111 / 119
本編
中国地方の攻防15
しおりを挟む
1570年『近江・観音寺城』今川義直・直虎
「毛利の一門衆ですか、いったい誰を調略されるのです」
「敷名元範です」
「確か、元就と後継争いをして殺された弟の遺児でしたね」
「はい、実際に謀叛に成功しなくても構わないのです、疑った元就や家臣団が粛清してくれればいいのです」
「毛利家内部で粛清が繰り返されれば、辟易して離反する国衆・地侍が増えるでしょうが、敷名元範は今どこにいるのです」
「旗返城主として備後の最前線にいるようです」
「最悪前線から追いやられるだけでも、戦力を削ることが出来るのですね」
「そうです、次に元就から邪険にされている側室の子供達にも調略を仕掛けます」
「毛利家でも正室の子と側室の子は、厳格に区別されているのですね」
「それが武家と言うものですが、特に毛利家では先に言った相合元綱の謀反が堪えているのでしょう。それに四男の毛利元清は、先に備中への援軍で大敗していますから、自分の将来を悲観しているでしょう」
「父の元就存命中は命を取られる事はなくても、甥や兄達が全権を手に入れたら殺されるかもしれないと言う事ですか」
「殺されないまでも、城地を召し上げられ僧籍に入れられるかもしれません」
「確かに兄弟の確執は、命懸けでございますね、次は五男でございますか」
「はい、毛利元秋は出雲の月山富田城にいますから、尼子勝久に命じて調略を仕掛けられませ」
「条件はどういたしましょう」
「多治比猿掛城と1万石を与えると申されませ、元就の正統な後継者にすると為されませ」
「しかしそれでは敷名元範や毛利元清の条件が難しくはありませんか」
「敷名元範には、父・相合元綱が殺された毛利本家の後継者とすると伝えられませ」
「毛利本家ですか」
「そうです、今まで毛利元就・隆元・輝元と継いだのは正統ではない、毛利幸松丸は元就に暗殺されており、本当の後継者は相合元綱・敷名元範だと伝えるのです」
「成功すればいいし、失敗して粛清されることになっても、元就が本家を横領する為に主君である甥を謀殺した。そう言う疑いが、毛利家内部に広まると言う事ですか」
「そうです」
「毛利元清への条件はどうするのです」
「京に所領1万石を与えるから、出奔せよと使者を送るのです」
「元就の息子が最前線の持ち場を放棄して、敵である幕府に逃げ込むだけでも、毛利家中は崩壊するかもしれませんね。その為なら、1万石が5万石でも安いものでですね」
「そうですね、それに元清が我らの味方になれば、同腹の天野元政や才菊丸が粛清されるかもしれません」
「天野元政と言えば、先年家督争いのあった天野家に養嗣子に入ったのでしたか」
「そうです、万が一それを粛正したとなれば、取り潰される天野の一門衆は毛利を恨みましょう」
「なるほど、ですが本命がまだですね」
毛利元就
父親:毛利弘元
母親:福原夫人(福原広俊娘)
継母:杉大方(高橋氏)
兄弟:毛利興元
:相合元綱
:北就勝
:見付元氏(弘元庶子?)
:宮姫(武田某室)
:女(渋川義正室)
:相合大方(井上元光室)
:松姫(吉川元経室)
:竹姫(井原元師室)
子供:
正室:妙玖(吉川国経娘)
長女(夭折。高橋氏の人質。のち高橋氏により殺害)
毛利隆元
吉川元春
小早川隆景
五龍局(宍戸隆家室)
継室:乃美大方(乃美隆興娘)
穂井田元清
天野元政
毛利秀包(小早川秀包)(才菊丸)
側室(三吉氏)
椙杜元秋
出羽元倶
末次元康
三女(上原元将室)
側室(矢田氏)
二宮就辰
「毛利の一門衆ですか、いったい誰を調略されるのです」
「敷名元範です」
「確か、元就と後継争いをして殺された弟の遺児でしたね」
「はい、実際に謀叛に成功しなくても構わないのです、疑った元就や家臣団が粛清してくれればいいのです」
「毛利家内部で粛清が繰り返されれば、辟易して離反する国衆・地侍が増えるでしょうが、敷名元範は今どこにいるのです」
「旗返城主として備後の最前線にいるようです」
「最悪前線から追いやられるだけでも、戦力を削ることが出来るのですね」
「そうです、次に元就から邪険にされている側室の子供達にも調略を仕掛けます」
「毛利家でも正室の子と側室の子は、厳格に区別されているのですね」
「それが武家と言うものですが、特に毛利家では先に言った相合元綱の謀反が堪えているのでしょう。それに四男の毛利元清は、先に備中への援軍で大敗していますから、自分の将来を悲観しているでしょう」
「父の元就存命中は命を取られる事はなくても、甥や兄達が全権を手に入れたら殺されるかもしれないと言う事ですか」
「殺されないまでも、城地を召し上げられ僧籍に入れられるかもしれません」
「確かに兄弟の確執は、命懸けでございますね、次は五男でございますか」
「はい、毛利元秋は出雲の月山富田城にいますから、尼子勝久に命じて調略を仕掛けられませ」
「条件はどういたしましょう」
「多治比猿掛城と1万石を与えると申されませ、元就の正統な後継者にすると為されませ」
「しかしそれでは敷名元範や毛利元清の条件が難しくはありませんか」
「敷名元範には、父・相合元綱が殺された毛利本家の後継者とすると伝えられませ」
「毛利本家ですか」
「そうです、今まで毛利元就・隆元・輝元と継いだのは正統ではない、毛利幸松丸は元就に暗殺されており、本当の後継者は相合元綱・敷名元範だと伝えるのです」
「成功すればいいし、失敗して粛清されることになっても、元就が本家を横領する為に主君である甥を謀殺した。そう言う疑いが、毛利家内部に広まると言う事ですか」
「そうです」
「毛利元清への条件はどうするのです」
「京に所領1万石を与えるから、出奔せよと使者を送るのです」
「元就の息子が最前線の持ち場を放棄して、敵である幕府に逃げ込むだけでも、毛利家中は崩壊するかもしれませんね。その為なら、1万石が5万石でも安いものでですね」
「そうですね、それに元清が我らの味方になれば、同腹の天野元政や才菊丸が粛清されるかもしれません」
「天野元政と言えば、先年家督争いのあった天野家に養嗣子に入ったのでしたか」
「そうです、万が一それを粛正したとなれば、取り潰される天野の一門衆は毛利を恨みましょう」
「なるほど、ですが本命がまだですね」
毛利元就
父親:毛利弘元
母親:福原夫人(福原広俊娘)
継母:杉大方(高橋氏)
兄弟:毛利興元
:相合元綱
:北就勝
:見付元氏(弘元庶子?)
:宮姫(武田某室)
:女(渋川義正室)
:相合大方(井上元光室)
:松姫(吉川元経室)
:竹姫(井原元師室)
子供:
正室:妙玖(吉川国経娘)
長女(夭折。高橋氏の人質。のち高橋氏により殺害)
毛利隆元
吉川元春
小早川隆景
五龍局(宍戸隆家室)
継室:乃美大方(乃美隆興娘)
穂井田元清
天野元政
毛利秀包(小早川秀包)(才菊丸)
側室(三吉氏)
椙杜元秋
出羽元倶
末次元康
三女(上原元将室)
側室(矢田氏)
二宮就辰
0
あなたにおすすめの小説
女帝の遺志(第二部)-篠崎沙也加と女子プロレスラーたちの物語
kazu106
大衆娯楽
勢いを増す、ブレバリーズ女子部と、直美。
率いる沙也加は、自信の夢であった帝プロマット参戦を直美に託し、本格的に動き出す。
一方、不振にあえぐ男子部にあって唯一、気を吐こうとする修平。
己を見つめ直すために、女子部への入部を決意する。
が、そこでは現実を知らされ、苦難の道を歩むことになる。
志桜里らの励ましを受けつつ、ひたすら練習をつづける。
遂に直美の帝プロ参戦が、現実なものとなる。
その壮行試合、沙也加はなんと、直美の相手に修平を選んだのであった。
しかし同時に、ブレバリーズには暗い影もまた、歩み寄って来ていた。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる