最優秀な双子の妹に婚約者を奪われました。

克全

文字の大きさ
11 / 48
第二章

第11話:邪神殿の大神官

「どうでございましたか、ルードヴィヒ大神官様。
 オリアンナは使い物になりますか」

 オリアンナに神の教えを諭し、マチルダ嬢の慈悲に縋るように言い聞かせていた大神官を、ラーガルス神官長が待っていた。

「くっくっくっくっ、十分だ、あの邪悪さなら十分使い物になるぞ」

「それはようございました。
 先程王宮のリトラスト王宮神官長からも使者が参りました。
 ロバート王太子もマティルド王妃も下劣極まる性格のようです。
 魔族の依り代にするには十分な邪悪さのようでございます」

「それはよかった、よかったが、まだまだだな。
 並の魔族の依り代程度では満足できん。
 もっともっと恨み辛みを膨らませ、上級魔族や魔将軍の依り代になれるくらに邪悪になってもらわなければな」

「確かにその通りではございますが、本当にできますでしょうか。
 魔将軍の依り代にするには小者過ぎませんか、大神官様」

「これからもっともっと悪意を育てればいい。
 生まれ持って他人を羨み妬み奪おうとする醜悪な性格だ。
 我らの仲間に相応しいではないか」

「まあ、確かにその通りではありますが、時間も手間もかかりますね」

「それは当然のことよ。
 偉大なる我らが神、邪神様を復活させようというのだ。
 そうそう簡単に出来る事ではない。
 まずは人間を依代にして魔族を召喚する。
 召喚した魔族を邪神様の依代になれる強力な魔王を育てる。
 長き道のりになる」

「左様でございますな、千里の道も一歩よりと先人も申しておりますな」

「くっくっくっくっ、我ら邪神教徒が先人の教えを例えに使うか。
 笑える話よな、ではまず王都の娘を攫って王太子に殺させるか。
 せっかくの機会だ、生贄にする刺青を忘れないようにな」

「それは幾ら何でも大丈夫でございましょう。
 リトラスト王宮神官長が生贄につける刺青を忘れるとは思えません」

「リトラスト王宮神官長は邪神教徒に相応しい邪悪さを持っている。
 自分の力を増すために生贄を横取りするくらいは平気でやる。
 その点も気を付けておかないと足元をすくわれるぞ。
 私もお前もな、ラーガルス神官長」

「それを私に言われますか、大神官様。
 本来なら邪神様に捧げるべき生贄を、自分のために使われている大神官様が」

「くっくっくっくっ、邪神様の信徒に相応しい行動であろう。
 私は今の地位を誰かに譲る気も捨てる気もないのだよ。
 リトラスト王宮神官長が大神官の地位を狙うと言うのなら、彼を生贄にして我が力とするだけだ、ラーガルス神官長」

「それは私への警告ですか、大神官様」

「分かっているではないか、邪神様を蘇らせるために手足となる信徒は必要だ。
 魔族の依代にする人間も必要だ。
 だが私の地位を脅かす人間は不要だ。
 覚えておけ、ラーガルス神官長」
感想 21

あなたにおすすめの小説

妹に幼馴染の彼をとられて父に家を追放された「この家の真の当主は私です!」

佐藤 美奈
恋愛
母の温もりを失った冬の日、アリシア・フォン・ルクセンブルクは、まだ幼い心に深い悲しみを刻み付けていた。公爵家の嫡女として何不自由なく育ってきた彼女の日常は、母の死を境に音を立てて崩れ始めた。 父は、まるで悲しみを振り払うかのように、すぐに新しい妻を迎え入れた。その女性とその娘ローラが、ルクセンブルク公爵邸に足を踏み入れた日から、アリシアの運命は暗転する。 再婚相手とその娘ローラが公爵邸に住むようになり、父は実の娘であるアリシアに対して冷淡になった。継母とその娘ローラは、アリシアに対して日常的にそっけない態度をとっていた。さらに、ローラの策略によって、アリシアは婚約者である幼馴染のオリバーに婚約破棄されてしまう。 そして最終的に、父からも怒られ家を追い出されてしまうという非常に辛い状況に置かれてしまった。

聖女で美人の姉と妹に婚約者の王子と幼馴染をとられて婚約破棄「辛い」私だけが恋愛できず仲間外れの毎日

佐藤 美奈
恋愛
「好きな人ができたから別れたいんだ」 「相手はフローラお姉様ですよね?」 「その通りだ」 「わかりました。今までありがとう」 公爵令嬢アメリア・ヴァレンシュタインは婚約者のクロフォード・シュヴァインシュタイガー王子に呼び出されて婚約破棄を言い渡された。アメリアは全く感情が乱されることなく婚約破棄を受け入れた。 アメリアは婚約破棄されることを分かっていた。なので動揺することはなかったが心に悔しさだけが残る。 三姉妹の次女として生まれ内気でおとなしい性格のアメリアは、気が強く図々しい性格の聖女である姉のフローラと妹のエリザベスに婚約者と幼馴染をとられてしまう。 信頼していた婚約者と幼馴染は性格に問題のある姉と妹と肉体関係を持って、アメリアに冷たい態度をとるようになる。アメリアだけが恋愛できず仲間外れにされる辛い毎日を過ごすことになった―― 閲覧注意

【完結】無能な聖女はいらないと婚約破棄され、追放されたので自由に生きようと思います

黒幸
恋愛
辺境伯令嬢レイチェルは学園の卒業パーティーでイラリオ王子から、婚約破棄を告げられ、国外追放を言い渡されてしまう。 レイチェルは一言も言い返さないまま、パーティー会場から姿を消した。 邪魔者がいなくなったと我が世の春を謳歌するイラリオと新たな婚約者ヒメナ。 しかし、レイチェルが国からいなくなり、不可解な事態が起き始めるのだった。 章を分けるとかえって、ややこしいとの御指摘を受け、章分けを基に戻しました。 どうやら、作者がメダパニ状態だったようです。 表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。

「お前は妹の身代わりにすぎなかった」と捨てられた養女——でも領民が選んだのは、血の繋がらない姉の方だった

歩人
ファンタジー
孤児のフィーネは伯爵家に引き取られた。 病弱な令嬢エーデルの「代役」として。社交も、領地管理も、使用人の采配も—— 全て「エーデル様」の名前で、完璧にこなしてきた。 十一年後。健康を取り戻したエーデルが屋敷に帰還した日、伯爵は言った。 「もう用済みだ、出ていけ」 フィーネは静かに屋敷を去った。 それから一月もしないうちに、領民たちが伯爵に詰め寄った。 「前のお嬢様を返してください」

偽者に奪われた聖女の地位、なんとしても取り返さ……なくていっか! ~奪ってくれてありがとう。これから私は自由に生きます~

日之影ソラ
恋愛
【小説家になろうにて先行公開中!】 https://ncode.syosetu.com/n9071il/ 異世界で村娘に転生したイリアスには、聖女の力が宿っていた。本来スローレン公爵家に生まれるはずの聖女が一般人から生まれた事実を隠すべく、八歳の頃にスローレン公爵家に養子として迎え入れられるイリアス。 貴族としての振る舞い方や作法、聖女の在り方をみっちり教育され、家の人間や王族から厳しい目で見られ大変な日々を送る。そんなある日、事件は起こった。 イリアスと見た目はそっくり、聖女の力?も使えるもう一人のイリアスが現れ、自分こそが本物のイリアスだと主張し、婚約者の王子ですら彼女の味方をする。 このままじゃ聖女の地位が奪われてしまう。何とかして取り戻そう……ん? 別にいっか! 聖女じゃないなら自由に生きさせてもらいますね! 重圧、パワハラから解放された聖女の第二の人生がスタートする!!

【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします

宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。 しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。 そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。 彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか? 中世ヨーロッパ風のお話です。 HOTにランクインしました。ありがとうございます! ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです! ありがとうございます!

婚約破棄されたので、聖女になりました。けど、こんな国の為には働けません。自分の王国を建設します。

ぽっちゃりおっさん
恋愛
 公爵であるアルフォンス家一人息子ボクリアと婚約していた貴族の娘サラ。  しかし公爵から一方的に婚約破棄を告げられる。  屈辱の日々を送っていたサラは、15歳の洗礼を受ける日に【聖女】としての啓示を受けた。  【聖女】としてのスタートを切るが、幸運を祈る相手が、あの憎っくきアルフォンス家であった。  差別主義者のアルフォンス家の為には、祈る気にはなれず、サラは国を飛び出してしまう。  そこでサラが取った決断は?

我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。 そこで目撃してしまったのだ。 婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。 よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!  長くなって来たので長編に変更しました。