1 / 48
第一章
第1話:婚約披露宴
とても華やかな婚約披露宴だった。
大陸中から王侯貴族が招待されていた。
大陸でもそれなりの歴史と武力を誇るフランドル王家が、力を誇示するために多くの王侯貴族を招待していたからだ。
「まあ、何を青い顔をされていますの、マチルダ御姉様。
まるで屠殺される前の豚のようですわよ、ホッホホホホ」
今日幼馴染のロバート王太子と婚約を披露するはずのマチルダ。
だがマチルダは知っていた。
ロバートが妹のオリアンナに恋焦がれている事を。
オリアンナと結婚するためならどのような手段も使う性格だという事を。
地味で無能で全ての点で妹のオリアンナに劣る癖に、ファルド公爵家の長女というだけで婚約者となったマチルダを、殺したいほど増悪している事を。
マチルダは長女に生まれたことを恨むしかなかった。
たった数分の違いで長女にさせられてしまった。
その数分が双子の妹であるオリアンナに比較され馬鹿にされる原因だった。
姉であるにもかかわらず全ての点で妹よりも劣る事を馬鹿にされてしまう。
妹に生まれていれば全てに劣っていても許されるのに。
継承権がつきまとう王侯貴族では、長女と次女では天と地ほどの違いがある。
しかも双子なのに容姿までが全く違うのだ。
姉のマチルダは父親に似ている。
骨太な身体と黒髪と黒瞳を引き継いでいる。
性格も大人しく心優しい、いや気が弱くて他人に逆らえない。
父親であるファルド公爵も同じように妻の言いなりだった。
それに比べて妹のオリアンナは母親に似ている。
華奢な体に金髪と碧眼を受け継いでいる。
性格はよく言えば勝気、悪く言えば負けず嫌いでどんな手段を使っても勝つ。
だからこそ未来の王妃の地位を狙って姉を引きずり降ろそうとしていた。
ロバート王太子を誘惑してマチルダを貶める予定だった。
そしてその事に何の痛痒も感じていなかった。
「やあ、どうされたのかな、顔色がよくないぞ。
今宵は貴女が主役ではないか。
辛いようなら控室で休んでいればいい」
大陸で最も長い歴史を誇り、華やかな文化を持つルーサン皇国の皇太子サーニンが、ぶっきらぼうだが愛情のこもった言葉をかける。
その優しさにマチルダは思わず涙を浮かべてしまった。
「ちぃ、余計な事をする」
華奢な身体と絶世の美貌とはかけ離れた、とても邪悪な内心を持つ妹のオリアンナは、姉のマチルダがこれから起こる事を恐れる姿を見て愉しんでいた。
それを邪魔するサーニン皇太子に苛立ちを覚えた。
だが直ぐにその考えを切り替えた。
サーニン皇太子に見初められたら、大陸最強国の皇后になれるのだ。
自分が皇后になって皇帝を操れば、大陸制覇も可能だと思ったのだ。
「御姉様、いかがいたされたのですか。
もしかして緊張で苦しくなられたのですか。
わたくしが控室にお連れ致しましょうか」
大陸中から王侯貴族が招待されていた。
大陸でもそれなりの歴史と武力を誇るフランドル王家が、力を誇示するために多くの王侯貴族を招待していたからだ。
「まあ、何を青い顔をされていますの、マチルダ御姉様。
まるで屠殺される前の豚のようですわよ、ホッホホホホ」
今日幼馴染のロバート王太子と婚約を披露するはずのマチルダ。
だがマチルダは知っていた。
ロバートが妹のオリアンナに恋焦がれている事を。
オリアンナと結婚するためならどのような手段も使う性格だという事を。
地味で無能で全ての点で妹のオリアンナに劣る癖に、ファルド公爵家の長女というだけで婚約者となったマチルダを、殺したいほど増悪している事を。
マチルダは長女に生まれたことを恨むしかなかった。
たった数分の違いで長女にさせられてしまった。
その数分が双子の妹であるオリアンナに比較され馬鹿にされる原因だった。
姉であるにもかかわらず全ての点で妹よりも劣る事を馬鹿にされてしまう。
妹に生まれていれば全てに劣っていても許されるのに。
継承権がつきまとう王侯貴族では、長女と次女では天と地ほどの違いがある。
しかも双子なのに容姿までが全く違うのだ。
姉のマチルダは父親に似ている。
骨太な身体と黒髪と黒瞳を引き継いでいる。
性格も大人しく心優しい、いや気が弱くて他人に逆らえない。
父親であるファルド公爵も同じように妻の言いなりだった。
それに比べて妹のオリアンナは母親に似ている。
華奢な体に金髪と碧眼を受け継いでいる。
性格はよく言えば勝気、悪く言えば負けず嫌いでどんな手段を使っても勝つ。
だからこそ未来の王妃の地位を狙って姉を引きずり降ろそうとしていた。
ロバート王太子を誘惑してマチルダを貶める予定だった。
そしてその事に何の痛痒も感じていなかった。
「やあ、どうされたのかな、顔色がよくないぞ。
今宵は貴女が主役ではないか。
辛いようなら控室で休んでいればいい」
大陸で最も長い歴史を誇り、華やかな文化を持つルーサン皇国の皇太子サーニンが、ぶっきらぼうだが愛情のこもった言葉をかける。
その優しさにマチルダは思わず涙を浮かべてしまった。
「ちぃ、余計な事をする」
華奢な身体と絶世の美貌とはかけ離れた、とても邪悪な内心を持つ妹のオリアンナは、姉のマチルダがこれから起こる事を恐れる姿を見て愉しんでいた。
それを邪魔するサーニン皇太子に苛立ちを覚えた。
だが直ぐにその考えを切り替えた。
サーニン皇太子に見初められたら、大陸最強国の皇后になれるのだ。
自分が皇后になって皇帝を操れば、大陸制覇も可能だと思ったのだ。
「御姉様、いかがいたされたのですか。
もしかして緊張で苦しくなられたのですか。
わたくしが控室にお連れ致しましょうか」
あなたにおすすめの小説
妹に幼馴染の彼をとられて父に家を追放された「この家の真の当主は私です!」
佐藤 美奈
恋愛
母の温もりを失った冬の日、アリシア・フォン・ルクセンブルクは、まだ幼い心に深い悲しみを刻み付けていた。公爵家の嫡女として何不自由なく育ってきた彼女の日常は、母の死を境に音を立てて崩れ始めた。
父は、まるで悲しみを振り払うかのように、すぐに新しい妻を迎え入れた。その女性とその娘ローラが、ルクセンブルク公爵邸に足を踏み入れた日から、アリシアの運命は暗転する。
再婚相手とその娘ローラが公爵邸に住むようになり、父は実の娘であるアリシアに対して冷淡になった。継母とその娘ローラは、アリシアに対して日常的にそっけない態度をとっていた。さらに、ローラの策略によって、アリシアは婚約者である幼馴染のオリバーに婚約破棄されてしまう。
そして最終的に、父からも怒られ家を追い出されてしまうという非常に辛い状況に置かれてしまった。
聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日
佐藤 美奈
恋愛
「好きな人ができたから別れたいんだ」
「相手はフローラお姉様ですよね?」
「その通りだ」
「わかりました。今までありがとう」
公爵令嬢アメリア・ヴァレンシュタインは婚約者のクロフォード・シュヴァインシュタイガー王子に呼び出されて婚約破棄を言い渡された。アメリアは全く感情が乱されることなく婚約破棄を受け入れた。
アメリアは婚約破棄されることを分かっていた。なので動揺することはなかったが心に悔しさだけが残る。
三姉妹の次女として生まれ内気でおとなしい性格のアメリアは、気が強く図々しい性格の聖女である姉のフローラと妹のエリザベスに婚約者と幼馴染をとられてしまう。
信頼していた婚約者と幼馴染は性格に問題のある姉と妹と肉体関係を持って、アメリアに冷たい態度をとるようになる。アメリアだけが恋愛できず仲間外れにされる辛い毎日を過ごすことになった――
閲覧注意
【完結】無能な聖女はいらないと婚約破棄され、追放されたので自由に生きようと思います
黒幸
恋愛
辺境伯令嬢レイチェルは学園の卒業パーティーでイラリオ王子から、婚約破棄を告げられ、国外追放を言い渡されてしまう。
レイチェルは一言も言い返さないまま、パーティー会場から姿を消した。
邪魔者がいなくなったと我が世の春を謳歌するイラリオと新たな婚約者ヒメナ。
しかし、レイチェルが国からいなくなり、不可解な事態が起き始めるのだった。
章を分けるとかえって、ややこしいとの御指摘を受け、章分けを基に戻しました。
どうやら、作者がメダパニ状態だったようです。
表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。
「お前は妹の身代わりにすぎなかった」と捨てられた養女——でも領民が選んだのは、血の繋がらない姉の方だった
歩人
ファンタジー
孤児のフィーネは伯爵家に引き取られた。
病弱な令嬢エーデルの「代役」として。社交も、領地管理も、使用人の采配も——
全て「エーデル様」の名前で、完璧にこなしてきた。
十一年後。健康を取り戻したエーデルが屋敷に帰還した日、伯爵は言った。
「もう用済みだ、出ていけ」
フィーネは静かに屋敷を去った。
それから一月もしないうちに、領民たちが伯爵に詰め寄った。
「前のお嬢様を返してください」
偽者に奪われた聖女の地位、なんとしても取り返さ……なくていっか! ~奪ってくれてありがとう。これから私は自由に生きます~
日之影ソラ
恋愛
【小説家になろうにて先行公開中!】
https://ncode.syosetu.com/n9071il/
異世界で村娘に転生したイリアスには、聖女の力が宿っていた。本来スローレン公爵家に生まれるはずの聖女が一般人から生まれた事実を隠すべく、八歳の頃にスローレン公爵家に養子として迎え入れられるイリアス。
貴族としての振る舞い方や作法、聖女の在り方をみっちり教育され、家の人間や王族から厳しい目で見られ大変な日々を送る。そんなある日、事件は起こった。
イリアスと見た目はそっくり、聖女の力?も使えるもう一人のイリアスが現れ、自分こそが本物のイリアスだと主張し、婚約者の王子ですら彼女の味方をする。
このままじゃ聖女の地位が奪われてしまう。何とかして取り戻そう……ん?
別にいっか!
聖女じゃないなら自由に生きさせてもらいますね!
重圧、パワハラから解放された聖女の第二の人生がスタートする!!
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
婚約破棄されたので、聖女になりました。けど、こんな国の為には働けません。自分の王国を建設します。
ぽっちゃりおっさん
恋愛
公爵であるアルフォンス家一人息子ボクリアと婚約していた貴族の娘サラ。
しかし公爵から一方的に婚約破棄を告げられる。
屈辱の日々を送っていたサラは、15歳の洗礼を受ける日に【聖女】としての啓示を受けた。
【聖女】としてのスタートを切るが、幸運を祈る相手が、あの憎っくきアルフォンス家であった。
差別主義者のアルフォンス家の為には、祈る気にはなれず、サラは国を飛び出してしまう。
そこでサラが取った決断は?
我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!
真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。
そこで目撃してしまったのだ。
婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。
よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!
長くなって来たので長編に変更しました。