしながら、領地をまともに統治できずに、盗賊や山賊を跳梁跋扈させているから、王城に来るより先に退治しろと言われているのです。
 普通の理解力があれば、恥をかかされたと逆恨みする可能性もあります。
 剛勇の騎士に恨みを抱かれた、色々と厄介だと思うのです。
 殿下には忠勇それぞれの家臣がいると思うのですが、念のために言っておきます。

「ボリングブルック女子爵に心配してもらえるのはとてもうれしい。
 背後から襲われないように十分注意するから心配しないでくれ。
 絶対に女子爵を不安にさせはしないから、安心していてくれ」

 失敗しました、最悪です、どうしましょう。
 ロジャー第一王子は、自分に都合がいいように解釈してしまいました。
 私が個人的に、恋愛感情で心配したと思っているのです。
 はっきり言って、そんな気持ちは毛ほどもありません。
 単に家臣として心配しただけです。
 もっとはっきりと言えば、長年仕えてくれているデヴォン伯爵家の家臣領民が平和に暮らししていれるように、殿下の勝利を願っただけです。

「ビゴッド、ライアン、アグネス嬢の事を頼んだぞ。
 アグネス嬢の家臣達が、忠勇兼備の歴戦の戦死なのは理解しているが、マージョリー達の陰湿な策謀が気になる。
 二人は俺のとても大切なアグネス嬢からできるだけ離れないように」
 
 いきなり堅苦しい爵位呼びから令嬢呼びですか。
 ちょっと心配しただけで、それほど変われるモノなのですか。
 そんな言い方をされたら、ロジャー殿下の取り巻き達に誤解されてしまいます。
 殿下の正室になろうと動いている令嬢や貴族家から命を狙われてしまいます。
 それを理解したうえで、ビゴッド第二王子とライアンに私を護れと命じられたとしたら、以外と身勝手なのですか。

「そうですね、色々なモノが動き出すでしょうから、アグネス嬢が危険ですね。
 兄上が討伐軍を率いている間は、私がしっかりと御守りしましょう」

「……ビゴッド、兄弟で殺し合いなどしたくはないのだが、分かっているな」

「ええ、分かっておりますとも、兄上」
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