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本編
甲賀調略
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1564年12月『近江・観音寺城』
義直は直虎の献策を受けて、遠江から若狭までの実効支配している領域6カ国余の関所を撤廃させた。これにより支配地の経済は活性化し、領民の生活が豊かになり、国衆・地侍の収入も関所撤廃後の方が増加した。
これにはカラクリがあり、塩・酒・煙草・鉛・硫黄・硝石だけは専売品としたのだ。専売品は領主だけが購入販売できる物としたため、この収入が大きかった。
同時に実効支配地内の湊を活用した貿易も推進した。湊の利用料(停泊料)・海賊衆の駄別銭(だべつせん)「縄張りを航行する船舶を警備するかわりに受け取る手数料」を、相互で免除する約定を各地の海賊衆と結んだ。
特に北は蝦夷地から南は琉球まで直轄艦船を交易に派遣し、莫大な軍資金を手にする事になった。
1565年1月『近江・観音寺城』
「望月殿よく来てくれた。」
「は、お召しにより参上いたしました。」
「和田惟政殿から話は聞いているだろうが、本領安堵でこの義直に臣従してもらいたい。」
「今川家ではなく義直様個人に臣従しろと言う事ですか?」
「そうだ、甲賀を平定すれば遠江・三河・尾張・美濃・近江・若狭の守護と、北伊勢の分郡守護に任じられることになっておる。」
「駿河の御屋形様とは手切れなされるのですか?」
「儂にその心算は無い、御屋形様も勝ち目のない戦をする心算は無いだろう、だがその分刺客を放ってくる恐れがある。望月殿をはじめとする甲賀衆には、色々と働いてもらう事になるだろう。」
「臣従の条件に、関所を廃止するという条件がありましたが、それは免除して頂けますか。」
「望月殿なら既に調べているだろうが、関所を廃止した方が収入が多くなる。ただ怪しい者を取り締まる為の関所なら構わない、関料さえ取らなければ商人が往来して収入は安定する。」
「それならば御受け出来ます。」
「では臣従してくれるのですね。」
「ただ六角様の命だけは保証して頂きたい。」
「ならば甲賀衆が責任を持って西国まで落としてくれ、今川家からも見届け人を出すが、畿内から西に追放してもらう。」
「それは御任せ下さい。」
直虎は幕府に仕える甲賀衆・和田惟政を通じて、甲賀五十三家の切り崩し・調略を行って来た。特に六角家から縁遠く、眼をかけられていなかった家から調略を進めた。甲賀内だけでは暮らしていけない、各五十三家同名中惣の分家から優先的に召し抱えた。
そして六角家から遠い家、現状に危機感を持っている家を味方に引き入れてから、地域連合惣の各四区内の意見を義直に味方することに傾けた。最終的には郡中惣の多数決で六角家を追放し、義直に味方すると言う総意にまで持ち込んだ。
これで六角家を匿っていた望月家も、六角を追放する大義名分を得る事が出来た。
『和田惟政・甲賀郡・甲賀忍者の解説』
和田家は近江国甲賀郡和田村の有力豪族で、甲賀武士五十三家のなかでも特に有力な21家に数えられていた。特に山南七家とも称される家柄で油日神社と深く関係している。初めは六角氏の被官であったが、惟政の父の代に室町幕府13代将軍・足利義輝の幕臣として仕えた。天文2年(1553年)に三好長慶に追われた足利義輝が六角氏を頼って近江に逃れたが、その時期に和田家は足利将軍家の関係が生じ、幕府の奉公衆となっていた。
「柏木三家」
山中家・伴家・美濃部家
「北山九家」
黒川家・頓宮家・大野家・岩室家・芥川家・隠岐家・佐治家・神保家・大河原家
「南山6家」
大原家・和田家・上野家・高峰家・池田家・多喜家(滝家)
「庄内三家」
鵜飼家・内貴家・服部家
「甲賀二十一家」
甲賀五十三家の中でも六角氏より感状を貰うほど信頼の厚かった二十一家を指し、後の甲賀流忍術の中心となった家々。
山中家・伴家・美濃部家・黒川家・頓宮家・大野家・岩室家・芥川家・隠岐家・佐治家・神保家・大河原家・大原家・和田家・上野家・高峰家・池田家・多喜家(滝家)・鵜飼家・内貴家・服部家
「甲賀五十三家」
「鈎の陣」にて六角氏に味方した甲賀の地侍五十三家のことであり、後の甲賀流忍術の中心となった家々。
望月家・山中家・伴家・美濃部家・黒川家・頓宮家・大野家・岩室家・芥川家・隠岐家・佐治家・神保家・大河原家・大原家・和田家・上野家・高峰家・池田家・多喜(滝)家・鵜飼家・内貴家・服部家・小泉家・倉治家・夏見家・杉谷家・針家・小川家・大久保家・上田家・野田家・岩根家・新城家・青木家・宮島家・杉山家・葛城家・三雲家・牧村家・八田家・高野家・上山家・高山家・守田家・嶬峨家・鳥居家・平子家・多羅尾家・土山家・山上家・相場家・長野家・中山家
「郡中惣」
五十三家の中から代表として十家を選出し、その合議による決定に従って郡全体の行動を起こしたとされる。
「地域連合惣」
二十一家をそれぞれ「柏木三家」「北山九家」「南山六家」「荘内三家」の四地区に分け、その下に地域ごとに残りの五十三家の各氏族が従い、それぞれの地域に関する案件を合議によって決定したとされる。
「同名中惣」
五十三家の各氏族ごとに代表者(同名奉行という)を選出し、本家・分家等同名の一族が参加して多数決によって氏族ごとの行動を決定したとされる。
義直は直虎の献策を受けて、遠江から若狭までの実効支配している領域6カ国余の関所を撤廃させた。これにより支配地の経済は活性化し、領民の生活が豊かになり、国衆・地侍の収入も関所撤廃後の方が増加した。
これにはカラクリがあり、塩・酒・煙草・鉛・硫黄・硝石だけは専売品としたのだ。専売品は領主だけが購入販売できる物としたため、この収入が大きかった。
同時に実効支配地内の湊を活用した貿易も推進した。湊の利用料(停泊料)・海賊衆の駄別銭(だべつせん)「縄張りを航行する船舶を警備するかわりに受け取る手数料」を、相互で免除する約定を各地の海賊衆と結んだ。
特に北は蝦夷地から南は琉球まで直轄艦船を交易に派遣し、莫大な軍資金を手にする事になった。
1565年1月『近江・観音寺城』
「望月殿よく来てくれた。」
「は、お召しにより参上いたしました。」
「和田惟政殿から話は聞いているだろうが、本領安堵でこの義直に臣従してもらいたい。」
「今川家ではなく義直様個人に臣従しろと言う事ですか?」
「そうだ、甲賀を平定すれば遠江・三河・尾張・美濃・近江・若狭の守護と、北伊勢の分郡守護に任じられることになっておる。」
「駿河の御屋形様とは手切れなされるのですか?」
「儂にその心算は無い、御屋形様も勝ち目のない戦をする心算は無いだろう、だがその分刺客を放ってくる恐れがある。望月殿をはじめとする甲賀衆には、色々と働いてもらう事になるだろう。」
「臣従の条件に、関所を廃止するという条件がありましたが、それは免除して頂けますか。」
「望月殿なら既に調べているだろうが、関所を廃止した方が収入が多くなる。ただ怪しい者を取り締まる為の関所なら構わない、関料さえ取らなければ商人が往来して収入は安定する。」
「それならば御受け出来ます。」
「では臣従してくれるのですね。」
「ただ六角様の命だけは保証して頂きたい。」
「ならば甲賀衆が責任を持って西国まで落としてくれ、今川家からも見届け人を出すが、畿内から西に追放してもらう。」
「それは御任せ下さい。」
直虎は幕府に仕える甲賀衆・和田惟政を通じて、甲賀五十三家の切り崩し・調略を行って来た。特に六角家から縁遠く、眼をかけられていなかった家から調略を進めた。甲賀内だけでは暮らしていけない、各五十三家同名中惣の分家から優先的に召し抱えた。
そして六角家から遠い家、現状に危機感を持っている家を味方に引き入れてから、地域連合惣の各四区内の意見を義直に味方することに傾けた。最終的には郡中惣の多数決で六角家を追放し、義直に味方すると言う総意にまで持ち込んだ。
これで六角家を匿っていた望月家も、六角を追放する大義名分を得る事が出来た。
『和田惟政・甲賀郡・甲賀忍者の解説』
和田家は近江国甲賀郡和田村の有力豪族で、甲賀武士五十三家のなかでも特に有力な21家に数えられていた。特に山南七家とも称される家柄で油日神社と深く関係している。初めは六角氏の被官であったが、惟政の父の代に室町幕府13代将軍・足利義輝の幕臣として仕えた。天文2年(1553年)に三好長慶に追われた足利義輝が六角氏を頼って近江に逃れたが、その時期に和田家は足利将軍家の関係が生じ、幕府の奉公衆となっていた。
「柏木三家」
山中家・伴家・美濃部家
「北山九家」
黒川家・頓宮家・大野家・岩室家・芥川家・隠岐家・佐治家・神保家・大河原家
「南山6家」
大原家・和田家・上野家・高峰家・池田家・多喜家(滝家)
「庄内三家」
鵜飼家・内貴家・服部家
「甲賀二十一家」
甲賀五十三家の中でも六角氏より感状を貰うほど信頼の厚かった二十一家を指し、後の甲賀流忍術の中心となった家々。
山中家・伴家・美濃部家・黒川家・頓宮家・大野家・岩室家・芥川家・隠岐家・佐治家・神保家・大河原家・大原家・和田家・上野家・高峰家・池田家・多喜家(滝家)・鵜飼家・内貴家・服部家
「甲賀五十三家」
「鈎の陣」にて六角氏に味方した甲賀の地侍五十三家のことであり、後の甲賀流忍術の中心となった家々。
望月家・山中家・伴家・美濃部家・黒川家・頓宮家・大野家・岩室家・芥川家・隠岐家・佐治家・神保家・大河原家・大原家・和田家・上野家・高峰家・池田家・多喜(滝)家・鵜飼家・内貴家・服部家・小泉家・倉治家・夏見家・杉谷家・針家・小川家・大久保家・上田家・野田家・岩根家・新城家・青木家・宮島家・杉山家・葛城家・三雲家・牧村家・八田家・高野家・上山家・高山家・守田家・嶬峨家・鳥居家・平子家・多羅尾家・土山家・山上家・相場家・長野家・中山家
「郡中惣」
五十三家の中から代表として十家を選出し、その合議による決定に従って郡全体の行動を起こしたとされる。
「地域連合惣」
二十一家をそれぞれ「柏木三家」「北山九家」「南山六家」「荘内三家」の四地区に分け、その下に地域ごとに残りの五十三家の各氏族が従い、それぞれの地域に関する案件を合議によって決定したとされる。
「同名中惣」
五十三家の各氏族ごとに代表者(同名奉行という)を選出し、本家・分家等同名の一族が参加して多数決によって氏族ごとの行動を決定したとされる。
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