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第1章
第53話:鉄砲衆
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天文20年5月14日:相模小田原城:前田上総介利益19歳視点
信長がやってくれた!
鰯漁と鯨狩りで得た銭を上手く使って六角勢を叩きのめした!
銭の使い方は俺よりも信長の方が上手だ、できるだけ見倣おう!
六角勢も歴戦の戦国大名だ、佐久間信盛と青鬼の陣を迂回して背後に出る。
それも、小さく迂回する部隊だけでなく、大きく迂回して織田勢と戦う事なく土岐頼芸と合流する部隊も送った。
それでなくても、北伊勢、伊賀、大和、甲賀の焼き討ちや乱暴狼藉に尾張を荒らされ、味方が動揺しているのだ。
土岐頼芸を旗頭にして美濃の国人地侍が力を合わせたら、信長の美濃攻略が失敗して、武名が地に落ちてしまう所だった。
信長は、三河と遠江の国人地侍を集めて、美濃の切り取り勝手を宣言した。
攻め取った領地の一部を褒美として与えるのではなく、全てを褒美に与えると言ったので、三河と遠江の国人地侍は目に色を変えて美濃の領地を切り取った。
最前線の美濃に、やる気に満ちた勇猛果敢な兵力を集められたので、自分の領地が心配な上に、元々弱い尾張勢を引き上げさせられた。
ただ、青鬼に率いられた俺の2000兵は別だ。
常に最前線で先陣を命じられ、多くの将兵を失いながら戦い続けた!
「我こそは三河大浜の黒鬼、前田上総介が家臣、青鬼三輪青馬益興なり!
我と思わん者は掛かって来い!」
青鬼の人間離れした働きと、信長の銭使いの上手さがなければ、俺の送った2000兵は完全に磨り潰されていた。
義祖父殿も信長の銭使いの上手さには感心していた。
信長は鰯漁と鯨狩りで得た莫大な銭を、この戦に惜しみなくつぎ込んだ!
鉄砲と矢玉を買うのに使っただけではない。
鉄砲を上手く扱う傭兵を大量に集め、六角勢と戦わせたのだ!
自ら種子島まで行って鉄砲に造り方を学び、根来寺の杉の坊を鉄砲僧兵軍団にした、津田監物算長を雇って戦わせたのだ。
雇ったのは根来寺杉の坊の津田軍団だけではない。
雑賀の鉄砲衆も雇い、六角勢に鉛玉を雨あられと放ったのだ!
雑賀衆には山の雑賀と海の雑賀がある。
俺にも、根来衆津田勢だけでなく海の雑賀衆とも、鉄砲の購入で繋がりがあった。
あったが、鉄砲を買うだけで、兵として戦わそうとは思いつかなかった。
海の雑賀衆と言われる雑賀荘の土橋重隆と十ヶ郷の鈴木佐大夫は、津田監物を真似て鉄砲を造り鉄砲軍団を創設していた。
海風が吹き荒れ、時に潮に浸かる砂地の雑賀荘と十ヶ郷は農耕に適さず、漁業や海上交易で稼ぐしかなかった。
武装せずに海上交易を行えば、地元の海賊衆に襲われ殺される。
船戦は、敵の船に乗り込めない限り、焼玉や棒火矢、普通の矢戦をするしかない。
槍も刀も届かない戦では、鉄砲を求める気持ちが陸よりも強かった。
全部奥村次右衛門が教えてくれた事だから間違いない!
どれだけ多くの戦いで鉄砲を使って来たのかは、信長配下の鉄砲足軽と比べれば一目瞭然だったそうだ。
三間半の長大な槍の壁で敵を近づかせない長柄足軽と、遠くから敵を殺せる鉄砲足軽組は良い組み合わせだった。
鉄砲は、1度放つと次に放てるようになるまで時間がかかるのが弱点だったが、信長が三段撃ちを考え出した事で弱点を克服した。
それだけでも十分だと思っていた、俺も信長を真似さえすれば良いと思っていた。
だが違った、鉄砲を放つ者の腕前で、次に放てるようになるまでの時間が違った!
信長も銭を惜しまずに鉄砲足軽を鍛錬させていた。
それなのに、根来衆と雑賀衆は、信長が鍛え上げた鉄砲足軽の、半分の時間で次の玉が放てるようになる。
信長は、稲葉山城の囲いを解く事なく六角勢を美濃から叩き出した!
尾張を荒らしていた北伊勢、伊賀、大和、甲賀の連中を叩き出した!
信長に味方すると言って許されたのに、裏切って六角に味方した美濃の国人地侍を、完全に滅ぼして城地を奪った!
「殿、美濃に得た城地をいかがいたしますか?」
奥村次右衛門が問いかけて来る。
「どうするもこうするもない、実際に戦った者達に分け与える。
特に義祖父殿と青鬼にはできる限りの褒美が必要だ。
それと、美濃の戦いで死んだ者には格別の褒美が必要だ。
武功を立てた者は当然だが、武功を立てる事なく死んだ者も、家族を取立てる。
だが、その場にいなかった俺が差配する事じゃない、義祖父殿に任せる」
「承りました、大殿に差配していただけるように、殿が文を書いてください」
「俺が書かないとだめか、壊滅的に汚い字を書くのは嫌なのだが……」
「達筆とは申せませんが、殿の字は味があって家臣達が欲しがっております。
できるだけご自身で書いていただかないと困ります」
「わかった、わかった、書くから味があるなんて言うな、恥ずかしい」
「殿、上様の戦から、鉄砲と火薬、鉛玉の値が上がっております。
それでも多くの鉄砲を買い集めて使われるのですか?
殿なら鉄砲に頼らなくても勝てるのではありませんか?」
「一時はどうなる事かと思ったが、南蛮胴の御陰で鉄砲の弾が怖くなくなった。
だが、雑兵達は違う、鉄砲の玉で簡単に死んでしまう。
逆に言えば、鉄砲さえあれば簡単に敵の雑兵を殺せるのだ。
銭はあるのだろう、だったら高かろうが買えるだけ買うのだ」
細かい理由など分からないが、良い鉄砲を持つ方が勝つ世の中になるのは、大河ドラマを観ていたから知っている。
「承りました、一番安く買える堺と博多に船をやって買い集めさせます」
信長がやってくれた!
鰯漁と鯨狩りで得た銭を上手く使って六角勢を叩きのめした!
銭の使い方は俺よりも信長の方が上手だ、できるだけ見倣おう!
六角勢も歴戦の戦国大名だ、佐久間信盛と青鬼の陣を迂回して背後に出る。
それも、小さく迂回する部隊だけでなく、大きく迂回して織田勢と戦う事なく土岐頼芸と合流する部隊も送った。
それでなくても、北伊勢、伊賀、大和、甲賀の焼き討ちや乱暴狼藉に尾張を荒らされ、味方が動揺しているのだ。
土岐頼芸を旗頭にして美濃の国人地侍が力を合わせたら、信長の美濃攻略が失敗して、武名が地に落ちてしまう所だった。
信長は、三河と遠江の国人地侍を集めて、美濃の切り取り勝手を宣言した。
攻め取った領地の一部を褒美として与えるのではなく、全てを褒美に与えると言ったので、三河と遠江の国人地侍は目に色を変えて美濃の領地を切り取った。
最前線の美濃に、やる気に満ちた勇猛果敢な兵力を集められたので、自分の領地が心配な上に、元々弱い尾張勢を引き上げさせられた。
ただ、青鬼に率いられた俺の2000兵は別だ。
常に最前線で先陣を命じられ、多くの将兵を失いながら戦い続けた!
「我こそは三河大浜の黒鬼、前田上総介が家臣、青鬼三輪青馬益興なり!
我と思わん者は掛かって来い!」
青鬼の人間離れした働きと、信長の銭使いの上手さがなければ、俺の送った2000兵は完全に磨り潰されていた。
義祖父殿も信長の銭使いの上手さには感心していた。
信長は鰯漁と鯨狩りで得た莫大な銭を、この戦に惜しみなくつぎ込んだ!
鉄砲と矢玉を買うのに使っただけではない。
鉄砲を上手く扱う傭兵を大量に集め、六角勢と戦わせたのだ!
自ら種子島まで行って鉄砲に造り方を学び、根来寺の杉の坊を鉄砲僧兵軍団にした、津田監物算長を雇って戦わせたのだ。
雇ったのは根来寺杉の坊の津田軍団だけではない。
雑賀の鉄砲衆も雇い、六角勢に鉛玉を雨あられと放ったのだ!
雑賀衆には山の雑賀と海の雑賀がある。
俺にも、根来衆津田勢だけでなく海の雑賀衆とも、鉄砲の購入で繋がりがあった。
あったが、鉄砲を買うだけで、兵として戦わそうとは思いつかなかった。
海の雑賀衆と言われる雑賀荘の土橋重隆と十ヶ郷の鈴木佐大夫は、津田監物を真似て鉄砲を造り鉄砲軍団を創設していた。
海風が吹き荒れ、時に潮に浸かる砂地の雑賀荘と十ヶ郷は農耕に適さず、漁業や海上交易で稼ぐしかなかった。
武装せずに海上交易を行えば、地元の海賊衆に襲われ殺される。
船戦は、敵の船に乗り込めない限り、焼玉や棒火矢、普通の矢戦をするしかない。
槍も刀も届かない戦では、鉄砲を求める気持ちが陸よりも強かった。
全部奥村次右衛門が教えてくれた事だから間違いない!
どれだけ多くの戦いで鉄砲を使って来たのかは、信長配下の鉄砲足軽と比べれば一目瞭然だったそうだ。
三間半の長大な槍の壁で敵を近づかせない長柄足軽と、遠くから敵を殺せる鉄砲足軽組は良い組み合わせだった。
鉄砲は、1度放つと次に放てるようになるまで時間がかかるのが弱点だったが、信長が三段撃ちを考え出した事で弱点を克服した。
それだけでも十分だと思っていた、俺も信長を真似さえすれば良いと思っていた。
だが違った、鉄砲を放つ者の腕前で、次に放てるようになるまでの時間が違った!
信長も銭を惜しまずに鉄砲足軽を鍛錬させていた。
それなのに、根来衆と雑賀衆は、信長が鍛え上げた鉄砲足軽の、半分の時間で次の玉が放てるようになる。
信長は、稲葉山城の囲いを解く事なく六角勢を美濃から叩き出した!
尾張を荒らしていた北伊勢、伊賀、大和、甲賀の連中を叩き出した!
信長に味方すると言って許されたのに、裏切って六角に味方した美濃の国人地侍を、完全に滅ぼして城地を奪った!
「殿、美濃に得た城地をいかがいたしますか?」
奥村次右衛門が問いかけて来る。
「どうするもこうするもない、実際に戦った者達に分け与える。
特に義祖父殿と青鬼にはできる限りの褒美が必要だ。
それと、美濃の戦いで死んだ者には格別の褒美が必要だ。
武功を立てた者は当然だが、武功を立てる事なく死んだ者も、家族を取立てる。
だが、その場にいなかった俺が差配する事じゃない、義祖父殿に任せる」
「承りました、大殿に差配していただけるように、殿が文を書いてください」
「俺が書かないとだめか、壊滅的に汚い字を書くのは嫌なのだが……」
「達筆とは申せませんが、殿の字は味があって家臣達が欲しがっております。
できるだけご自身で書いていただかないと困ります」
「わかった、わかった、書くから味があるなんて言うな、恥ずかしい」
「殿、上様の戦から、鉄砲と火薬、鉛玉の値が上がっております。
それでも多くの鉄砲を買い集めて使われるのですか?
殿なら鉄砲に頼らなくても勝てるのではありませんか?」
「一時はどうなる事かと思ったが、南蛮胴の御陰で鉄砲の弾が怖くなくなった。
だが、雑兵達は違う、鉄砲の玉で簡単に死んでしまう。
逆に言えば、鉄砲さえあれば簡単に敵の雑兵を殺せるのだ。
銭はあるのだろう、だったら高かろうが買えるだけ買うのだ」
細かい理由など分からないが、良い鉄砲を持つ方が勝つ世の中になるのは、大河ドラマを観ていたから知っている。
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