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本編
播磨侵攻
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今川直元は義元の後詰を受けて悠々と播磨攻略を進めたが、赤松家が力を失い多くの一門衆や国衆が半ば自立した状態だった。そんな中で父を別所家との戦いで殺されていた、赤松庶家の有馬則頼が道案内を申し出て来た。
摂津と播磨を熟知し、赤松一門衆ともつながりのある有馬則頼が味方に就いた事は大きく、赤松一門でも有力な龍野城主・赤松政秀を調略してきた。赤松政秀は主家である赤松義祐を追い落とす覚悟を決めたようで、娘を義直将軍の侍女として仕えさせようとした。これは人質であると同時に、万が一義直将軍のお手がついて男子が産まれれば、自分の孫が将軍になれるかもしれないと言う思惑もあった。
これに対して赤松義祐は、備前・美作に勢力を持つ浦上宗景へ援軍を依頼し挟撃しようとした。しかしながら、今川直元の大軍による素早い侵攻で挟撃が出来なくなった。赤松義祐は、配下の国衆・地侍を動員して幕府軍に対抗しようとしたものの、味方に参陣したのは御着城主・小寺政職などの一部の者だけだった。
東播磨20万石余りを領する美嚢郡三木城主・別所安治は、逸早く今川直元の下に参陣し、幕府軍として庄山城・高砂城などを次々と落城させていった。これにより赤松義祐は置塩城に篭もり、幕府軍の攻撃にひたすら耐える状態となった。
一方火の出るような勢いで赤松政秀の龍野城を攻め立てていた浦上宗景だが、浦上宗景の留守を好機ととらえた宇喜多直家の謀反によって備前に戻らざるを得なくなった。今度はこれを好機ととらえた幕府軍が、情け容赦なく赤松義祐と小寺政職などを攻め立てた。
この時、佐用郡、赤穂郡、揖東郡、揖西郡、宍粟郡の五郡17万石を領する、上月赤松家・佐用郡上月城主・赤松政範は去就に迷い中立の立場をとっていた。
1569年『近江・観音寺城』今川義直・直虎
「公方様、他の播磨衆にも人質を要求いたしましょう」
「赤松政秀のように、娘や息子を側仕えとして出仕させるのですね」
「特に赤松政範と別所安治は一切の容赦をせず、子供を残らず出仕させなされませ」
「要注意でございますか」
「彼らの領地は若狭国の倍、駿河国を超えるほどの貫高です」
「今川家の始まりを思えば、些かの油断も許されませんね」
「無理をして急ぐ必要などありません、背後に信用できない者を置くくらいなら、少々兵を損なおうとも攻め滅ぼしてしまわれませ」
「はい、御隠居様と直元に知らせた上で、幕府の正式な使者を送って人質を差し出させます」
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これに対して赤松義祐は、備前・美作に勢力を持つ浦上宗景へ援軍を依頼し挟撃しようとした。しかしながら、今川直元の大軍による素早い侵攻で挟撃が出来なくなった。赤松義祐は、配下の国衆・地侍を動員して幕府軍に対抗しようとしたものの、味方に参陣したのは御着城主・小寺政職などの一部の者だけだった。
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この時、佐用郡、赤穂郡、揖東郡、揖西郡、宍粟郡の五郡17万石を領する、上月赤松家・佐用郡上月城主・赤松政範は去就に迷い中立の立場をとっていた。
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「公方様、他の播磨衆にも人質を要求いたしましょう」
「赤松政秀のように、娘や息子を側仕えとして出仕させるのですね」
「特に赤松政範と別所安治は一切の容赦をせず、子供を残らず出仕させなされませ」
「要注意でございますか」
「彼らの領地は若狭国の倍、駿河国を超えるほどの貫高です」
「今川家の始まりを思えば、些かの油断も許されませんね」
「無理をして急ぐ必要などありません、背後に信用できない者を置くくらいなら、少々兵を損なおうとも攻め滅ぼしてしまわれませ」
「はい、御隠居様と直元に知らせた上で、幕府の正式な使者を送って人質を差し出させます」
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