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第一章
第4話:迷いと冤罪
サーニン皇太子はほんの一瞬だけ迷った。
振り返って正体が分かるようにして、ロバート王太子がこれ以上失言を重ねないように助けてやるべきか、それともこのまま奈落に落とすべきか。
直ぐに迷う事などないと判断した。
皇太子として大陸各国の王族や有力貴族の事は調べ記憶している。
ロバート王太子の下劣さをよく知っていたのだ。
マチルダ嬢とオリアンナ嬢の言動を見れば、これから起こる事は推測できた。
誰に味方すべきかなど考えるまでもない事だった。
マチルダ嬢を助けてロバート王太子を断罪する。
だがそのために皇国を争いに巻き込むわけにはいかない。
自分の名を輝かせるためにロバート王太子を断罪して戦争の原因となったら、確実に勝てるとしても敵味方に多くの死傷者が出てしまう。
そんな事をサーニン皇太子は望んでいなかった。
名前など売らなくても十分な地位にいる。
虚名を得るために家臣国民を苦しめる気など毛頭なかった。
だからロバート王太子が自滅するようにした。
「私は誇り高く勇敢なオリアンナ嬢を護る。
オリアンナ嬢を傷つけようとしている他国の卑怯者を許さん。
その卑劣漢を成敗してマチルダを断罪する。
だが平民や他国の密偵と不義密通を重ねる破廉恥な売女であろうと、オリアンナ嬢の姉でありファルド公爵家のモノである事は確かだ。
私の温情で命だけはとらないでいてやる。
私との婚約を破棄してこの国から追放するだけにしておいてやる」
ロバート王太子は自分の言動に酔っていた。
自分が芝居の主役になった気分でいた。
だから会場中がザワザワとしだしたのに全く気がつかなかった。
会場にいる王侯貴族の中には、背中だけのサーニン皇太子に気がつく者が現れていて、これはとんでもないことになりそうだと期待と不安で興奮していたのだ。
「さあマチルダ、自らの罪を告白して私の慈悲を請え。
そうするなら追放を国外から王家の直轄領に止めてやる。
ファルド公爵領で反省と祈りの日々を送るがいい」
気が弱く大人しいマチルダが反論できない事を知っての言動だった。
万が一マチルダが反論しそうになったら、オリアンナがマチルダを黙らせて謝る事になっていたから、何の不安もなく冤罪で断罪する心算だった。
だが嫉妬のあまり冤罪を被せた貴族家令息の始末に一瞬迷った。
自分で決闘を申し込んで殺せればカッコいいのだが、全く武芸に自信がない。
危険な事はしたくないし、痛い思いもしたくない。
だから確実に家臣に始末させることにしたのだった。
「オリバー、その密偵を捕らえて厳しく調べろ。
抵抗するようなら斬り殺して構わん」
ロバート王太子はそう言いながら守護騎士のオリバーに眼でサインを送った。
余計な事を言わないように殺してしまえと。
振り返って正体が分かるようにして、ロバート王太子がこれ以上失言を重ねないように助けてやるべきか、それともこのまま奈落に落とすべきか。
直ぐに迷う事などないと判断した。
皇太子として大陸各国の王族や有力貴族の事は調べ記憶している。
ロバート王太子の下劣さをよく知っていたのだ。
マチルダ嬢とオリアンナ嬢の言動を見れば、これから起こる事は推測できた。
誰に味方すべきかなど考えるまでもない事だった。
マチルダ嬢を助けてロバート王太子を断罪する。
だがそのために皇国を争いに巻き込むわけにはいかない。
自分の名を輝かせるためにロバート王太子を断罪して戦争の原因となったら、確実に勝てるとしても敵味方に多くの死傷者が出てしまう。
そんな事をサーニン皇太子は望んでいなかった。
名前など売らなくても十分な地位にいる。
虚名を得るために家臣国民を苦しめる気など毛頭なかった。
だからロバート王太子が自滅するようにした。
「私は誇り高く勇敢なオリアンナ嬢を護る。
オリアンナ嬢を傷つけようとしている他国の卑怯者を許さん。
その卑劣漢を成敗してマチルダを断罪する。
だが平民や他国の密偵と不義密通を重ねる破廉恥な売女であろうと、オリアンナ嬢の姉でありファルド公爵家のモノである事は確かだ。
私の温情で命だけはとらないでいてやる。
私との婚約を破棄してこの国から追放するだけにしておいてやる」
ロバート王太子は自分の言動に酔っていた。
自分が芝居の主役になった気分でいた。
だから会場中がザワザワとしだしたのに全く気がつかなかった。
会場にいる王侯貴族の中には、背中だけのサーニン皇太子に気がつく者が現れていて、これはとんでもないことになりそうだと期待と不安で興奮していたのだ。
「さあマチルダ、自らの罪を告白して私の慈悲を請え。
そうするなら追放を国外から王家の直轄領に止めてやる。
ファルド公爵領で反省と祈りの日々を送るがいい」
気が弱く大人しいマチルダが反論できない事を知っての言動だった。
万が一マチルダが反論しそうになったら、オリアンナがマチルダを黙らせて謝る事になっていたから、何の不安もなく冤罪で断罪する心算だった。
だが嫉妬のあまり冤罪を被せた貴族家令息の始末に一瞬迷った。
自分で決闘を申し込んで殺せればカッコいいのだが、全く武芸に自信がない。
危険な事はしたくないし、痛い思いもしたくない。
だから確実に家臣に始末させることにしたのだった。
「オリバー、その密偵を捕らえて厳しく調べろ。
抵抗するようなら斬り殺して構わん」
ロバート王太子はそう言いながら守護騎士のオリバーに眼でサインを送った。
余計な事を言わないように殺してしまえと。
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